HOME > 名言集 > 【2007年2月号】私たちがみんなで、小さな礼儀作法に気をつけたなら、人生はもっと暮らしやすくなる。


名言集


私たちがみんなで、小さな礼儀作法に気をつけたなら、人生はもっと暮らしやすくなる。



喜劇王が発した、命がけのメッセージ


「喜劇王」として世界中の人々に笑いをふりまいた人物、チャップリン。しかしその幼年期は悲劇的なものでした。極貧生活を送るチャップリン少年がステージに上がったのは5歳の頃。コツコツと芸を磨き、例のチョビ髭、ステッキ、山高帽で人気をさらったのは25歳の時でした。29歳の時、映画『犬の生活』で脚本、監督、主演を務め、単なるドタバタで終わらない、涙と笑いの両方をもたらす新境地を開拓。それは、貧しい人の視点に立った、温か味のある作風でした。その後ヒットを続け、51歳になって『独裁者』を制作。ヒトラー似の床屋がヒトラー本人に間違えられてすり替わり、映画のエンディングで独裁者を否定する大演説をやらかします。公開は1940年。もしナチスが第二次世界大戦に勝っていたら、おそらくチャップリンは捕われの身になっていたはずです。



劇中でも描かれた「礼儀」のススメ


その演説の中身はこうです。「私は独裁者にはなりたくない。支配はしたくない。できれば援助したい。(中略)知識よりも思いやりこそが必要である。思いやりがないと暴力だけが残る。兵士諸君、犠性になるな。独裁者の奴隷になるな(後略)」。

名言の中の「小さな礼儀作法」とは、ここで言うところの「思いやり」です。相手あってこその礼儀、相手あってこその思いやり。戦争という大きなモチーフであっても、発端は一人ひとりの考え方。ゆえに「兵士諸君〜」という呼びかけに繋がったのでしょう。

ちなみに、映画評論家の淀川長治さんが、こんな言葉を遺してい ます。「いい映画を観ると、知らないうちに姿勢を正してしまう し、他人に対する理解や礼儀が生まれてくる。人間として最も大切なマナーが自然に身に付くのね」。くしくも淀川さんは、大のチャップリン好きでした。