HOME > 健康の雑学 >  【2012年7月号】 カレーの雑学

カレーの雑学


2日目のカレーが美味しいワケは?明治時代のカレーに入っていた意外な具とは?カレーにマシュマロ…驚きの“我が家のカレーテクニック”とは?今回は、カレーにまつわる雑学をお届けします。


2日目のカレーは、なぜ美味しい!?


「カレーは2日目が美味しい」と感じたことはありませんか?確かに、ひと晩寝かせた翌日のカレーは、口当たりがなんだか違いますよね。

その理由は、野菜や肉などの具から溶け出す「うま味のもと」が増えるから。昆布のダシやパルメザンチーズなどに多く含まれる「うま味(グルタミン酸)」をはじめ、果糖などの糖分もルーの中に溶け出します。同時に、とろみを増すでんぷんや繊維質もルーの中に溶け出し、うま味ととろみを備えた、マイルドな「コク」が生まれるというわけです。

ただし、カレーに含まれるスパイスの中には、熱を加えることによって香りや成分が損なわれてしまうものもあります。長時間煮込んだり、2日目のカレーを再加熱することによって香りが薄まるため、スパイス本来のシャープな香りをカレーに求める方は、「2日目のカレーの美味しさ」がピンとこないかもしれません。

ならば、温めずに食べればスパイスの香りも栄養価も損なわれず、なおかつコクのあるカレーが楽しめるのでは…と考えたくなりますが、これはおすすめできません。食中毒の危険性があるからです。

カレーやスープ類の場合、ウエルシュ菌食中毒のリスクがあります。ウエルシュ菌は、土の中や水中など自然界に広く存在しています。よって、土の中で育つジャガイモやニンジンなどの根菜に付着しているケースがあるのと同時に、牛や鶏といった動物が保菌していることもあります。まさにどれも、カレーの具として定番なものばかりです。

作りたてのカレーは、熱によってウエルシュ菌が死滅しているため、ほぼ問題ありません。しかし、一部のウエルシュ菌は生き延びるために芽胞という殻を作り、その中で休眠状態となります。これが、カレーをひと晩寝かせることによって休眠を解き、増殖してしまうと危険です。空気に触れると増殖しないタイプの菌なのですが、カレーやスープなど液状の料理の場合、鍋底のほうは空気に触れず、増殖の危険性が高まります。特に、大きな鍋で大勢の食事を作るときに起こりがちな食中毒です。

そのため、カレーをひと晩寝かせる場合は室内に鍋のまま放置せず、粗熱が取れたら冷蔵庫に保存して、食べる前には必ず再加熱するようにしましょう。夏場は特に注意が必要ですよ!



現代人はビックリ!明治時代の意外なカレーの具とは?


日本で初めて、広く一般にカレーが紹介されたのは明治5年のこと。敬学堂主人(けいがくどう・しゅじん)なる人物が著した「西洋料理指南」、新聞記者であり戯作者の仮名垣魯文(かながき・ろぶん)が著した「西洋料理通」などのレシピ本に、カレーの作りかたが掲載されました。

具として「鶏」や「海老」の他に「赤蛙(!)」が書かれていたり、レシピがイギリスから伝播したためにインドでは使わない「小麦粉」でとろみをつけるように書かれているなど、とても興味深い内容になっています。ただし、これらはレシピが書いてあるものの、現在の“家庭で料理を作るための”本というよりは、文明開化の真っ最中に、西洋文化に触れて楽しむためのものといった向きがありました。

そもそも、「作りかた」に書かれている「カレー粉」が当時は輸入品しかない状況です。当然、庶民の手にもなかなか渡らなかったはず。そのため、カレーは家で作るものではなく、あくまでも外食として広まっていきます。明治10年、東京の「風月堂」が日本で初めて「ライスカレー」をメニューに追加。同時期に、「青年よ大志を抱け」の言葉で有名なクラーク博士の推奨により、札幌農学校の寮の食事としてライスカレーが出されるようになりました。

カレーが「脱・外食」となるきっかけが生まれたのは明治38年のこと。初めて国産のカレー粉が製造・販売されました。売り出したのは大阪の「今村弥(現在のハチ食品)」。当時は食品会社ではなく、生薬を扱う薬種問屋でした。ウコンをはじめとした生薬に精通した同店が研究を重ねて編み出した国産のカレー粉は「洋風どんぶり、うちでもつくれまっせ!」という宣伝文句と共に売り出されて人気を博し、カレーが家庭の食卓に上るようになりました。ちなみに、カレーでお馴染みのハウス食品は、大正2年の創業当時は「浦上商店」という薬種問屋でした。



マシュマロにポテトチップ!?“我が家のカレーテクニック”


ひとえにカレーといっても、ご家庭によって隠し味や具、つけあわせ、残ったカレーを美味しく食べる方法などに微妙な違いがあり、実にバラエティ豊かですよね。自分としてはごく当たり前なのに、他人に話したら「えっ!?カレーにそんなモノ入れるの!?」と驚かれた経験のある方も、なかにはいらっしゃるのでは?そこで編集部では「我が家ならではのカレーテクニック」をリサーチしてみました。さっそくご覧いただきましょう。


◇マシュマロを入れると、辛みが丸くマイルドになります。煮込むとなくなっちゃうので、火を止める寸前がベストです。(29歳・男性)

◇付け合せには梅干し一択!口の中をサッパリさせる箸休めには最適です(32歳・男性)。

◇ご飯のかわりに厚揚げを敷いて、その上に醤油を隠し味として入れたカレーをかけて食べる!ちょっと和風な仕上がりになります。(34歳・女性)

◇お皿に盛ったカレーに、ポテトチップを5枚ほど。ルゥに浸ったところはしんなり、それ以外はカリッとして面白い食感を楽しめます。ハイカロリーなので入れ過ぎに注意!(22歳・女性)

◇カレーが残った翌日は、耐熱皿にご飯、カレー、チーズを乗せてオーブンで“焼きカレー”。別の料理のようになるので子ども達も喜んでいます。(45歳・女性)

◇ダシに少しカレールゥを入れて、麺類。そうめんもけっこうイケます。うどんよりルゥが絡みやすいかも。(40歳・男性)

◇市販のルゥは、箱に書いてある量の半分程度しか使いません。そのかわり、ホールトマトの缶詰やスパイスを入れてます。“半分だけ冒険している”感覚ですね。(41歳・女性)

◇残ったカレーはドライカレーにします。干しブドウやプルーンなどドライフルーツも同時に入れて味に変化をつけるのが我が家の定番です。(29歳・女性)



なんともユニークな意見がたくさん集まりました!ちなみに日本だけでなく、海外のカレーの食べ方も千差万別です。辛みがなく、サラッとしたカレーを食べるインドネシアでは、唐辛子をペースト状にした「サンバルソース」がカレー“ちょい足し”の定番。好みに合わせた量を入れて食べます。また、インドではヨーグルトドリンク「ラッシー」をカレーのお供として定番ですが、固形のヨーグルトをカレーと混ぜて食べる文化もあります。ぜひ、いろいろと試してみて、自分好みのオリジナルカレーを編み出してみてはいかがでしょう。