HOME > 特集記事 > 【2015年2月号】 「ミカンご飯」や「焼きミカン」も?! びっくり柑橘ワールドへ!

「ミカンご飯」や「焼きミカン」も?! びっくり柑橘ワールドへ!

古来より不老不死の妙薬とされてきた柑橘類。その代表ともいうべきミカンは、日本人に最もなじみ深いフルーツです。でも、ひとことでミカンといっても今はビックリするほど多種多様なミカンの仲間があるのをご存知ですか?「えっこれもミカンの仲間?」と驚くようなフルーツや、柑橘類食べ比べ、意外なミカンレシピ、ミカンアートなど、今月の元気通信は知られざるミカンの魅力に迫ります!


ミカンクイズ 〜あなたはどのくらい知っている?〜

ミカンをはじめ、普段、何気なく食べている柑橘類について、あなたはどのくらい知っていますか?


問題1
レモン、グレープフルーツ、キンカンの中で、1つだけミカン属でないのはどれ?
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答え: キンカン

ミカンは柑橘類(シトラス)の仲間ですが、柑橘類はミカン属、キンカン属など幾つかのグループに分かれます。ミカン属には「温州(うんしゅう)ミカン」や「ポンカン」「デコポン」「いよかん」「ブンタン」「はっさく」をはじめ、「レモン」「ユズ」「グレープフルーツ」なども含まれます。「キンカン」も元はミカン属の仲間でしたが、20世紀になってから新たにのれん分けされてキンカン属に分類されました。

問題2
紀州ミカン、有田ミカン、青島ミカンの中で、種類が1つだけ違うのはどれ?
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答え: 紀州ミカン

「有田ミカン」「愛媛ミカン」など、産地名がブランド名になっているミカンがたくさんありますが、それらは全て「温州ミカン」です。温州ミカンは、約400年前に中国から鹿児島県に渡来した柑橘の種から偶然育った柑橘が改良されて広まった日本原産の最もポピュラーなミカンです。
しかし、「紀州ミカン」だけは温州ミカンと品種が異なり、中国から熊本県経由で和歌山に伝わった小ミカンがルーツです。紀州ミカンのほうが歴史が古いようですが、明治以降は皮がむきやすくて種がない温州ミカンが主流になっていきました。
「青島(あおしま)ミカン」は、中国の青島(チンタオ)産と勘違いされがちですが、静岡で果樹園を営む青島平十(あおしまへいじゅう)さんが発見した温州ミカンの一種で、その代表格が静岡県浜松市三ヶ日町産の「三ヶ日ミカン」です。

問題3
温州ミカン、ポンカン、ブンタンの中で、ビタミンCが1番多いのは?
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答え: ブンタン

柑橘類といえば、やはり豊富なのが風邪や感染症予防などに欠かせないビタミンCです。ヘタや果皮を除いた100g中のビタミンC含有量は、温州ミカン33mg、ポンカン40mg、ブンタン45mgとなっています。厚生労働省の基準ではビタミンCの1日の必要量は100mgなので、こうした柑橘類を食べることで簡単に補えます。
ちなみに、発がん抑制作用や老化予防効果があるといわれるカロテノイドの一種「βクリプトキサンチン」の含有量は、温州ミカン1800mcg、ポンカン1000mcg、ブンタン0mcgで、温州ミカンは果実の中でもトップクラスのβクリプトキサンチン含有量を誇ります。
さらに、温州ミカンの果肉の袋や白い筋には高血圧や動脈硬化を予防するフラボノイドの一種「ヘスペリジン(ビタミンP)」も含まれているので、筋を取らず袋ごと食べるのがおすすめです。


いろいろなミカンの仲間を比べてみよう!

この果実の名前、わかりますか?

ここにある9つの柑橘類は、冬に市場に出回るいろいろなミカンの仲間です。


いろいろなミカン


左から「キンカン」「さぬき紅」「ゆら娘」「はれひめ」「蜜る」「紅まどんな」「美娘(みこ)」「デコポン」「晩白柚(ばんぺいゆ)」です。大きさや形に特徴のある「キンカン」や「デコポン」「晩白柚」以外は、簡単に見分けがつきませんよね?


元気通信編集部で食べ比べてみました!

9つのミカンの仲間を編集部一同で食べ比べてみました。(※同じ品種でもその年の天候によって風味が変わります)


9つの果実を上から見たところ。

9つの果実を上から見たところ。

カットするとこんな感じに。

カットするとこんな感じに。(巨大な「晩白柚」だけはカット方法が特殊なので、後でご紹介します)

  • 「キンカン」を果皮ごと食べると、甘酸っぱさと同時にほのかな苦みを感じます。果実は古くからのどの痛みやせきを緩和する民間薬として用いられており、「金橘(きんきつ)」という生薬名でも呼ばれます。温州ミカン同様、果皮にはヘスペリジン(ビタミンP)が多く含まれます。
  • 「さぬき紅」は、香川県で育成された小原早生温州みかんの一種で、濃く紅い果皮と果肉が特徴です。果皮は薄くてむきやすく、房は弾力があって果汁がたっぷり。通常の温州ミカンよりも甘さが際立っています。
  • 「ゆら娘」は、和歌山県由良町で栽培されている「ゆらっ子」という糖度が13度以上の温州ミカンの中でも、特に糖度の高いミカンです。甘さが濃く、中の皮も薄く繊細なので、皮が苦手な人でも食べられます。
  • 「はれひめ」は、「清見(宮川早生温州ミカン×トロビタオレンジ)」と「オセオラオレンジ」を交配し、さらに宮川早生ミカンを交配して育成した交雑種です。果皮は分厚いけれどなめらかで、意外と指で簡単にむけます。甘すぎず、オレンジに似た風味があります。
  • 「蜜る」は、日本有数のミカン産地愛媛県西宇和島産の温州ミカンの中でも1割ほどしかない糖度13度前後の果実を選りすぐった高級ミカンです。果実はジューシーでまさに蜜のような上品な甘さが楽しめます。
  • 「紅まどんな」は、「南香(三保早生温州ミカン×クレメンタイン)」と「天草(清美×興津早生温州ミカン×ページオレンジ)」の交配により育成された愛媛産のハイブリッドな品種。通常のミカンより一回り大きく、果皮は薄いけれどむきにくいのでカットするのがおすすめ。甘い香りが強く、果肉がゼリーのようにぷるんとした食感です。
  • 「美娘(みこ)」は、大分県内の温室栽培で作られた「天草」の中でも、光センサーで外観・味・品質基準を厳選したもの。初々しい生娘を意味する大分の方言「びこ」にちなんで名づけられたそう。一回り大きく、果皮も濃く、温州ミカンとオレンジが絶妙に融合した風味が特徴です。
  • 「デコポン」は、「清見(宮川早生温州ミカン×トロビタオレンジ)」と「ポンカン」の交配種で、頭のてっぺんが出っ張っているのが特徴。正式には「不知火(しらぬい)」という名ですが、糖度13 度以上、クエン酸1%以下のものが「デコポン」と呼ばれています。見た目はぼってりしていますが、甘みが濃く、袋ごと美味しく食べられます。
  • 「晩白柚(ばんぺいゆ)」は、重さが2kg以上もある西瓜のように巨大なブンタンで、「オクテシロザボン」ともいわれます。マレー半島原産で、昭和初期に熊本県に渡り、同県八代市の特産として知られています。黄色い果皮は厚さが2〜3cmあり、カットするにはコツが入ります。

    晩白柚は大人の頭と同じくらいの大きさ!爽

    晩白柚は大人の頭と同じくらいの大きさ!爽やかな香りがする頃が食べ頃。

    果皮のみをタテに八等分して果実をとり出します。

    最初にへたの周りをカットし、果皮のみをタテに八等分して果実をとり出します。

    ようやく発掘した果実もやっぱり大きくて重い!

    ようやく発掘した果実もやっぱり大きくて重い!ユズに似た酸味が際立つ濃密な香りが漂ってきます。

    分厚い袋をむいて普通の温州ミカンの10倍以上の大きさの果肉をいざ賞味!

    分厚い袋をむいて普通の温州ミカンの10倍以上の大きさの果肉をいざ賞味!果汁は意外と少なめですが、果肉はたっぷりボリューミー。9つの柑橘の中で一番酸味が強く、ワイルドな風味食感でした。果皮もお風呂に浮かべたり、鍋で煮て砂糖漬けにして楽しめます。


ミカンを焼く?炊く? 意外なミカン料理にチャレンジ!

「ミカンは生で食べるもの」と思いきや、ミカンを焼いたり炊いたりすると、美味しく栄養価も増すそう。元気通信編集部でも早速チャレンジしてみました!

CHALLENGE 1 焼きミカン&焼きキンカン

ミカンを焼くというとびっくりされるかもしれませんが、実は風邪の初期症状を抑える民間療法として古くからあったレシピです。丸ごと焼くことで、果皮の成分が実に染み込み、栄養をたくさんとることができます。


オーブントースターにミカンを載せて焼きます。

オーブントースターにミカンを載せて焼きます。ついでに串に刺したキンカンも焼いてみました。コンロで網に載せて焼いてもOKです。

こんがり焼けてくると、焼き芋のような香ばしい香りが漂ってきます。

こんがり焼けてくると、焼き芋のような香ばしい香りが漂ってきます。キンカンからは果汁が溢れてくるので、汚れが気になる場合はアルミ箔を引きましょう。

焼きたてのミカンは甘みがぐっと増し、口中に広がる果汁も濃厚!
熱々のうちに食べるほうが美味ですが、火傷にご注意を。

焼きたてのミカンは甘みがぐっと増し、口中に広がる果汁も濃厚!身体がほっこり温まります。熱々のうちに食べるほうが美味ですが、火傷にご注意を。キンカンは焼くと皮のフレッシュな風味が損なわれてしまうので、焼かないほうが美味しいという意見も…。

CHALLENGE 2 ミカンご飯

ミカンの産地ではミカンの果汁や果皮を入れたミカンご飯やミカンピラフが給食に出る所もあるそうです。最もシンプルなミカンご飯のつくり方にチャレンジしてみました。


米2合をといて皮をむいたミカンを丸ごと入れます。

米2合をといて皮をむいたミカンを丸ごと入れます。水は通常の炊飯時と同じ分量でOK。この時は体に優しい養命水を使用しました。

通常のご飯を炊く要領で炊飯器をスイッチオン。

通常のご飯を炊く要領で炊飯器をスイッチオン。ご飯がフツフツ炊けてきても、ミカンの様子は一見変わりません。

ご飯が炊けたら、しゃもじでミカンを切るようにして軽くほぐします。

ご飯が炊けたら、しゃもじでミカンを切るようにして軽くほぐします。炊けたミカンは驚くほど柔らかく、あっという間にホロホロ崩れます。

ご飯がミカン色になるまで全体的によく混ぜます。

ご飯がミカン色になるまで全体的によく混ぜます。ミカンの甘酸っぱい香りがふわ〜んと漂ってきます。

完成したミカンご飯を早速試食!ほんのり甘いミカンの風味で予想以上に美味!

完成したミカンご飯を早速試食!ほんのり甘いミカンの風味で予想以上に美味!チラシ寿司の寿司めしベースにしてもいいかもしれません。

ミカンの皮に盛り付けると、ちょっとしたおもてなしの一品にも。

ミカンの皮に盛り付けると、ちょっとしたおもてなしの一品にも。


おまけ!ミカンの皮アートに挑戦

ミカンを食べる時に皮のむき方を一工夫するだけで、こんなミカンアートも楽しめます。細かな細工は竹串を使うのがおすすめです。


最も簡単な「カタツムリミカン」

最も簡単な「カタツムリミカン」

竹串で皮を8等分すれば「タコミカン」

竹串で皮を8等分すれば「タコミカン」

ミカンの上下をむいて広げると、とても食べやすいです。

ミカンの上下をむいて広げると、とても食べやすいです。

裏返すと「イモムシミカン」に!

裏返すと「イモムシミカン」に!

ミカンを2つ使って「ネコミカン」

ミカンを2つ使って「ネコミカン」


むいたミカンの皮も有効活用!

むいたミカンの皮はよく洗った後、窓辺で1週間ほど乾燥させ、布の小袋などに入れてお風呂に浮かべて使えます。果皮に含まれる成分リモネンには保温効果が、ビタミンCには美肌効果が、クエン酸には入浴後の汚れ落とし効果があります。


むいたミカンの皮も有効活用


まとめ

栄養豊富で手軽に食べられるミカンは、種類も豊富で、食べ方もいろいろ。ミカンが旬の季節にぜひいろいろなミカンや柑橘類を食べ比べてみてください。


いろいろなミカン




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