HOME > 生薬ものしり事典 > 【2015年7月号】薬膳料理でおなじみ!「枸杞子(クコシ)」

生薬ものしり事典34 枸杞子(クコシ)


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今回の「生薬ものしり事典」は、過去にご紹介した生薬百選より「枸杞子(クコシ)」をピックアップしました。

抗脂肪肝作用や血圧降下作用もある生薬

中国から東アジアが原産といわれるナス科のクコは、夏に紫色のかわいい花をつけ、秋にかけて赤い小さな実をつけます。この実を乾燥させたものが「枸杞子」です。365種の薬物が記載された中国最古の薬物書といわれる『神農本草経』の上品(無毒で長期服用できる養命薬の分類)に収載されている「枸杞子」は、一般には「クコの実」の名で親しまれています。

クコの花、クコの実、枸杞子
クコの花(左)  クコの実(中)  枸杞子(右)


「枸杞子」には、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンC、ニコチン酸(ビタミン3)や、カロテノイドの一種ゼアキサンチン、アミノ酸の一種ベタインなどの非常に豊富な栄養が含まれています。ベタインには抗脂肪肝作用があり、枸杞子の水抽出物には血圧降下作用が認められているので、肝硬変や高血圧などの生活習慣病の予防効果も期待できます。

ちなみに、クコは実だけでなく、根や葉にも薬効があるとされています。クコの根皮を乾燥したものは「地骨皮(ジコッピ)」と呼ばれ、解熱、強壮薬に利用されています。また、クコの葉を乾燥したものは「枸杞葉(クコヨウ)」と呼ばれ、民間薬の強壮薬として茶剤に用いられています。

「枸杞子」は薬膳料理にもよく用いられているほか、中華料理のデザートなどにも使われることがあります。「枸杞子」は、さまざまな健康効果も期待できるうえ、美味しく、料理にも美しく映えるので、一石二鳥ならぬ、一石三鳥ですね。