HOME > 健康の雑学 > 【2007年4月号】春眠暁を覚えず〜「眠り」と「健康」



春眠暁を覚えず〜「眠り」と「健康」


ポカポカ陽気の日も増え、「春眠暁を覚えず」を体感する季節がやってきました。眠気を吹き飛ばしてシャキッとしたい!という気持ちもわかりますが、「眠り」そのものは「悪者」ではありません。人間が生きていく上で、欠かすことの出来ない大切な行為です。 今回は「眠り」と健康に関する雑学をお送りします。



ある意味正解!?前田慶次郎の人生訓



ヒトはなぜ眠るのか?その明快な理由はまだ科学的に解明されていませんが、基本的には「脳を休める行為」と位置づけられています。もちろん生命の維持にも不可欠で、「食を断つ人」と「眠りを絶つ人」とを比べても、前者のほうが長く生きながらえることができるそうです。


睡眠に関する話でよくあるのが「一日何時間」寝るのが適切か、ということ。
よく「8時間」などと耳にしますが、実際のところ個人差もありますし、体調や昼間どんな活動をしたかにも左右されるため、一概には言えません。大切なのは、朝起きて「よく寝た!」と自覚できること。さらに日中、過度の眠気に襲われない程度の睡眠が必要だということです。


戦国時代を生きた加賀藩の武将の中に前田慶次郎なる人物がいます。放埓で自由闊達、時にふざけた振る舞いをして世相を皮肉ったり茶化したりする行為を「傾く(かぶく)」といい、そのような行いをする者は「傾奇者(かぶきもの)」と呼ばれていましたが、慶次郎はその代表格といえます。
その彼が発した人生訓の中にあるのが「寝たき時は昼も寝、起きたき時は夜も起きる」という一節。見かたによっては自堕落な印象も受けますが、ある意味で真理も含んでいます。


「寝たき時は昼も寝」は、とどのつまり昼寝のこと。スペインやブラジルなどでは「シエスタ(午睡)」と呼び、一般的な行為として生活の中に溶け込んでいます。この習慣は室、内温度が昼は低く、夜は熱帯夜となる気候や風土、建築様式などによって根付いたといわれています。
訪れる眠気に従う地域がある一方で、ヨーロッパ諸国ではティーブレイクが「眠気覚まし」の意味合いを持っていた、という説もあります。日本もこれに近い意味で「おやつ」がありますよね。漢字で書くと「お八つ」。八つ時(午後2時頃)に食べる間食で、眠気覚ましとも体力補給ともいわれています。


昨今では、「昼寝」に科学のメスが入るようになりました。10〜20分程度の昼寝をすると、慢性的な眠気が解消され、仕事の能率が高まるといわれています。ただし寝すぎると、夜の睡眠に影響を及ぼすので注意が必要です。いわゆる「眠れない」という状況に陥るわけですが、これは前田慶次郎が言うところの「起きたき時は夜も起きる」という言葉が、ひとつの対処法であるともいえます。
「眠らないと!」と焦るほど緊張が高まり、眠れなくなるものです。そんなときは音楽を聴く、本を読む、ぬるめに設定したお風呂に入る、カフェインの入っていないお茶を飲むなど、自らがリラックスできる方法を見つけて実践するよう心がけましょう。


枕や布団、照明などにも気を配り、自らがもっとも快適に眠れる環境を作り上げることもオススメです。なにせ、人生の三分の一は寝ている状態なのですから、眠る行為をおざなりにせず、快適に楽しむくらいの余裕を持ちたいですよね。
ただし不眠の状態が長く続いたり、激しいいびきをかく等、気になる症状が続く際には「眠れないという理由でお医者さんにかかるのは恥ずかしい・・・」などと思わずに、専門医へ相談しましょう。快適な眠り、それはすなわち快適な生活です!