HOME > 健康の雑学 >  【2013年8月号】 花火の雑学

花火の雑学

花火と恋愛の深〜い関係とは?ラテンの国ではやかましい花火ほど好まれる? 花火を詠んだひとひねり名句などなど、花火にまつわるウンチクをご紹介!


花火と恋愛の深〜い関係とは?
一緒に熱い感動を共有できる花火大会は夏デートの定番ですが、江戸時代や明治時代のカップルにとっても、花火はご縁を紡ぐ絶好の機会だったようです。
「夏のすずみは両国の 出船入り船屋形船 上がる龍勢星くだり 玉屋が取り持つ縁かいな」
これは、明治時代に高座の座敷歌として流行った「縁かいな」という端唄(庶民に唄われた俗曲)の一節。両国で花火を楽しんでいるうちに、すっかり仲睦まじくなる男女が唄われています。玉屋とは「たまや〜」のかけ声でおなじみの江戸時代の人気花火屋。当時の花火は今のように次々には打ち上がらず、間が空いていたので、その間に親密度がアップしたことを、「玉屋が取り持つ縁」と洒落てみせているのです。





花火を詠んだひとひねり名句傑作選!

多くの俳人が、夏の季語である花火を題材に句を詠みましたが、名句の中には花火そのものをストレートに描写をしない、ひとひねりある句が目立ちます。 例えば、西東三鬼(さいとうさんき)の「暗く暑く 大群衆と 花火待つ」は、花火の色形にはまったく触れていないにもかかわらず、大歓声の中で舞い上がる大輪の花火を予感させます。また、高浜虚子の「宵々の 花火になれて 音をのみ」は、毎晩のように上がる花火を目ではなく耳だけで楽しむという、粋な花火通ぶりが伝わってきます。

さらに、江戸時代の絵師・酒井抱一(さかいほういつ)の「星一つ 残して落る 花火かな」や、久保田万太郎の「空に月 のこして花火 了(おわ)りけり」、寺田寅彦の「遠花火 開いて消えし 元の闇」などは、いずれも花火が消えた後の余韻や寂莫感を絶妙に捉えています。花火の華やかさより、花火の儚さに心寄せるのは、わびさびを愛でる日本人ならではの心情といえるでしょう。





やかましいほど好まれる? 欧米と日本の花火事情

日本の花火技術は世界一といわれますが、その秘密は日本独自の花火の構造にあります。欧米の花火は筒型なので、打ち上げ高度も低く平面的であるのに対し、日本の花火は球形なので、打ち上げ高度も高く立体的な球形になります。中世ヨーロッパでは主に王侯貴族が城の中から花火を楽しんだのに対し、日本では川岸などあらゆる方角から庶民が花火を眺めたので、どこから見ても美しい円に見える必要があったからです。

花火の音に対しても、日本と欧米では感覚が異なるようです。日本では音だけの昼花火は主にイベントの開催を報せる祝砲として上げられますが、花火の歴史が古いイタリアや劇的な花火を好むスペインでは、花火の音だけを競うコンテストもあるのだとか。お腹に響き渡るような爆音がしないとブーイングが起こるそうですが、ラテン系のお国は花火の音にも情熱的ですね!



欧米の円筒型花火の模型(両国花火資料館より)