初夏に雪のような白い花が咲く |
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初夏に新緑の木々が夏の装いを始める頃、ハリエンジュ(ニセアカシア)の花が咲き始めます。小枝いっぱいに房状に垂れ下がって咲く花の姿は、見事です。それまで緑の葉が勝っていても、この時期だけは雪をかぶったように白色が緑に映える様子がひときわ美しく見えます。 輸入されたハリエンジュは最初に北海道に多く植えられたことから、どこか西洋風でエキゾチックな感情を抱く人も多く、詩歌や小説の題材になってきました。北原白秋の童謡『この道』(山田耕作作曲)は、「この道はいつか来た道、ああ、そうだよ、あかしやの花が咲いてる」の歌詞で知られています。白秋はこの歌を郷里の柳川市に咲いていたアカシアと、開拓時の札幌のイメージを重ね合わせて作詞したといわれています。年配の方は西田佐知子が1960年代にヒットさせた水木かおる作詞の歌謡曲『アカシアの雨がやむとき』を思い出されるかもしれません。 あかしやの 花ふり落とす 月は来ぬ 東京の雨 わたくしの雨 アカシアの もとに梢の 花も落つ
ハリエンジュは薬用には用いられませんが、養蜂業者にとっては貴重な蜜源植物です。ハリエンジュの花の天ぷらは、信州ではよく食卓に上る料理です。マメ科植物のため、根粒バクテリアが繁殖して土壌が肥えることから、砂防地や造林に植えられますが、繁殖力が強すぎると嫌われることもあるようです。 出典:牧幸男『植物楽趣』 |