HOME > 健康の雑学 > 【2008年6月号】お酒の雑学
種類も多く、歴史も深い「酒」。それゆえ、雑学や珍しいエピソードも豊富です。お酒の席でウンチクを傾け、会話に花を咲かせてみてはいかが?
人間の探究心はとどまるところを知らない・・・そう思わせてくれるのがお酒の世界です。お酒がこれから生まれたのなら、あれでも作れるのじゃないか?これを漬けたら美味だったし体調もなんだか良いから、今度はあれを漬けてみよう。そんな気持ちで新たな発見と文化が育まれていったのだと思います。 その長い歴史の中には、「エッ!?」と耳を疑うようなお酒も。たとえば「口噛み酒」。デンプンを含んだ植物などを口に入れて噛み、吐き出して壷などに入れておきます。すると唾液によって生じたブドウ糖と空気中の酵母が反応し、アルコール発酵してお酒ができる、という手法です。日本でも縄文時代に行なわれていたといいます。一説には酒を造ることを「醸す」と呼ぶのも、この「噛みす」がルーツであるとのこと。現在でも一部地域の神事などで、儀式として行なわれているところもあります。
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また、漬けるものは植物とは限りません。沖縄の「ハブ酒」は、ハブを泡盛に漬けて毒を中和させて作ります。わざわざ蛇、しかも毒を持つハブを漬けるとは、なんて物好きな!!と思われるかもしれませんが、古来より沖縄においてハブ酒は滋養強壮の薬として愛飲されてきました。“海のヘビ”といわれる「イラブー」も同様にお酒に漬け込まれ、豊富なアミノ酸を含んだものとして珍重されてきた歴史があります。蛇を漬け込む文化は中国でも見られます。 このように、お酒はその土地の風土や文化、採れる食物に大きく関与します。モンゴルの遊牧民族は馬の乳を使ったお酒「アイラグ」、カリウム、マグネシウム、鉄分などをココナッツから補給するカリブ海の民の文化から生まれたココナッツフレーバーのラム「マリブ」などなど。 また、ブドウひとつとっても製法によってワイン、シェリー、ブランデーなどに変わります。トルコのお酒「ラク」は、ブドウとともにアニス(ウイキョウ)を入れたリキュール。色は透明ですが、アルコール度の高いラクを「水割り」にすると乳白色になることから「ライオンのミルク」とも呼ばれています。 また、南方の島々では木に実っている椰子の汁を貯め、昼に飲めば発泡してビール風のアルコール、さらに夜には発酵が進んで焼酎になります。お酒は植物だけでなく「時間」が創り上げるということも、人間は古くから知っていたようです。
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私達が普段飲む身近なお酒にもさまざまなエピソードがあります。たとえばビール。人類最初のビールは紀元前3000年前のエジプトで生まれました。その後、各地に飛び火しました。ドイツでは16世紀に「純粋令」を施行。大麦や水、ホップ、酵母のみを使ってビールを作りなさい、とする法律です。長い歴史の中にはアメリカの禁酒法のようなものもありますが、粗悪な品を市場から取り除くための法律は、時としてお酒の文化の発展に関与します。
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ちなみに法律ではありませんが、ビール瓶のフタ「王冠」についているギザギザの数は、日本においてほとんどが21個なんです。これは少ないと栓抜きにひっかかりづらく、多いとビンの締め付けがきつくなりすぎて開けづらいから、ちょうどいい塩梅ということで21個になったとのこと。ちょうど3つのギザギザが栓抜きにひっかかることで、力学的にチカラが伝わりやすいそうです。ちなみに王冠が発明されたのは19世紀末のイギリス。それ以前はワインのようにコルクが用いられることもあったとか。でも、その場合は封を開けたときにプシュッと中身が出てしまって難儀していたとのこと。お酒の普及には、容器などの発明も不可欠ということです。王冠を発明した人にこそ、王冠を授けたいですよね。 |