「会社や学校に行きたくない…」「やる気が出ない…」――どんよりした天気が続く梅雨どきは、心身もどんより落ち込んで“梅雨ストレス”になる人が増えるといわれています。でも、ちょっと視点を変えて動物に目を向けてみると、人間社会の常識だけが全てではないことにハッと気付かされます。
そこで、今月は「上野動物園」で話題のパンダ親子をはじめとする動物たちを観察しながら、その多様な生き方からヒントを得たり、猛獣や珍獣の意外とのんびりした姿に癒されて、梅雨のストレスをリフレッシュしましょう。
梅雨ストレスで心身ともにどんより…
そんな人は「動物園」に行ってみよう!
「もし逃げ場所がなければ、動物園にいらっしゃい。人間社会なんぞに縛られないたくさんの生物があなたを待っていますから」――これは昨年夏に上野動物園の公式ツイッターで大反響を呼んだツイートです。人間関係の変化が多い春先のストレスが一因といわれる「四月病」や「五月病」の時季から梅雨に入ると、ぐずつきがちな天気とあいまって気分がふさぎがちになる人が増えます。そんなときは、気分をリフレッシュするために「動物園」に行ってみましょう。雨曇りの日は動物園が普段ほど混まないので、動物たちをじっくり観察できるチャンスでもあります。
- 取材協力
- 上野動物園
上野動物園は1882年に農商務省所管の博物館付属施設として開園した、日本で最初の動物園。東京都心部にありながら豊かな自然と景観を維持し、約350種2500点の動物を飼育しています。
上野動物園公式HP http://www.tokyo-zoo.net/zoo/ueno/
お悩み別おすすめアニマル10!
上野動物園にいる動物たちの中から、元気通信編集部がお悩み別におすすめアニマルをご紹介!
1
人の育成でお悩みの人に ――
ジャイアントパンダの子育てに学ぶ
上野動物園で2017年6月12日に誕生してちょうど1年を迎えるジャイアントパンダのシャンシャン。
一般に、赤ちゃんパンダは生後2カ月ほどのあいだ目がよく見えず、母親に世話してもらわないと生きられないといわれています。しかもジャイアントパンダは哺乳類の中でも新生児が母親に比べてかなり小さいため、うっかり踏みつぶされるリスクもあります。シャンシャンも生まれたときは体重が147gしかありませんでしたが、母親のシンシンは自分のわずか1000分の1サイズのシャンシャンを、大きな前足で抱え、授乳したり、排泄を促したりして熱心に子育てをしてきました。おかげでシャンシャンもすくすく育ち、体重24㎏以上(2018年4月現在)にまで成長しました。
子育てや組織の人材育成でお悩みの人は、シンシンとシャンシャン親子の様子を観察してみてはいかがでしょう。相手を強制したり、相手に振り回されたりすることなく、自然体で触れ合う姿に、たくさんのヒントをもらえるのではないでしょうか?
2
集団行動が苦手な人に ――
ニホンザルに学ぶ「ほどよい距離感」を保つコツ
集団で暮らすニホンザルは、群れを統率する「ボスザル」がいると思われがちですが、実はボスはいません。多少の上下関係はありますが、ボスに統率されなくても、ほどよい距離感を守って群れの秩序を保っています。
仲間が大勢いてもムダに争わず、穏やかに共存するニホンザル。群れの中に幾つかの家族があり、互いに毛づくろいしあっている微笑ましい様子も見られます。集団行動が苦手な人は、つかず離れず絶妙な距離感をキープするニホンザルの群れをぜひ観察してみてください。
3
息抜きが苦手な人に ――
遊び上手なホッキョクグマにならう
大きな体に比べて頭が小さく、前足が大きいホッキョクグマは、水中で動きやすい身体機能を持っていることから、泳ぎや潜水がとても上手です。木ぎれなどをおもちゃにして泳ぎ回って遊ぶのは、狩りの本能のひとつでもあるようです。
バシャバシャと豪快に水しぶきをあげながら、大きな体で無邪気に遊びはしゃぐホッキョクグマ。遊び上手なホッキョクグマのように、ときには子どものように遊ぶ息抜きタイムをつくってみてはいかがでしょう?
4
ソンタクしがちな人に ――
ミーアキャットに学ぶ「逃げるが勝ち」の知恵
ミーアキャットは意外とワイルドな性格で、“砂漠のギャング”とも呼ばれています。その反面、非常に用心深く、ぐっと伸び上がってあたりをうかがい、危険を察知するやいなや、素早く身をひるがえして土の中に逃げ込みます。
野生動物は、「逃げたら誰かに迷惑がかかるかな?」などと人間のように“ソンタク”したりしません。危険を感じたらまず逃げます。「このままじゃまずいかも…!」と思ったら、ミーアキャットのように脇目も振らず逃げるのも、上手に生きる知恵といえるかもしれません。
5
バリバリがんばりすぎの人に ――
猛獣だってオフのときは大胆に休む!
ライオン、トラ、ツキノワグマ…いずれも動物界屈指の猛獣です。しかし、彼らにも「オン・オフ」があります。獲物を狙う「オン」のときは恐ろしく獰猛(どうもう)ですが、疲れているときや眠い「オフ」のときは、驚くほど脱力モードです。なぜなら、たっぷり骨休めすることで、次なる獲物を仕留める力をチャージしているからです。どんなに強い生きものでも、24時間戦い続けることはできません。いつもがんばっている人ほど、猛獣のようにオン・オフのメリハリをつけることが大切なのではないでしょうか?
オフ状態のライオンは、イエネコみたいにリラックス。
牙をむきだして吠えるのかと思いきや、舌を出して大あくびするスマトラトラ。
日本の野生動物の中で最強といわれるツキノワグマも、オフのときはまるでぬいぐるみみたいにまったり。
6
自分をうまく出せない人に ――
「マイスタイル」を貫くゴリラの美学
こちらはお気に入りのタオルをかぶって、のんびり日向ぼっこするメスゴリラのピーコ(推定1970年生まれ)。全てのゴリラがかぶりものをしたがるわけではありませんが、ピーコは誰に教えられたわけでもなく、その日の気分でタオルや布をかぶったりひっかけたりして、独自の時間を大切にしています。
人前で自分をうまく出せない人は、ゴリラのピーコのように「自分は自分」というマイスタイルを楽しむ余裕を持ってみてはいかがでしょうか?
7
他者を受け入れられない人に ――
シマウマとバーバリーシープの種族を超えた愛
ハートマンヤマシマウマは、アフリカの山岳地帯の限られた地域に生息している非常に珍しい種類です。同じくアフリカに生息しているバーバリーシープは、アフリカで唯一の野生ヒツジです。上野動物園では、そんな希少なハートマンヤマシマウマとバーバリーシープが仲よく同居しています。
すりすり甘えるのが好きなバーバリーシープと、それを優しく受けとめるハートマンヤマシマウマ。種類も見た目も異なる野生動物たちが、こんなふうに仲よく共生している姿を見ると、他者を差別したりいじめたりする愚かさに気付かされますね。
8
「存在感が薄い」といわれる人に ――
マヌルネコとオオサンショウウオの「目立たない知恵」
ヒトの祖先の類人猿が現れた約1500万年前から砂漠や岩山、高地などに生息している「世界最古の猫」のマヌルネコは、じっとしていると岩場に溶け込んで目立たなくなります。
約3000万年前から姿があまり変わらないため「生きた化石」といわれるオオサンショウウオも、普段は死んだように動かず、岩とほとんど一体化しています。
同じネコ科でも、百獣の王のライオンやトラは動物園の花形ですが、イエネコサイズでずんぐり体型のマヌルネコ(上)はちょっと地味な存在です。めったに動かないオオサンショウウオ(下)も、岩と見間違えそうになるほど目立ちません。どちらも存在感を消すことで身を守り、そっと気付かれずに獲物を捕獲しながら生き延びてきました。「存在感が薄い」といわれる人は、マヌルネコやオオサンショウウオのように、目立たないことを逆に武器にしてみては?
9
笑顔が足りない人に ――
シロフクロウの「微笑の魅力」
シロフクロウは最北に分布する鳥。オスは全身がほぼ真っ白で、メスは頭や体に黒褐色の斑点があります。小説や映画で大ヒットした『ハリーポッターシリーズ』で、魔法使いの主人公が飼う鳥としても知られています。
シロフクロウはどこか謎めいた雰囲気をたたえていますが、眠いときやまぶしいときに目を細めたり、目を閉じると、まるでニッコリ微笑んでいるように見えます。「表情がかたい」とか「笑顔が足りない」といわれる人は、シロフクロウの目の細め方を参考に、笑顔の練習をしてみてはいかがでしょう?
10
血のにじむような努力をしている人に ――
カバの「血の汗」に元気をもらう!
「カバは血の汗を流す」といわれています。その理由は、カバの皮ふには赤いねばねばした分泌液を出す腺があり、乾くと赤い色素が残って体表が赤く見えるからです。赤い色素は強い紫外線から皮ふを保護し、細菌感染を防ぐ役割があると考えられています。
人知れず血のにじむような努力をしている人は、まるで血の汗のような赤い分泌液を出すカバの姿を見て、がんばっている自分にエールを送ってあげましょう!
動物園でいろいろな動物たちと対峙すると、世の中には多種多様な生き方があることに気付かされます。多様な動物たちの観察を通して、自分を見つめ直すきっかけにしてみてはいかがでしょう。
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