HOME > 生薬百選 > 【2010年5月号】生薬百選 74 菖蒲根(ショウブコン)
ゴールデンウィークが近づき、気候もどんどん暖かくなってきました。ちなみに「五月晴れ」という言葉がありますが、本来は旧暦五月の梅雨の合間の晴れ間を指す言葉だったそうです。これが新暦の五月に当てはめられて今のように五月のさわやかな晴天を指すようになったようです。
五月の空といえばやはり子供の日の鯉のぼりですね。子供の日は端午の節句とも言い、鯉のぼり以外にも様々な習慣があります。その内の一つが、菖蒲の葉を風呂に浮かべて入る菖蒲湯です。なぜ菖蒲なのかというと、そのまっすぐな葉が刀に似ており、邪気を祓うような爽やかな香りを持つ事から男の子には縁起のいい植物とされた為です。
花をつけた菖蒲
葉の中ほどから花が出るような変わった形をしています。
![]() 菖蒲の花 |
![]() アヤメ アヤメやハナショウブやに比べると菖蒲の花は地味です。 |
なんとも不憫な菖蒲ですが、実は昔にも同じ目にあっているのです。菖蒲は古くは「アヤメ」と呼ばれており、現在のアヤメは「ハナアヤメ」と呼ばれていました。そして派手で目立つ「ハナアヤメ」がアヤメとして認知され、仕方なく菖蒲は音読みで「ショウブ」と呼ばれるようになったのです。
二度も名前を取られてしまった可哀そうな菖蒲ですが、この季節くらいは菖蒲湯に入り、爽やかな香りを楽しんで思い出してみてはいかがでしょうか。
■末次 建太朗 (養命酒中央研究所・商品開発グループ)