HOME > 特集記事 > 【2011年7月号】 暑さ対策の“チョイ足し”術



今年の夏も暑くなりそうです。さらに、例年になく「節電」を意識する夏になりそうですよね。そこで今回は、ちょっとした工夫で「涼」を得る方法をご紹介します。


いろんな工夫の「合わせ技」で涼を得る!!

今年は猛暑が予想されるうえに、節電を意識している方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、ちょっとした工夫でできる「涼」の取り方をご紹介。ぜひとも実践してみてはいかがでしょう。

ふだんの食卓に、体の熱をとる「ごぼう」をチョイ足し
東洋医学において、夏は「陽気(体を温める熱エネルギー)」を程よく発散させるようにするべし、といわれています。その方法のひとつが、体を冷ます食材を摂ること。たとえば「ごぼう」です。あまり夏のイメージがないかもしれませんが、ごぼうの旬は初夏と初冬。今の時期には「夏ごぼう」が出回っています。ごぼうはもともと中国から薬草として日本に伝わってきたといわれ、日本で食用となった野菜。体の中の余分な熱を冷ます効果があります。また、ごぼうの種は「牛蒡子(ごぼうし)」という名の生薬で、風邪を引いたときの解熱などを目的として今でも用いられています。

今なら間に合う!ベランダに蔓性(つるせい)植物をチョイ足し

ゴーヤやアサガオ、ヘチマなど、蔓(つる)が伸びる植物をベランダで育て、「緑のカーテン」を作る家庭が増え始めています。これは部屋に差し込む直射日光を遮るだけでなく、建物の壁やベランダに熱を蓄積させない効果もあるため、ヒートアイランド現象の緩和にも役立つスグレモノです。葉っぱからは植物の水分が蒸発するため、その水蒸気を含む風がお部屋に入ってきます。なにやら大がかりそうと思われるかもしれませんが、プランター1、2個分の幅があればOK。プランターに支柱を2本立て、その間ネットを張って、植物の蔓を這わせるようにします。ゴーヤやヘチマなどは6月半ばくらいまでに苗をプランターに植えるようにしましょう。その時期が過ぎてしまったら、朝顔がオススメですよ。


涼しい風を通す!すだれにスプレーで「霧」をチョイ足し

直射日光を遮ることは、部屋の温度を上げ過ぎない大前提。緑のカーテンが面倒という方は、すだれやよしずでも十分効果があります。その際、窓を開けたら霧吹きで水を少しすだれや網戸に噴射すると、通り抜ける風が冷やされるため、若干の「涼」を得ることができます。


気化熱で温度を下げる!朝の習慣に「打ち水」をチョイ足し

昔から伝わる「涼」の取り方、打ち水。ベランダや道路、玄関先だけでなく、家の壁などにかけても効果があります。夏の道路の路面温度は60℃に達することもありますが、打ち水によって路面温度が約15℃下がったというデータもあるほど。日照条件などにもよりますが、気温も2℃ほど下がるといわれています。これは、水が蒸発する際に、周囲の熱を奪う「気化熱」によるもの。すぐに蒸発してしまう日中よりも、朝や夕方などのほうが効果が持続するのでオススメです。また、昨今は保水性を謳うタイルも販売されています。これらを並べて敷いたうえで打ち水をすると、さらに効果的です。また、ベランダに室外機がある場合、室外機周辺の温度が下がることで経済的にも効率がよくなります。


気分爽快!下着ラインナップに「ステテコ」をチョイ足し

昨年あたりから、昔懐かしいステテコに注目が集まっています。白一色のオーソドックスなものだけでなく、オシャレでデザイン性に富んだものが多く、汗を吸う吸水性や速乾性を備えたものまで、多種多彩です。下着としてはもちろん、お部屋にいるときの部屋着としても重宝しますよ!


「暑くてイライラ」予防にも!三時のおやつに「バナナ」をチョイ足し
熱帯地方のフルーツは、体を冷やす効果のあるものがたくさんあります。その中で、お値段も安くて入手しやすいものといえばバナナ。体内の熱を和らげるだけでなく、食欲が滞りがちな夏、バナナは栄養価が高いうえ、消化吸収にも優れているため、オススメです。さらにカリウムを多く含んでいるため、暑さでイライラする気持ちを和らげる効果も期待できます。

寝る前のリラックス状態に「あったかいお茶」をチョイ足し

そんなことしたら体温が上がるんじゃない!?と思われるかもしれません。その通り!体温がアップします。しかし、眠りのメカニズムでは、体温の幅が大きいほど眠りやすくなるので、あえて体温を上げて眠りに入るにつれて下がるという仕組みを作り出すための「あったかいお茶」ということです。つい寝る前に冷たいモノを飲んでしまいがちですが、あえて温かい飲み物を試してみてはいかがでしょう。


汗のニオイをシャットアウト!タオルに「水」をチョイ足し

大量の汗をかく夏。外出する際は汗ふき用としてハンカチを持参する方も多いと思います。オススメなのは、ハンカチの他にタオルも持ち歩くこと。これは体臭対策のためです。汗は本来ほぼ無臭ですが、蒸れた皮膚に付着した細菌が汗で繁殖してしまうことによって臭いが生じてしまいます。これらを拭い取るには、乾いたハンカチよりも「湿ったタオル」のほうが効果的です。


それでも暑い!そんな時はクーラーの前に「扇風機」をチョイ足し
今年は扇風機が飛ぶように売れています。なるべく扇風機のみで過ごしたいところですが、猛暑日ともなるとさすがに厳しいです。よく「窓際に置いて(部屋側を向けて)、外の空気を取り込んで空気の流れを作るといい」といいますが、これは外の空気が部屋の中よりも涼しい場合に有効なこと。どうしても我慢できない場合は、無理をせずに温度設定を28度以上にしてクーラーを利用する選択肢をとりましょう。その際、扇風機をクーラーの風が当たる位置において、やや上向きにして回すと、冷たい空気が拡散されて部屋全体が効率よく涼しくなります。また、複数の部屋でそれぞれクーラーを利用するのではなく、一台を稼働させてドアを開け、冷気を送りたい部屋に向けて扇風機を回すようにすると節電効率もアップします。


今年の夏は気をつけて!室内でもなりうる熱中症


夏になると新聞などで報じられる、熱中症による事故。消防庁の調査では、2010年の7月から9月の期間、全国で53,843名が熱中症で搬送されました。今年もすでに、熱中症による事故が生じ始めています。本格的な夏を迎える前に、予防についておさらいしておきましょう。

熱中症は、高温多湿な環境下で、体内の水分や塩分(ナトリウム等)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破たんをきたして発症する障害の総称です。気温の高さはもとより、風が吹いているか、湿度が高いか低いかといったことも関係します。急に暑くなる梅雨あけの前後、熱中症患者の症例数が急激に増えますので十分注意してください。

また、炎天下でのスポーツや労働中だけでなく、日常生活を送る中で発病することも多いのが特徴です。さらに驚くべきは、日なたに出ている時よりも、屋内で発生することのほうが多いこと。「家にいれば安心」というわけではありません。年齢別では、若年層ほどスポーツ中の発症が多く、年齢が高まるにつれて日常生活やレジャーでの発症が増える傾向にあります。


【予防】

普段から心がけるべき点は、まず体調をしっかり整えておくこと。夏は睡眠不足に陥りやすいため、自律神経のバランスが乱れがちになり、食欲不振や疲労感を覚えやすい季節です。体調が思わしくないときは、決して無理をしてはいけません。

こまめな水分補給も重要。屋外はもちろん、自宅にいるときも積極的に水分を摂りましょう。汗でナトリウムが失われるため、スポーツドリンクがおすすめです。食塩水(1リットルに1〜2gの食塩を混ぜた食塩水も有効です。意識すべきは「喉がかわいたな」と思ってから飲むというより、なるべく日頃からこまめに摂取することです。特に高齢の方は喉の乾きに気づきにくくなるため、時間を決めて飲むようにするとよいでしょう。ただし、過剰にガブガブと飲み過ぎるのも体によくありませんので、ご注意ください。

服装は、吸湿性や通気性のよいものを着るように心がけること。屋外に出かけるときは帽子も忘れずにかぶりましょう。

また、暑さがそれほど厳しくない今の時期にやっておきたいのは、適度な運動です。運動により代謝を上げておくと、「体温調整できる体」で夏を迎えられます。


【熱中症の疑いが出たら】

以下の症状が出たら、熱中症の疑いがあります。


◎ズキズキする頭痛 ◎めまい、立ちくらみ、吐き気
◎いつもより体温が高い ◎いつもより汗が出ない
◎皮膚が熱い、赤い ◎意識障害

このような症状を覚えた際に心がけるべきことは、まず涼しい環境に移動すること。周囲の人がこのような事態になった場合は移動させましょう。当然ながら重症の場合は救急車を呼ぶことが先決ですが、到着するまでの間、衣服を脱がせ、体に水をかけてうちわや扇風機で風を送って冷やす応急措置をとってください。意識がもうろうとしていたり、吐き気を覚えている時以外は、水やスポーツドリンクを飲むことも大切です。



できるかぎり節電を意識し、涼をとる工夫をして夏を過ごしたいところですが、「無理は禁物」であることも同時に心に留めておくことが大切です。自分や家族の体を十分にケアして、健やかに夏を過ごしましょう。