HOME > 生薬ものしり事典 > 【2015年2月号】かんの虫にも効く?!「連銭草(れんせんそう)」

生薬ものしり事典 29 かんの虫にも効く?!「連銭草(れんせんそう)」


今回の生薬ものしり事典は、過去にご紹介した生薬百選より、糖尿病対策にもなる生薬「生薬百選59 連銭草」をピックアップしました。

糖尿病の治療にも使われるハッカ風味の薬草

お正月太りしてメタボが気になる方も多いのではないでしょうか?
メタボ(メタボリックシンドローム:代謝症候群)は、内臓脂肪型肥満、高血糖、高血圧、高脂血症の4つに大別されます。
メタボの人は「糖尿病」になる確率が高いといわれています。そこで今回は「糖尿病」の治療に期待されている生薬「連銭草(れんせんそう)」をご紹介します。

生薬「連銭草」
生薬「連銭草」

生薬名「連銭草」の由来は、葉形がお金(銭)のようで茎に連なっているからとされていますが、これを持っているとお金がたまるという話は全く聞きません。子供の癇(かん)の虫に効くことから「カントリソウ」という別名もあるそうです。食べるとハッカのような風味がします。

2005年5月2日撮影
2005年5月2日撮影

基原植物はカキドオシ(学名:Glechoma hederacea L. subsp. grandis (A.Gray) H.Hara・シソ科)の地上部です。この植物は日本全土の日の当たる路傍や山野に自生しており、植物名の由来は隣接地から垣根を通して進入してくるためです。「雑草」としてよく見かける身近な薬草といえるでしょう。

連銭草は利尿、消炎薬として、黄疸、胆道・腎臓・膀胱の結石、糖尿病治療、虚弱体質、強壮などに良いとされているほか、抗潰瘍作用、抗菌作用も報告されています。糖尿病に関しては、実験用糖尿動物による検討で血糖降下作用が認められ、タラノキより高かったとのことです。
連銭草に含まれる成分は、精油成分(ピノカンフォン、メントン、リモネン、メントールなど)、アミノ酸(プロリン、バリン他)、タンニン、サポニンなどが知られています。

連銭草は外国でも生薬として利用されており、中国では公定書「中華人民共和国葯典(基原植物はGlechoma longituba (Naka) Kupr.・コウライカキドオシ)」に収載されています。また、ヨーロッパでも近縁種のセイヨウカキドオシが古くから民間薬として利用されてきたようです。