HOME > 健康の雑学 > 【2009年5月号】発酵の雑学
人間にとって計り知れない恩恵をもたらしてくれる微生物。その微生物が行なう発酵。食品のみならず、さまざまな分野で駆使される発酵についての雑学です。
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発酵というと「食品」を連想しがちですが、それ以外の分野でも利用されてきました。 第一次大戦のさなか、大量生産されたダイナマイトが登場しました。その主原料はニトログリセリン。ニトログリセリンは「グリセリン」をもとに作られますが、ドイツのカール・ノイベルグが、糖を発酵させる過程でグリセリンの大量生産方法を発見。追ってすぐに、イギリスやアメリカでも別の発酵方法で大量生産する方法を発見しました。 忌まわしい戦争の道具としても利用された「発酵」ではありますが、その一方で、人類において革新的な進歩をもたらしたのが、微生物の力を利用した「抗生物質」です。アオカビから見い出された世界初の抗生物質「ペニシリン」は、イギリスの細菌学者、アレクサンダー・フレミングが偶然発見しました。要は、「他の微生物をはねつける力がある」微生物の存在を見い出したのです。その要領で、人間のカラダに害を及ぼす菌が「苦手とする菌」を薬として使うようになった。目には目を、歯には歯を、菌には菌を、といった発想ですね。日本においても、1957年に梅澤濱夫博士が日本初の抗生物質「カナマイシン」を発見。不治の病とみなされがちだった結核に対して大きな効果を発揮しました。 簡易な発酵で大量生産を促すことは、いわば「日本のオハコ」。味噌や醤油など、昔から発酵技術に親しんできた日本ならではのテクノロジーといえるでしょう。 |
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