今回の「生薬ものしり事典」は、過去にご紹介した生薬百選より「菊花」をピックアップしました。
疲れ目やかすみ目にも一役 |
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菊は「菊酒」に用いられるなど、薬用植物として古くから使用されてきました。大菊や菊人形といった観賞用として発展したのは江戸時代の前期以降で、仕立てなどの鑑賞方法もこの時期に発達しました。菊の中でも味や香りの良い品種は、食用菊として利用されています。
生薬としての菊は、花の部分を乾燥させて用いるのが一般的で、目の疲れや熱を取るのに用いられます。東洋医学では、視力減退や目のかすみに適用される「杞菊地黄丸(コギクジオウガン)」という処方などに用いられています。健康食品の分野では、ブルーベリーやメグスリノキなどと一緒に配合して、パソコンやスマートフォンなどよく利用する人向けのサプリメントに利用されています。
菊は昔から紋様とも深い関わりがあり、鎌倉時代に後鳥羽上皇が好んで菊の意匠を用いたことから、皇室の紋として、また日本を象徴する花として菊が用いられるようになりました。その後も武家や公家の家紋として用いられ、現代でも日本国を代表する花としてパスポートや勲章、50円玉などに菊の意匠があしらわれています。 |