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子育ての雑学

「ほめ育て」はほめ方によって明暗を分ける?国も推進する「イクメン」の未来は?動物たちのびっくり子育て事情とは?今月は「子育て」の雑学をお届けします!


明暗を分ける「ほめ育て」のコツ


「子どもをほめて育てると伸びる」とよくいわれますが、コロンビア大学で行われた実験では、ほめ方を間違えると、かえって逆効果になるという結果が出たそうです。
実験では、まず10〜12歳の子ども約400人をA、B、Cの3グループに分けて、簡単な図形テストを行います。そして、各々の子どもに8割以上正解したことを告げた後、Aグループには「たくさん解けて頭がいいね」とほめ、Bグループは特にほめず、Cグループには「いい点がとれたのは一生懸命努力したからだね」とほめました。
次に、2回目のテストを行なう際、「1回目より難しくて解けないかもしれないけど、チャレンジすると何かを学べる問題」と、「1回目と同じ易しい問題」のどちらかを各々の子どもに選ばせました。すると、1回目で頭がいいとほめられたAグループの7割近くは簡単な問題を選びましたが、何もほめられなかったBグループの5割以上と、努力をほめられたCグループの約9割は難しい問題を選びました。この実験をもっと年齢の低い子や高い子に行った際も同様の結果が出たそうです。

子供達


つまり、子どもは頭がいいとほめられると、自尊心がくすぐられる反面、「もし失敗するとかっこ悪い」と萎縮してしまう傾向があるけれど、努力をほめられると、「もっと努力して困難に挑戦しよう」という向上心が高まるようです。子どもの力をすくすく伸ばすには、生まれつきの知能をほめたたえるより、懸命に取り組む努力をほめてあげるのがポイントといえます。

国家も推進する「イクメン」の未来とは?


パパの育児休業の促進を目的に、育児・介護休業法および雇用保険法が2010年と2014年に改正され、「イクメン=子育てするメンズ」という言葉もすっかり世の中に定着した感があります。しかし、日本の男性が家事・育児をする時間は他の先進国と比べて最低水準といわれており、男性の育児休業取得率は、女性が75%以上であるのに対して、わずか2%程度にとどまっています。イクメンの壁となるのは、やはり「育休なんてとったら、上司にニラまれるのでは…?」「出世に響くのでは…?」といった不安です。
厚生労働省では、男性の育児休業取得率を2017年度に10%、2020年度に13%に引き上げるべく「イクメンプロジェクト」を推進しており、イクメンをサポートする企業を表彰したり、イクメンに理解ある上司=イクボスを評価する「イクボスアワード」といった活動を行なっています。また、かっこいい子育てパパを応援する雑誌も登場し、「頼れる父親のガチポイント」「父子の勝負服」といった特集が組まれているほか、子育てパパの祭典「イクフェス」なども行われています。元々は「イケメン」をもじった俗語のイクメンも、今や官民ともに多彩な様相を呈しているようですが、男性が育児をするのが当たり前の時代になれば、イクメンという言葉をわざわざ使う必要もなくなります。イクメンという言葉がすたれた時こそ、イクメンが本当に世の中に浸透した時といえるかもしれません。

動物たちのびっくり子育て事情


子育てとひとことでいっても、生物によってその方法論は千差万別です。多摩動物公園や上野動物園の園長を歴任した中川志郎さんは、「飼育係に育てられたサルは、成長しても群れに入れなかったり、自分の子どもが生まれても育てられなかったりする」といいます。なぜなら、霊長類の赤ちゃんは、子宮にいたときと同じような安心感を与えてくれる母親に密着して育てられることで信頼感を抱き、それが仲間との関係を築く礎になるからです。人間は霊長類の中で最も長い妊娠期間を経て生まれますが、泣いているだけの赤ちゃんの期間が約1年と、どの霊長類よりも長く手がかかります。中川さんはその理由を、「人間こそ、母子の最初の密着期間が必要だから」といいます。その間に温かい抱擁や言葉がけをすることが、子どもが社会化していく上で必要不可欠なのです。

これが昆虫となると子育て事情もガラリと変わります。例えばミツバチの場合、巣にいる全てのハチたちの母親は、「女王バチ」ただ一匹で、1日になんと1000個以上の卵を産み続けます。「働きバチ」はよく働き者のお父さんの象徴のようにいわれますが、実は働きバチは全てメスです。ただし産卵能力はなく、巣の掃除や幼虫の子育て、巣づくり、蜜の調達と、まさに働き者です。そのため、母親の女王バチの寿命が4年ほどあるのに対して、娘の働きバチは約1カ月と短命です。一方、オスバチはといえば、女王バチと交尾する以外は、巣の中でぐうたらしているだけというのん気なご身分です。女性の社会進出やワークライフバランス、イクメンが取り沙汰される人間社会とミツバチの社会を比較するのも、また一興かもしれませんね。