花の色によってさまざまな花言葉を持つ
春にふさわしい響きを持つ「サクラソウ」。日本全土の山野のやや湿地に自生していましたが、近年は自生地が狭まっており、原種より輸入種を目にすることが多くなっています。名前の由来は、花形が桜によく似ているからです。
原種のサクラソウはサクラソウ科の多年草で、可憐な紅紫色の花を開き、やさしく優美な印象を与えます。植物全体に白色の軟毛が生え、やや薄い緑色の葉は楕円形で長柄があり、辺縁は浅く裂け鋸歯となっています。
草丈は10〜20cm程度で、先端に7〜20個ほどの花をつけます。花は盆状で末端は五つに分かれ、各裂片は頭部が二列して桜花のような形をしています。
昔から日本人に好まれた植物で、江戸時代には品種改良が非常に盛んで、愛好者間では出版物も刊行されるほどでした。

明治以降、外国種の輸入が盛んになると外観の華やかな輸入種(西洋サクラソウ)に興味が移り、原種は一部の人が保存を行うだけとなりました。
日本原種のサクラソウの類似植物でサクラソウの名を冠する植物は、高山植物で有名なハクサンコザクラなど数多く生育しており、輸入種も含めると200〜300種はあると言われています。
日本では薬用として用いませんが、イギリスでは「花の頭を煎じて飲むと不眠症になりにくい」「切り傷に葉を貼ると治りが早い」などと言われています。
花言葉の総称は「少年時代の希望」ですが、色によっても異なっており、白は「可愛らしい」、赤は「自身打開した運命」、紫は「確実」、黄は「豊富を誇る」となっています。
出典:牧 幸男『植物楽趣』
今月の生薬クイズ
【Q.】 日本に生育するサクラソウの仲間の数は?(1)2〜3種 (2)20〜30種 (3)200〜300種
正解は?
➕
【A.】(3)200〜300種