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東洋医学であなたの体調・体質チェック!5つのタイプ別夏バテ養生法

夏の終わりは、たまった疲れが一気に出て体調を崩しやすいときです。東洋医学の養生法のひとつとして、「気・血・水」の巡りという観点から、その人の体調・体質によってタイプを分け、それぞれに合わせた手当をする方法があります。そこで今月の元気通信では、東洋医学の人気ドクターに、5つのタイプ別の夏バテケア方法をアドバイスしていただきます!


お話を伺った先生 南雲久美子 博士

目黒西口クリニック院長。1982年、杏林大学医学部卒。北里研究所附属東洋医学研究所で東洋医学を学び、1996年に東洋医学と西洋医学を融合した治療を行う目黒西口クリニックを開業。冷え症、自律神経失調症をライフワークに、『新版 冷え症・貧血・低血圧』(主婦の友社)、『タイプ別・冷え症改善ブック』(家の光協会)など著書も多数。

「気・血・水」の状態から心身の不調を診断

東洋医学では「気(元気のもととなる生命エネルギー)」「血(血液)」「水(リンパ液などの体液)」という観点から、それらが心身に過不足なく巡っている状態を健康ととらえています。「気・血・水」は、互いに影響し合っており、その1つでも不足したり滞ると、心身に不調が表れます。特に夏の終わりから秋にかけては、「気・血・水」のバランスを崩しがちなので要注意です。


東洋医学的5つのタイプ別チェック!今のあなたはどのタイプ?

次の5つのタイプ別のチェック項目の中で、当てはまる項目の数をカウントしてください。
1番多くチェックがついたタイプが、現在のあなたの体調・体質を表しています。
チェックが複数のタイプで同じ数ある場合は、混合型のタイプです。
なお、5つのタイプは、年齢や時期によっても変わってきます。


この項目が1番多い人は気虚(ききょ)タイプ

この項目が1番多い人は気滞(きたい)タイプ

この項目が1番多い人は→血虚(けっきょ)タイプ

この項目が1番多い人は→瘀血(おけつ)タイプ

この項目が1番多い人は→水毒(すいどく)タイプ


不調の原因や症状はタイプによってこんなに違う!5タイプ別夏バテ養生ケア

「気虚・気滞・血虚・瘀血・水毒」それぞれのタイプによって、不調の原因や症状も、養生の方法も異なります。自分のタイプに合わせて夏バテケアをしましょう。


気虚タイプ
エネルギー不足でどんよりお疲れモード

東洋医学で「虚」とは本来あるものが不足した状態のこと。このタイプは生まれつき全身のエネルギーが不足している体質のため、最も夏バテしやすくお疲れ気味です。抵抗力や免疫力が落ちているので、体調を崩しやすく、夏風邪をこじらせたりするので、睡眠不足、過労、冷えには要注意です。

夏に最も弱い!気虚タイプの養生

スタミナをつけようと、がっつり系料理を食べていませんか?

「夏はしんどいから、ウナギでも食べて元気を出そう」——体力のない気虚タイプの人は、スタミナ料理でなんとか気を補おうとする傾向がありますが、胃腸が弱いので、ウナギや焼き肉などの脂っこい料理はかえって胃腸に負担をかけてしまいます。夏は特に消化のよいものを食べ、冷たいものはなるべく避けて、普段より長めに休むようにしましょう。

気滞タイプ
エネルギーがめぐらずどんより停滞

エネルギーは足りているけれど、その流れが滞っているため、エネルギーが全身にみなぎっていない状態です。この状態が悪化すると、エネルギー不足の「気虚」になります。張りや痛みを起こしやすく、ストレスが強いと痛みが増す傾向に。夏は外の暑さと冷房による温度差から、自律神経失調症になりがちです。

秋口が危険!気滞タイプの養生

夏だからと夜更かしをして無茶をしていませんか?

「夏休みだし、夜中にDVDでも観ようかな」——滞っていてもエネルギーがないわけではない気滞タイプは、夏だからと夜更かしをしたりしがちですが、睡眠不足は気が滞って、秋口に体調を崩す原因になるので、夏はできるだけ長くぐっすり眠ることを心がけましょう。自律神経のバランスを崩さないためにアロマセラピーやストレッチなどをするのもおすすめです。

血虚タイプ
栄養不足で全身カサカサ状態

血液の量が不足していて、全身の細胞に栄養を行き渡らせることができない状態です。そのため、血色が悪く、髪や肌などが乾燥しがちで、手足のしびれや立ちくらみなどが起こりやすく、冷房のかかり過ぎが苦手です。ケガや手術などで出血した後も血虚になりやすいといえます。

晩夏に注意!血虚タイプの養生

暑いからと冷房の温度を下げ過ぎていませんか?

「寝苦しいから冷房をつけっぱなしで寝よう」——残暑が厳しいと冷房に頼りがちになりますが、血虚タイプと瘀血タイプは血行を妨げる冷えに弱いので、晩夏に冷房病によるめまいや食欲不振などの不調に陥りがちです。このタイプは夜も頭寒足熱を心がけ、足元を冷やさないのがポイントです。特に血が足りない血虚タイプは、ウナギやレバニラ炒めなど、血を補う料理を摂るようにしましょう。

瘀血タイプ
血の巡りが悪くドロドロ血行不良

血液量は不足していませんが、体内で血液の流れが悪くなっている状態です。血虚や気虚、気滞が原因で瘀血になる場合もあり、女性は月経困難症が起きやすい傾向があります。血行不良につながる運動不足や、冷房による冷えに要注意です。

強冷房が苦手!瘀血タイプの養生

養生ケアのポイントは、基本的に血虚タイプと同じです。

水毒タイプ
水の巡りが悪くポッチャリむくみがち

水分の代謝が悪くなり、体内に水分が余分にたまってしまったり、必要なところに水分が行き渡らなかったり、水分バランスが悪くなっている状態です。湿気と寒暖差に弱いので、夏はむくんでだるくなったり、めまいや頭痛を起こしやすくなりがちです。

湿気と温度差が大敵!水毒タイプの養生

むくみ解消のために長風呂していませんか?

「熱いお風呂にじっくり浸かってデトックスしよう」——水毒タイプは温度差に弱いので、熱いお風呂やサウナに入ると大汗が出て、その後体が急激に冷えてしまうので、シャワーをサッと浴びる程度にしておきましょう。さらに、冷房の効いた室内で冷たい飲みものをガブガブ飲むと、むくみやすくなるので、常温の飲みものをチビチビ飲むようにしましょう。また下半身がむくみがちなので、スクワットなど下半身の筋力を強化する運動をするのがおすすめです。


5タイプの症状が複数混じっている人は、気・血・水全体のバランスが総崩れ!

5タイプの症状が複数混じっている人は、体内のエネルギー、血液、水分のバランスが全体的に悪くなっています。その分、症状も重くなるので、重なっているタイプのケア方法をとりまぜて養生しましょう。


コラム1)年齢以上に気・血・水のバランスが悪くなっていませんか?

年齢や時期によって、その人の体調が異なるように、瘀血→血虚→水毒→気滞の順に症状が出てくる傾向があります。女性の場合は7の倍数、男性の場合は8の倍数の年齢で進行します。たとえば20代や30代でも40代に出やすい気滞の症状が出ていたりしたら、年齢以上に気・血・水のバランスが悪くなっている可能性があるので要注意です。ただし、気虚タイプだけは、そもそもエネルギーの足りない虚弱体質なので、暑くなるとすぐに夏バテしやすいのです。一方、他のタイプは気虚よりはムリが利く分、夏の終わり以降にガックリきてしまいがちです。



まとめ

いずれのタイプも、この季節は夏の間にたまった疲れから体調不良を引き起こしやすいといえます。残暑が厳しいからといって、必要以上に強い冷房や、冷たいものの摂り過ぎで体を冷やさず、しっかりと休息と睡眠をとるようにしましょう。



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