HOME > 名言集 > 【2007年4月号】困れ。困らなきゃ何もできない。


名言集


困れ。困らなきゃ何もできない。



社員に「オヤジ」と慕われた熱血漢


自転車の修理工からスタートし、瞬く間に「世界のホンダ」を築き上げた名社長にして天才技術者、本田宗一郎。その武勇伝は今もなお語り草になっています。

常に現場へ出向き、社員と意見を交わし、次々とアイデアを投げかけ、連日カミナリとゲンコツを落とす熱血漢。「怒られたら、腕の届く距離に入るな」と社員の間で暗黙の了解があったほど。

しかし、怒られた社員が次の日には「おう!」と気さくに話し掛けられたり、社員食堂での食事後は誰彼構わず将棋に誘ったり、自分のアイデアより優れたアイデアを社員が出せば、即座に理解して「それでいこう!俺のはダメだ!」と言い放つなど、「器が大きい」という言葉では収まりきらない人間性を、誰しもが認めていました。



困り抜いて、次の展開を切り開け


叱られて、苦心して図面を直し、おそるおそる図面を見せれば「よし。じゃあ試作品作っておけ。明日の朝までにな」とくる。当時の社員の方々は、相当な困難を日々迎え、そのつど乗り越えていたはずです。

その頃、バイク製造に限っていえば、ヨーロッパとの技術格差は甚大でした。しかし、とあるバイクレースを観た宗一郎は「私の高慢な鼻はへし折られたが、同時に強い勇気が湧いてくるのを覚えた。闘志ともいえる。必ず日本のエンジン技術を世界レベルにのし上げてみせる」と決意を固めたといいます。

物事を投げてしまえば困ることはない。だが、困れ。困りぬいて次の展開を切り開け。現在、ホンダが二足歩行ロボットの開発に取り組んでいるのも、こうした本田宗一郎イズムが生き残っていることを示しているのでしょう。