パソコンやスマホを使うことが多い現代人には、近視や老眼、目の疲れ、ドライアイといったさまざまな目のトラブルが増えています。そこで今月は“医療界の池上彰”といわれるほどわかりやすい解説で定評のある眼科医の平松類先生に、目の不調を即効で改善できる超簡単「眼トレ」メソッドを教えていただきます!
埼玉県さいたま市東大宮メディカルセンター 眼科科長・医学博士・眼科専門医。『伝え上手な患者になる』(自由国民社)、『緑内障の最新治療』(時事通信社)、『クマや充血は毎日5分で消える!』(東邦出版)などの著書をはじめ、共著の『目が良くなる!! 10の眼トレ』(ぴあ)などがある。落語などを交えて医療をわかりやすく伝える講演を各地で展開している。
次の項目の中で当てはまるものをチェックしましょう。合計数であなたの目のお疲れ度がわかります。
- 肩こりや頭痛が多い。
- 1日4時間以上パソコンを使う。
- スマートフォンやタブレット端末を毎日使う。
- 空調の効いた室内に長時間いることが多い。
- 読書など近くを見る作業が長続きしない。
- コンタクトレンズを使っている。
チェックの数が...
- 0 個の人は
- 青信号!今のところ目はそれほど疲れていません。
- 1〜2 個の人は
- 黄信号!目がやや疲れています!
- 3〜6 個の人は
- 赤信号!目がかなり疲れて不調です。
「スマホ老眼」が増えている?!
最近はスマートフォンなどの影響で、20〜30代から「スマホ老眼」になる人が増えています。人類の歴史が始まって以来、手元で発光するものを見つめるという習慣はありませんでしたが、スマートフォンやタブレット端末を使うようになって、本来なら目を休める夜間も至近距離で光のダメージを受けることが多くなりました。これは身体にとってブレーキとアクセルを同時に踏んでいるような状態なので、目のピント調節機能が衰えるのはもちろん、自律神経のバランスが崩れやすくなり、イライラしたり、火照ったり、寝つきが悪くなったり、寝ても疲れがとれないといったさまざまな不調の原因になります。
冷えもドライアイの原因に?!
ドライアイの原因のひとつに「涙の質」の悪化があげられます。質のよい涙は表面に油分の膜が張っていますが、冷えにより目の周りの血行が滞ると、涙の油分が固まって出にくくなります。質の悪い涙は油分が足りないので蒸発しやすく、それによって目が乾いてドライアイになるのです。また、コンタクトレンズの使用や空調も一因になります。ドライアイになるとピントが合わせにくくなるので、頭痛や肩こりの原因にもつながります。
誰でも即実践できる簡単な「眼トレ」メソッドを平松先生が伝授!7つの眼トレを組み合わせることで効果もアップし、毎日続けることで目のさまざまな不調が改善します。
- 人はぼーっとしているとき、1mほど先に焦点を合わせています。
- 目のピント調節をする毛様体筋という筋肉を1番使うのは、手元を見るとき。
- 現代人はスマホなど近くを見ることが多いので、目の筋肉がこり固まっています。
こりをほぐすためには、遠近を交互に見るストレッチがおすすめ!
- 1m以上遠くをぼーっと眺めます。(テレビをじっと見るのはNGです)
- 次に手元の方に何となくピントを合わせます。(スマホをじっと見るのはNGです)
- 1)と2)を1セットとして1日10回ほど行うと、ピント調節機能が回復して、老眼や仮性近視を改善できます。
- 考えごとをしたり、携帯電話で話したり、画像を思い浮かべているとき、あるいは加齢によって、目が外側にずれる傾向があります。
- 日常的にスマホや本を見たり、書きものをするときは、目を内側にぐっと寄せるので、目が疲れやすくなり、肩こりや頭痛を引き起こす場合も!
疲れ目や目から来る肩こりの改善には、寄り目にしたり戻したりするストレッチの繰り返しがおすすめ!
- 目から30cmほど離れた位置に人差し指を出し、それを何となく眺めます。
- 指を徐々に目に近付けていくと、段々寄り目になってきます。
- ピントが合わなくなる位置まで指を近付けたら、指をまた離します。
- 1)〜3)を1セットで10回ほど繰り返すと、眼精疲労に役立ちます。
- 目玉は上下左右斜め合計6本の筋肉によって動かすことができる仕組みになっています。
- 眼精疲労や加齢で6本の筋肉が衰えると、俊敏に動かしにくくなり、視野が狭く感じたり、目が外にずれやすくなります。
黒目を上下左右斜め45度にキョロキョロ動かすストレッチで目の筋肉の柔軟性を鍛えると、視線の移動がスムーズになり、疲れ目改善に一役!
- 目の筋肉を伸ばすような感覚で目玉を上→下→左→右の順に合計5回動かします。
- 斜めに動かす筋肉も衰えやすいので、目玉を斜め右上→斜め左下→斜め左上→斜め右下の順に合計5回動かすと、目の周りの筋肉が柔軟に。
- 目は必ずどこかにピントを合わせようとする習性があります。
- ピント調節する筋肉の働きを老眼鏡で強制的にリセットすると、自分が本来持っているピント調節機能を回復でき、疲れ目も改善できます。
- 100円ショップや書店などで購入できる老眼鏡やリーディングラスをかけて、度数が1〜2度高い遠視気味の視力にします。これでピントがどこにも合わせられない状態に。メガネやコンタクトを外しても視界がぼやけますが、目は必ずどこかにピントを合わせようとするので、メガネやコンタクトの上から老眼鏡をかけます。
- ピントがどこにも合わないぼやっとした視界のまま、1mほど離れた所を5分ほど眺めます。目を閉じると効果が得られません。
- 5分後に老眼鏡を外すと、自分の本来のピント状態に戻すことができ、視界がクリアになります。1日1回を目安に行いましょう。
- 目の周りが冷えると、血行不良になりドライアイの原因に。
- 目の周りの血行がアップすると、老廃物を排出でき、目の表面をガードする油分の分泌が促されるので、ドライアイを防ぐ質のよい涙をつくれます。
- タオルを水で濡らして軽く絞り、電子レンジで40℃ほどに温めて蒸しタオルをつくります。(熱くし過ぎるとやけどするのでご注意を)
- 閉じた目の周りに蒸しタオルをのせ、5分間温めます。入浴中に、湯船のお湯でタオルを濡らして絞り、それを目の周りにのせてもOKです。目の周りがじんわり温まって油分が分泌され、リラックス効果も期待できます。
手のひらであっためる「ホットシエスタ」
蒸しタオルをつくれないときは、こすり合わせて温めた手のひらで目の周りを覆って5分ほど眠る「ホットシエスタ」がおすすめ。まぶたの冷え改善に役立ち、充血も改善できます。
- 目の周りを軽くマッサージすると、油分の分泌を促し、質のよい涙をつくれます。
- 眼トレ5で目の周りを温めた後、この「油出しマッサージ」をするとより効果的!
- 涙の油を分泌する油分腺(マイボーム腺)はまぶたの上下にあるので、指で上まぶたの上から下へ、下まぶたの下から上へ、軽くマッサージします。詰まった油を押し出すような感覚で優しくなでるのがコツです。眼球を圧迫しないようにしながら、両目各10回ずつ行います。
- 上まぶたと下まぶたを内側から外側に向けて優しくなでるマッサージも各10回ずつ行います。(目の周りの皮膚は薄いので、強くこすらないようにしましょう)
- 涙の油の分泌が滞ってドライアイになると、目に栄養が行き渡らなくなります。
- 目が栄養不足になると血管を伸ばして栄養を行き渡らせようとするため、白目が充血したり、血管のない黒目部分が小さくなります。
- 白目にまばたきによるタコができることがあります。これも白目が濁って見える一因に。
- ドライアイになると目の周りが血行不良になって、クマの原因にも。
- 充血やクマを防ぐには、涙の油を分泌する、目の際の油分の出口をきれいにしましょう。
綿棒を水で湿らせ、「目の際シャンプー」をします。実際にシャンプーで洗うわけではなく、まつげの生え際の内側を湿った綿棒で優しく拭き取るだけです。(綿棒が目に入らないようにご注意を)
目の際ケアでまつげがボリュームアップ?!
女性はアイメイクをきちんと落としているつもりでも、実際は目の際に汚れが残っており、目のダニが発生して炎症を起こし、まつげが脱落しやすくなります。「目の際シャンプー」によって涙の質がよくなるだけでなく、まつげが1mmほど長くなることもあります。
目の調子が悪いと容姿にも悪影響?!
目のピント調節機能が衰えると、話をしっかり聞いていないように見えるので、印象が悪くなります。また、ドライアイになると充血やクマはもちろん、目がしょぼしょぼして開けにくくなるため、目そのものが小さく見えるなど、容姿にも悪影響を与えます。目を大きく見せようとしてまつげエクステンションをしている女性も多くいますが、地まつげを傷めて減らす原因になることも。目を大きく見せたいなら、まずドライアイを改善することが先決です。
眼トレは毎日続けることで効果を実感!
眼トレを毎日実践することで、眼精疲労やドライアイによる不調を予防・改善できます。パソコンやスマホに囲まれて酷使しがちな目をときどき休めてケアすることで、心身もリラックスできます。数分の眼トレを、ぜひ毎日続けてみましょう!
選択肢を選んで投票ボタンをクリックしてください。あなたの一票が反映されます。