花と実が共に観賞できる「チャ」の木 |
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10月頃に花が咲き始めると、直径1cmほどの茶色い実がポロポロこぼれる「チャ」の木。この木の特徴は、花と果実が一緒に観賞できることです。チャの花が咲き始めると、秋は一段と深まり、冬の気配が濃くなります。淡い日差しを受け、うつむき加減に咲く白い花には、清らかな気品が感じられます。 茶の花に かくれんぼする 雀哉 茶の花に 暖かき日の しまいかな 明治時代には、岡倉天心が『茶の本』の冒頭で、「茶は医薬として始り、のちに飲料となった」と記しています。島崎藤村は随想『お茶の話』の中で、「あの寒い国に生まれたものですからね。さう云う気候の関係もあって、信州のものはいずれも茶好きです。私の茶好きも、つまりさう云うところから来てゐるのでしょう」と述べています。 チャの名前は、英語の「Tea」と同様に、漢名の「茶」の音に由来します。漢名は「茶」ですが、「茖(かく、やまにら)」の字も使われています。 学名はThea sinensisで、属名は漢名の茶の音読み、種小名も中国に関した呼称に由来することから、中国を代表する植物のひとつといえます。中国最古の生薬の書『神農本草経』(3世紀)を著した神農は、植物を口に含んで薬効を判断したため、1日72回も毒に当たったけれど、その都度、お茶の葉を用いて解毒したといわれています。 花言葉は、「追憶」「純愛」です。 出典:牧幸男『植物楽趣』 |