HOME > 名言集 > 【2006年10月号】あなたが一番だましやすい人は、あなた自身だよ。
小説家と政治家、両面の顔を持つ人といえば、現在の石原東京都知事などがそうですが、昔はそうした「文人政治家」と呼ばれる人が多くいました。英国ヴィクトリア朝の政治家にして小説家だったリットン卿もそのひとり。ケンブリッジ大学卒業後、ジャーナリストを経て政界に入り、その傍らで執筆を続けました。代表作は『ポンペイ最後の日』。西暦79年に大噴火したヴェスヴィオ火山と山麓に位置するポンペイの滅亡の様子を綴った小説で、現在に至るまで何度も映画化されています。日本にも馴染みがあり、『欧州奇事花柳春話』なる作品は明治時代に翻訳され、一大ブームとなりました。ちなみに国際連合が満州問題調査として送り出した「リットン調査団」の団長の祖父にあたります。そして「ペンは剣よりも強し」という名文句、これもリットン卿の言葉なんです。
「騙す」という言葉は、ネガティブな印象を与えがちです。しかし、「嘘も方便」という言葉もあるように、転じて良しとなる要素を含んでいることもまた事実。リットン卿のいう「自分をだます」は、意訳すると「信じ込む」「信じきる」という言葉と同義になると思います。不安の要素について考え出せばキリがなく、「ダメだ」と思い続けることは、心身から鋭気を奪ってしまいます。たとえ難局であっても「大丈夫。うまくいっている」とポジティブに信じ込むことができれば、そこに「元気」が生まれます。皆さん大いに、自分自身を良い意味で「騙して」日々過ごしましょう。その一方で「頑張ってもムダだよ」とささやいてくる別の「騙し」には耳を貸さないよう要注意です。