HOME > 生薬ものしり事典 > 【2014年9月号】種にぎゅっと薬効が詰まった「ヒマワリ」

生薬ものしり事典 24 種にぎゅっと薬効が詰まった「ヒマワリ」


めまいや難聴、血圧降下にも一役!

養命酒商品開発センター 小野洋二研究員

真夏の風景を象徴するヒマワリは、キク科の1年草で、原産地は北米といわれ、古くからインディアンに食されてきました。
ヒマワリの種子の殻をむいたものを「仁」といいますが、仁は「向日葵子(コウジツキシ)」という生薬として、出血性下痢の生薬として用いられています。
また、種子の殻は「向日葵殻(コウジツキカク)」という生薬として、めまいや難聴に使用されています。
種がついていた箇所は「花托」といいますが、これを刻んで日干しにしたものを煎じ、血圧を下げるために用いる場合もあるそうです。
さらに、中国ではヒマワリの花、葉、茎、根をそれぞれ異なる目的で使用するそうで、全草に効能が期待できるといえます。

ヒマワリは主に鑑賞用として栽培されていることもあり、その研究は栽培に関するものが大半を占めています。 食品としての機能性研究は「ヒマワリ油」としての効能が中心となりますが、花から抽出した成分の中に、コレステロール代謝や脂質の吸収に影響を及ぼす可能性を推察している報告などもあります。 庭に咲いているヒマワリを十分に鑑賞したのち、花が終わって種子がどっさり実ったら、殻からとり出した種を軽く炒って塩などを振ると、栄養価の高いおやつやおつまみにもなります。ただし、大輪の花から種が大量に採れても、脂質が多いので食べすぎには注意してください。

遊休農地を利用したヒマワリの栽培(長野県上伊那郡辰野町)
遊休農地を利用したヒマワリの栽培(長野県上伊那郡辰野町)