平安時代から栽培されているフキは、日本原産の山菜です。早春に残雪の下からいち早く鮮やかな萌黄色の顔をのぞかせるフキノトウは、フキの花のつぼみで、冬眠から覚醒したばかりのお腹を空かせた熊が最初に食べるごちそうといわれています。指でつまんで柔らかければ雌株、硬ければ雄株で、天ぷらやフキ味噌にすると、土の滋味を含んだ爽やかな香りとほろ苦さが楽しめます。開花後に伸びてくるみずみずしく透き通った葉柄は、煮物に最適です。ちなみにフキノトウが春の季語なのに対して、フキの葉は夏の季語ですが、「蕗の葉を傘にさしたる蛙哉」という正岡子規の句からもわかるように、大きな丸い葉はまさに小動物が雨宿りをする傘のようです。
今回は、フキのさまざまな薬効について、養命酒中央研究所の丸山徹也研究員が解説いたします。
フキエキスは花粉症を抑制する 養命酒中央研究所 丸山徹也研究員 |
|||||
フキ(蕗)は字のとおり道端でよく見かける草で、その他庭先や野原でも繁茂しています。独特な風味を持ち、早春を代表する食材として親しまれています。愛知県では手広く栽培がおこなわれており、それらはスーパーで購入することができ、またフキを使った総菜なども販売されています。
近年フキのエキスに花粉症を抑える効果があることがわかってきました。スギ花粉症の方に対して、花粉飛散の時期にフキのエキスを4週間飲んでもらったところ、飲用期間中のくしゃみの回数や目のかゆみが軽減し、飲用を止めるとその効果が薄れてきたという試験報告があります。また花粉症といえば、甜茶やシソにも効果があることがわかっています。特にフキとシソは共に風味が良くて身の回りにある野菜で、この2つの素材は、花粉症に対して別々の箇所に作用して抑えるため、併用するとより効果が期待できると言われております。 フキは春先にフキノトウを地上に出し、通常その後に葉と茎が出てきます。下の写真は弊社の社員が撮影したもので、フキノトウの一部がフキの葉と化している珍しい写真です。フキノトウが枯れるまで待ちきれずに、つい一緒に顔を出してしまったせっかちなフキの葉です。 |