HOME > 名言集 > 【2005年4月号】目標をもつことは、何歳であっても遅くはありません


名言集


目標をもつことは、何歳であっても遅くはありません



浮世絵師にして、96歳の大学生


歌川豊国さんは名だたる浮世絵師、歌川派六代目家元でありながら「強い一人の人間」として波瀾万丈の人生を生き抜いた人です。10歳で肺病、20歳で腎臓病、そして47歳で胃ガンの宣告。手術を勧められるも断り、医学書を読み漁って自身で研究して見事克服したほどです。実業界に身を置いていたこともありましたが、引退後は画業にまい進。そして1996年、ご存知の方も多いと思いますが「高校生」になりました。浮世絵のすべてを博士論文にしたい、という目標を掲げ、大阪府立桃谷高校定時制夜間部に社会人入学。このとき93歳。そして3年後の1999年、近畿大学法学部法律学科二部に合格。残念ながらその翌年お亡くなりになりましたが生前は元気そのもの。奥様の車椅子を押しながら颯爽と買い物をする姿がとても印象的でした。



“夢”はない。だけど“希望”と“目標”はある


目標を持つことに年齢は関係ない。豊国さんはその言葉を「地」で行った人です。生前、テレビのインタビューで「今後の夢は?」と聞かれた際「“夢”なんて漠然としたモンはない。未来に対する“希望”と“目標”はあるよ」ときっぱり答えていらっしゃったのが印象的でした。「年寄りになったのは勝手や。ムコウが勝手に年くれてんやけど、わしはもろうとらんよ」など、元気で爽快な発言も多々ありました。昨今は健康ブームといわれていますが、「健康のための健康」になってしまうケースもあります。豊国さんは、まず強い目標があり、そのためには健康でいないといけないと考えた「目標(達成)のための健康」を維持した人でした。浮世絵師の家元といっても苦労の連続、その中に「未来」を見出して元気に生きた豊国さんの人生は、私たちに尊い何かを教えてくれています。