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顔の雑学

「顔の一瞬の表情に本音がのぞく!」「虫よけアイシャドウ、青筋メイク、お歯黒……顔を彩る化粧の歴史」「すっぴんでも顔認証できる?」——今月は顔の雑学をお届け!


顔の一瞬の表情に本音がのぞく!

顔の表情は、感情を映し出す鏡ともいわれます。犬や猫などにも顔の表情の違いがありますが、人間の表情は動物の中でも突出して複雑かつ豊かです。そもそも表情は、目の前に起こるできごとに対する反射反応が進化したものといわれています。アメリカの心理学者ポール・エクマンによると、巧みにポーカーフェイスを決め込んでいても、一瞬の微細な表情のどこかに本音のサインが表れるのだとか。
例えば相手が笑っているとき、それが作り笑いなのか否かを見極める方法があります。笑顔を作る眼輪筋(まぶたを動かす筋肉)と大頬(だいきょう)骨筋(こつきん)(口角を引き上げる筋肉)に着目したフランスの学者ギヨーム=バンジャマン・デュシェンヌの研究では、作り笑いのほうが笑顔が浮かぶ時間が長いようです。
また、ウソをついていると、相手の視線を避けたいという本能が働き、まばたきが増えるという説も。アメリカの心理学者ジョー・テッセは、複数の大統領選を調査した結果、討論中にまばたきの数の多い候補者のほうが落選していると指摘しています。まばたきが多いと信頼されにくくなる可能性があるので、ここ一番のときは、意識的にまばたきを控えるといいかもしれません。


虫よけアイシャドウ、青筋メイク、お歯黒……顔を彩る化粧の歴史

古今東西、顔を彩る化粧の歴史は長く、おしゃれのためだけでなく、魔よけなどの目的もあったようです。古代エジプト時代のクレオパトラは、ラピスラズリなどの宝石を粉砕した濃いアイシャドウをしていたといわれています。いかにも妖艶でゴージャスなイメージですが、実は日よけや虫よけを狙ったものだという説も。中世ヨーロッパでは、特権階級の間で美白がブームでしたが、鉛や水銀が含まれたおしろいを使っていたため、体には有害でした。17世紀イギリスのエリザベス1世の時代になると、ハチミツ入りのおしろいを厚塗りするのが流行り、顔を作るという意味で「make up」という言い方が広まったのだとか。さらに18世紀フランスのマリー・アントワネットの時代になると、美白熱に拍車がかかり、わざわざ肌に静脈を描いて青白く見せたり、白黒のコントラストを強調する付けボクロを貼ったりしていたよう。
日本でも古くから化粧文化があり、顔料で化粧されたハニワも発掘されています。特に日本独特なのは「お歯黒」。虫歯や歯周病を防ぐ効果もあったようですが、その起源は謎に包まれています。平安時代の絵巻物には男女問わずお歯黒をした貴族が描かれ、江戸時代の浮世絵にもお歯黒姿の女性がよく見られます。しかし江戸末期の開国後は、外国人から奇異な風習と見られたため、明治初期についに禁止されました。もし今もお歯黒文化が継承されていたら、日本人女性のメイクは全然違ったものになっていたのかもしれません。


すっぴんでも顔認証できる?


顔認証


その昔はSF映画の世界の話だった顔認証システムですが、今やスマホのカメラにも搭載され、すっかり身近になりつつあります。近年では、防犯カメラをはじめ、顔認証でドアロックを解除したり、社員の出退を管理する企業が増えています。
日本の主要空港をはじめ、世界各国の空港でも、顔認証ゲートが急増しています。従来は、訓練された入国審査官が、パスポートの写真と目の前の本人をじっと見比べて確認してからスタンプを押していました。しかし顔認証ゲートでは、スキャナーでパスポートの顔写真を読み取り、カメラ内蔵ミラーで本人の顔を撮影。照合するまではほんの数十秒です。訪日外国人旅行者が増えている昨今、無人でスムーズに照合できる顔認証ゲートがますます普及していくようです。
ただ、同じ人でも化粧をしたり、髪形を変えたりすると印象がガラリと変わります。それでも正しく認識できるのでしょうか? 顔認証システムは、目、鼻、口などを検出し、その相対的な位置や大きさから顔を照合します。化粧をしても各パーツの位置などは変わらないので、すっぴんだと別人のようになる人でも、ちゃんと認識してくれるのだとか。
ちなみに市川海老蔵さんは、まげを結って歌舞伎の隈取をしたままでもスマホの顔認証ができたとブログで語っていました。ご自身のスマホでも顔認証の精度をぜひ試してみてください。