HOME > 健康の雑学 >  【2014年9月号】 自転車の雑学

自転車の雑学

16歳の高校生が自転車で世界一周?! 世界最古の自転車のルーツは埼玉にあった?! 3000台の自転車を使ったアートって?! 今月は自転車をめぐるオモシロ雑学をご紹介!


雑学1 世界最古の自転車のルーツは埼玉にあった?!


自転車のルーツは諸説ありますが、19世紀初めにドイツのカール・フォン・ドライス男爵が作った「ドライジーネ」と呼ばれる木製の二輪車が今の自転車の元になったといわれています。ただ、ペダルやチェーンはなく、足で地面を蹴って進む仕組みでした。1839年にはスコットランドの鍛冶屋さんが鉄製のペダルを踏み込んで進む自転車を考案し、それがフランスなどで改良され、19世紀末にイギリスで「セーフティバイシクル」と呼ばれる現在の自転車の原型ができたといわれています。



日本でもその頃に自転車が輸入されたといわれていますが、実は江戸時代には既に自転車の原点ともいうべき乗り物が発明されていたという驚きの研究論文を、近年、本庄市立歴史民俗資料館の増田館長が発表しました。それによると、江戸中期に武州児玉郡北堀村本田(現在の本庄市)で、組頭の庄田門弥なる人物が世界最古の自転車機能を持った「陸船車(りくせんしゃ)」なる乗り物を発明したそう。千里を走るという意味で「千里車」とも呼ばれ、暴れん坊将軍こと徳川吉宗も、陸船車を江戸に招いたといいます。埼玉県は自転車保有率日本一を誇り、県を挙げて「LOVE bicycle SAITAMA」という自転車キャンペーンを行っていますが、自転車とは古くから深いご縁があったようですね。

雑学2 自転車で世界一周した高校生


演劇界の芥川賞といわれる岸田國士戯曲賞受賞の劇作家、平田オリザさんは、16歳の時に1年半かけて自転車で世界一周したチャレンジャーです。その旅行記は、彼が予備校時代に執筆した『十六歳のオリザの未だかつてためしのない勇気が到達した最後の点と、到達しえた極限とを明らかにして、上々の首尾にいたった世界一周自転車旅行の冒険をしるす本』(晩聲社刊)という、前代未聞の長い書名で出版されています。
それによると、彼は定時制高校に通って新聞配達などをしながら旅行資金を貯め、両親を説得して、アメリカからヨーロッパ、西南アジアまで2万kmの自転車旅を独りで敢行しました。今ならブログやフェイスブックを通じて旅便りを発信できますが、彼が旅した1970年代当時は、メールもスマホもないので、無事に生きているという存在証明をするため、約500日間の旅行中、500通もの手紙を投函したといいます。旅にかかった費用は合計100万円弱。成田に帰国した際の所持金は、しわだらけの1ドル紙幣1枚だけだったとか。幸い、危ない目には遭わなかったようですが、真似しようという方は、くれぐれもお気をつけて!

雑学3 3000台の自転車を使ったアート?!




自転車とアート。あまり関係がなさそうですが、中国人の著名な現代アーティストのアイ・ウェイウェイさんは、自転車を使ったアートで世界的に知られています。2009年に六本木の森美術館で開催された個展では、42台の自転車を解体してパーツをつなげ、円筒状に組み立てた自転車オブジェ作品(写真)を展示して話題になりました。2013年にカナダのトロントで開催されたアートフェスティバルでは、それがさらにパワーアップし、オブジェに使われた自転車の数はなんと3000台!重なり合った巨大な自転車オブジェがトロント市役所前にドーンと設置され、世界中のアートファンを圧倒しました。自転車オブジェの作品名は「Forever Bicycles」。1940年代に上海で生まれ、中国を代表する国民的ブランドとなった自転車メーカーの名にちなんでいます。中国の急速な近代化によって自転車の群れは自動車にかわり、今や無用の長物となりつつある自転車と、「フォーエバー(永久)」の名をひっかけた作品には、クールな中に深い哀愁が漂っています。