HOME > 特集記事 > 【2011年5月号】 年齢と健康 〜女は「7」の倍数、男は「8」の倍数〜



長い人生、体調には波があるものですが、女性は「7」の倍数、男性は「8」の倍数の年齢に体の変化が起こりやすいという考え方をごぞんじですか。


女は「7」の倍数、男は「8」の倍数が要チェックポイント



上の一覧を見て、みなさんはどう思われましたか?女性は28歳、男性は32歳に成長のピークを迎え、その後は中医学(中国の伝統医学)でいうところの「腎気(生命活動に必要とされるエネルギーの基礎物質)」が衰退していくと考えられています。

もちろん、体の変化には個人差があります。さらに、2000年以上前の書物ですから、現代とは生活サイクルや食生活、ひいては寿命までもが異なることでしょう。ただ、「いわれてみれば…」という「思い当たるふし」があるという方も、いらっしゃるのではないでしょうか?

加齢に抗うのではなく、年齢とともに自分の健康状態をつぶさに観察し、その時その時で出来ることをやっていく…そのためには、この“倍数”に差し掛かった時に自分を顧みることも、ひとつ有効であるといえます。年齢と向き合ってみる考え方ですね。

今回は、さまざまな年齢の方に話を聞きながら、そのケアと考え方についてご紹介したいと思います。

【 成熟期 】女は28、男は32〜 多少の無理が効くゆえ、不摂生しがち


女性としての体が出来上がるのは21歳、男性は24歳。そこから女性は28歳、男性は32歳のピークを目指して駆け上がります。正直なところ、このくらいの時期は男性も女性も、あまり健康に気遣うことも少ないといえるのではないでしょうか。

ただし、健康に気を遣わなくても「ルックス」には気を遣う多感な時期。そのため、現在は若い女性の間で「痩せすぎ」がひとつの問題になっています。この「痩せすぎ」な体は、肌荒れや冷え、動悸やめまい、便秘、イライラ、ひいては骨粗しょう症などの原因になることもあるほど、体に悪影響を及ぼします。もちろん、若い頃だけでなく、いくつになっても「痩せすぎ」は万病の元ですので、注意が必要です。

さらに、無理が効く年代ゆえに陥りがちなのが、睡眠不足です。「若い頃は、徹夜しても別に平気でしたけど、だんだん睡眠不足がそのままお肌の状態に表れるようになってしまって、これはマズイなと」と語るのは、出版社勤務の宮村さん(女性・32歳)。締切前には夜を徹した作業になることも多い仕事柄ですが「最近は、徹夜は無理ですね。徹夜しようものなら、次の日は仕事の効率がガクンと下がってしまうので、忙しくてもしっかり寝るように心がけています」とのことでした。

睡眠不足も、年齢にかかわらず健康の大敵です。若い頃に無理が効くのは、睡眠の「質」によるところが大きいといえるでしょう。寝つきがよくて熟睡できるため、短時間睡眠でもパワーをチャージすることができます。ただし、この「質」は加齢とともに低下する傾向があり、高齢の方になるほど夜中に目が覚めてしまったり、早起きになったりと、眠りが浅くなってしまうようです。充実した睡眠を取るために有効なのは、ぬるめのお湯にゆったり浸かる入浴。人間の自律神経は、緊張している時には「交感神経」が優位になり、睡眠などリラックスモードの時は「副交感神経」が優位になります。ぬるめのお湯に浸かることで、副交感神経のスイッチが入り、寝つきがよくなるといわれています。

また、適度な運動も効果的です。人間には、体温が下がると眠気を覚える性質がありますが、運動をして体温をいったん上げることで、その後の就寝前には体温が下がりやすくなり、結果として深い眠りが訪れやすくなるというわけです。
ただ、寝る直前に激しい運動すると、逆に交感神経が目覚めてしまい、眠れなくなりがちですので注意してくださいね。

【 転換期 】女は35、男は40〜 「生きがい」と「楽しみ」で、まずは心を健やかに


「ちょうど今年が35歳なんですよ。今年になって、ほうれい線が気になりだしましたね」と語るのは、主婦の唐沢さん(35歳・女性)。いわゆる「お肌の曲がり角」を意識する女性が多くなるようです。

「もちろん、お肌のケアはしますよ。ただ、この世界ってキリがないな、とも思っているんです。気になり始めたら際限がなくて、どんどんそこにお金を費やすことになりますよね」。確かに、若い容姿の自分でありたいと思う心は、誰もが少なからず持っているはず。ただ、唐沢さんは「運動をしたり、なるべく新鮮な食材で料理したりと、普段の生活を意識する」ことでケアしようと考えているようです。

「後は、趣味ですね。子どもと一緒にピアノを習い始めたんですよ。私も子どもの頃に習っていたんですけど、その時の先生がちょっと厳しすぎてピアノ嫌いになっていたんです。でも、今は自由に楽しく弾けていますね。楽しみをみつけることも、健康な自分でいるために必要な気がします。あと、息子の友達のお母さんで韓流スターにハマっている人がいるんですけど、不思議とハマったとたんにイキイキして、若くなった気がするんですよね。やっぱり女はいくつになっても“恋すること”は大事なのかも(笑)」。

一方、男性は40歳がターニングポイント。しかし現代社会においては、もうちょっと若い頃から「衰えたな…」と感じる人も増えているようです。

「自分は“食べても太らない”体質だと若い頃は思っていたのですが、しっかりメタボになってしまった」と語るのは、商社勤務の飯塚さん(男性・42歳)。「38歳ぐらいからお腹の肉が気になり始めたんですが、同時に前よりも疲れを感じやすくなりました。食事はなるべく野菜や魚を中心に…と考えているんですが、付き合いなどで飲む機会も多いですから、なかなか難しいところです」。

現代社会の40歳といえば、会社の中ではいわゆる中間管理職。飯塚さんも、現場でバリバリ働いていた以前から、人材を育ててまとめあげていく役職に就いたことで「前とは違うストレスを感じるようになりましたね」と話してくれました。

よく知られていることですが、ストレスは万病のもとです。ストレスが引き金となった暴飲暴食がメタボリック症候群の原因となったり、ストレスがもたらす過緊張状態が内臓に悪い影響をおよぼすこともあります。さらに人間はストレスを感じると呼吸が浅くなり、体内の酸素が不足しがちになる傾向があります。酸素が不足すると疲れを感じやすくなるため、なるべく最小限の動作でまかなおうとします。それが運動不足につながり、筋肉が落ちて代謝が低下。脂肪が燃えにくくなってメタボに…という悪循環につながることもあるようです。

仕事の重要な接待など、飲食の機会は増えがちですが、たとえば揚げ物を減らして刺身にするなど、食生活には気を配り、また適度な運動も心がけましょう。

【 熟年期 】女は49、男は48〜 運動と食生活が改めて大切になる世代


40代半ばから50代前半にかけて陥りやすい更年期障害。以前はホルモンバランスの乱れによる女性特有の症状と見なされていましたが、昨今では男性でも更年期障害に悩む方も増えてきました。家電メーカーに勤務する古谷さん(男性・51歳)も、かつて更年期障害に悩んだ経験がある一人。

「50歳に差し掛かった頃、“最近、仕事に集中できないな”と漠然と感じて、気合が足りないなと思って自分にハッパをかけていました。それでもなかなか改善されない。あと、そんなに肩こりを感じるタイプではなかったのですが、なんだか肩と背中が常にどんよりと重いんです」

古谷さんが感じたのは、男性の更年期障害特有の症状。集中力の欠如、疲労感、さらに性機能にも衰えを感じるようになったといいます。

「いよいよこれは何かあるな…と思ったのは、どんなに忙しくても楽しめていた休日のゴルフすら億劫になってきた時ですね。“行こう!”という気力が起きないんです。知人にその話をしたら、一度問診を受けたほうがいいと進められて、泌尿器科に行ったら更年期障害と診断されました」

閉経というわかりやすい体の変化がひとつの起因になる女性の更年期障害と違い、男性の場合は顕著な症状が出にくいという特徴があります。また、性格がきまじめで責任感の強い人や、長年続けていた運動をやめた人などが陥りやすいとも言われています。そんな古谷さんが現在取り組んでいるのは、早朝のウォーキング。「あれこれやるのではなくて、朝のウォーキングだけ頑張ってみよう、と続けています。運動するから疲れるだろうと思っていたのですが、運動不足の時期よりも疲れは感じなくなりましたね。少しずつ、体調も上向いている気がします。“早く治さないと!”と考えることも逆効果と医師に言われましたので、焦らずに自分と向き合っていこうと思ってますね」

一方、主婦の有坂さん(女性・54歳)は、現在「骨粗しょう症」の対策に励んでいます。

「知り合いの同い年の女性が、48歳の時に骨粗しょう症になったんです。“そんなに早くなるものなの?というのが正直な感想でしたね。そこで私も骨密度の測定と問診を受けまして、“将来的に骨粗しょう症になる可能性が高い”と言われたんです」

骨の密度は、一般的に女性なら20〜25歳、男性なら25歳〜30歳の時期にピークを迎え、以降は年々減少するといわれています。骨の密度が極端に低下し、骨が折れやすくなる骨粗しょう症は60歳以降によくみられる症状ですが、昨今では40代で診断が下る人もいます。「まだ大丈夫だろう」と考えず、早めに検査を受けておきたいところ。有坂さんも「早めに受けたからいろいろと対策ができている」と実感しています。

「小魚、チーズやヨーグルトなどの乳製品、大豆食品をバランスよく摂るように心がけてますね。鶏肉やレバーなどタンパク質を含む食品も積極的に摂っています。運動は、たまに水泳に出かけてます。あとはバランスボールを購入しました。テレビを観ながら、座った状態から片足を上げたりして使っていますね」

カルシウムやタンパク質を多く含む食品と、適度な運動が対策のカギとなります。また、単に筋肉を鍛えるのではなく「体のバランスを取りながら鍛える運動」は、年齢の高い方にはぜひともおすすめしたい運動。「骨を弱らなせない」だけでなく「転ばない」ためのトレーニングにもなるからです。

たとえ若い頃に不摂生していたとしても、体のケアはいつでも始められます。年齢ごとに自分の体と向き合い、将来のために今どんなケアをすべきか、皆さんもぜひ一度考えてみてください。

女は7の倍数、男は8の倍数
人生の節目に訪れる体調の変化について説明します。
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