HOME > 名言集 > 【2007年6月号】怒る時に怒らなければ、人間の甲斐がありません。
嫉妬、怒り、自虐、苦悩・・・さまざまな“負”の要素を背負いつつも、今なお多くの人に愛されつづけている文豪、太宰 治。
『斜陽』等、作品自体に怒りを込めた例も多々ありますが、その赤裸々で容赦ない言動、つまり「あなたのことが嫌い」と公言してしまうことから、多くのいさかいや反発を招いていました。
芥川賞落選の際、選考委員だった川端康成に「作者目下の生活に厭な雲ありて」と指摘されたことに憤慨し、川端のことを「大悪党」と言い放った原稿を上梓したことは有名です。
この他、佐藤春夫や井伏鱒二等、太宰と一戦交えた人は数知れず。「事なかれ」的発想から一番遠いところにいた彼、その波乱に満ちた人生が正解か間違いだったかは、誰にとっても本人でさえも、知る由のないことです。
「怒る」という行為は、喜怒哀楽といった人間の感情の中で一番パワーを要するものです。怒ることによって招く闘いや困難のことを考えると、今は自らの怒りを抑えつけておいたほうが得策だ、と思うこともしばしばあることでしょう。
もちろん、周囲との調和は大切なこと。さらになるべく「笑顔」で居続けることも大切なことではあります。しかし、あまりにも理不尽だと感じることを「笑顔」で受け流すのもいかがなものか。
知らず知らずのうちにストレスがたまってしまいかねません。自分が正しいと思った時、ここで怒らねばいつ怒る!という時には、満を持して怒ることもまた、大切な気がします。
ミャンマーの民主化運動指導者、アウン・サン・スー・チー女史は、こう言っています。
「孔雀は踊るべき時には踊ります。闘うべき時には闘います。常に踊っているわけではありません」