HOME > 健康の雑学 > 【2007年10月号】髪と「食事」の密な関係
暑い日が続いています。太陽からサンサンと紫外線が降り注いでいますが、その紫外線がダイレクトに頭に届くのを防いでくれているのが「髪の毛」です。今回は、髪の健康と、それを支える食事についてのお話をお送りします。
東洋医学で毛髪のことを「血餘(けつよ)」といいます。漢字をみてみますと、「“血”と“食”が“余”る」。つまり、食べた栄養分が血を通して全身に行き渡った上で、その余剰分が髪となる、という考え方です。しっかりとした食事が健やかな髪の基本ということですね。育毛剤などは血行促進やホルモン分泌を促す、いわば「サポート役」です。「まず“食”ありき」と考えましょう。
髪の成分の大半は「ケラチン」と呼ばれる物質。ケラチンを作るために必要なのがタンパク質です。タンパク質にはアミノ酸が含まれていて、それが髪のみならず爪や皮膚、筋肉、軟骨となります。よって、タンパク質は意識してきちんと摂取したいところですが、ちなみに「動物性タンパク質」と「植物性タンパク質」、どちらが良いと思いますか?
一見すると「植物性」のほうがカラダによさそうですが、「植物性タンパク質さえ食べていれば平気」というわけではありません。動物性タンパク質には「メチオニン」というアミノ酸が植物性タンパク質よりも多く含まれています。メチオニンはいわば「アミノ酸の行列のリーダー」といえます。このリーダーの後に、さまざまなアミノ酸がくっついて、その配列によって髪になったり、爪になったりするのです。つまり「リーダー」がいないと、せっかく他のアミノ酸が足りている状態でも、効率よく髪などの組織になりづらい、というわけです。
食生活に置き換えると、たとえば植物性タンパク質が豊富な「納豆」。これに動物性タンパク質が豊富な「卵」を落とすと、バランスがとてもよくなります。その他、牛乳やヨーグルトなどの乳製品や、レバーなど肉、魚も動物性タンパク質が豊富です。とりわけダイエット中の方は動物性タンパク質が不足しがちですので、鶏のささ身を使った料理など、意識して動物性タンパク質を摂るようにしましょう。
もちろん、動物性タンパク質の「摂りすぎ」は脂肪分過多になり、毛穴がつまりがちになるので禁物です。大切なのはバランス。髪の成分「ケラチン」を作る手助けをするといわれる海藻類や、ビタミンCを含む果物やビタミンEが豊富な緑黄色野菜などもきちんと食べるようにしましょう。日本人の食生活は、野菜中心の植物性タンパク質が6割、動物性タンパク質が4割といわれるタンパク質のバランスが良い民族。それも長寿国となった一因といわれています。
その他、食事以外で気をつけたいのは睡眠。精神的なストレスを和らげますし、物理的にも普段は立って生活していますが、寝る際は「身体を横にして」眠るので、頭皮の血行がよくなります。また、血行を促すために適度なマッサージをするのも効果的といえるでしょう。
病は気から。髪の健康は「食」から。バランスよい食事で身体も髪も健康でありたいものです。