HOME > 名言集 > 【2007年3月号】「人びと」は残酷だが、「ひと」は優しい。
インドを代表する詩人、タゴール。19世紀半ば、高名な思想家の末っ子として生まれたタゴールは英才教育を受けるも、イギリス式の厳しい教育になじめず、学校を転々とします。しかし、結局どの学校でも卒業証書をもらえずじまい。いわゆる「落ちこぼれ」だった彼を心配した父親は、イギリスへ留学させることを決意しました。
そのときタゴールは17歳、多感な彼は西洋の文学や音楽を吸収し、自らの詩に投影していきます。
詩集の出版を重ねるうちにその名は知れ渡るようになり、ついに1913年、アジアで初めてのノーベル文学賞を受賞。音楽、戯曲、絵画、哲学などの分野でも才能を発揮しました。
インド、バングラデシュ両国の国歌を作詞、作曲したことでも知られています。
日本ともなじみが深かったタゴールは、3度の来日を果たして岡倉天心をはじめとする有識者たちと積極的に交流しています。
3度目の来日は1924年。東京帝国大学での講演で、日本の軍国主義を痛烈に批判しました。 今回の名言はまさに、軍国を目指す日本の「人びと」と、来日して交流を深めた一人ひとりの友人、つまり「ひと」の双方を知りえたタゴールの本心からわき出たものだったはずです。
人はなんらかの「集団」に属しているもの。ですが時には「個」に立ち戻り、行動の「健全性」を見つめなおすことが大切です。また、今回の名言は、世間の暗いニュースを見て「人嫌い」に陥りそうになったときに思い出しても効果的。心の片隅に刻んではどうでしょう。