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健やかに育て〜桃の節句と春の食材


3月3日の今日は桃の節句。女のお子さんがいるご家庭では雛人形を 飾ったり甘酒を飲んだり、賑々しく過ごしていることと思います。
暦の上の風習を「節句」といいますが、5月5日の「端午(たんご)」、9月9日の「重陽(ちょうよう)」など、いずれも邪気を払い、無病息災を願う神事として中国から伝来しました。3月3日の「上巳(じょうし)」、すなわち桃の節句も、女の子が健やかに育つよう、願いを込める日です。

今回は「桃の節句」に関する健康雑学とともに、今の時期にうってつけの食材についてもご紹介いたしましょう。



人形を片付ける前に食べる「雛蕎麦」



桃の節句に食す料理は、やはり「おめでたい」ものが目白押し。白い甘酒は、桃の花と「紅白」を織りなすためといわれ、はまぐりなどの貝類は、その形状から美徳と貞操を意味するといわれています。


もちろんげんをかつぐ意味だけでなく、それぞれ理に叶ったものが多い点も見逃せません。たとえば赤、白、緑の菱餅。「赤」は解毒作用に長けたくちなしの実、「白」には滋養強壮に良いとされる菱(ひし)の実、「緑」には整腸作用によいとされ、血液を浄化する効能もあるといわれるヨモギを使っていたため、色鮮やかなお餅に仕上がっていました。


また、地方によって特有の食材を用いることも。京都では滋養強壮に効くといわれるシジミの佃煮や、子持ちカレイを食していたといいます。一方、江戸ではやはり「蕎麦」です。


節句を過ぎて雛人形を出しっぱなしにしておくと、女の子の縁談が遅れるとの言い伝えは誰しも聞いたことがあると思います。江戸時代、3月4日に雛人形を片付ける前に食べていたのが、三色に彩られた「雛蕎麦」です。
蕎麦もまた、縁起物として古くから日本人にとって馴染み深い食材。江戸時代には、3月4日に三色に彩られた蕎麦を食べてから雛人形を片付ける風習がありました。


さて、その他にも今の季節ならではの食材が多々あります。注目したいのは、山菜や木の芽の類。寒い冬を経て春に芽吹く食材は、生命力そのものであるとともに、春を告げるめでたい料理として古くから日本の食卓に並んできました。


その代表格といえるのがフキの花蕾、ふきのとう。日本産の野菜の中で最も古いもののひとつといわれ、室町時代にはすでに栽培が始まっていたそうです。カロチンや鉄分、ビタミンCを多く含み、活性酸素などの発ガン性物質を除去するケンフェノールも豊富。細胞を活性化させ、春のけだるさや疲労解消に役立つといわれています。さらに昨今では花粉症予防にも良いとのこと。お子さんには、柔らかく苦味の少ないハウス栽培物を卵とじ等で、大人は風味豊かな天然物を味噌和えなどにして食べてみてはいかがでしょう。


その他、花粉症に効果的といわれる「つくし」、便秘予防や疲労感解消につながる「わらび」、むくみをとるカリウムが豊富な「春たけのこ」、ビタミンB1、ビタミンB2など日本人が不足しがちなビタミン、ミネラルを豊富に含んだ「菜の花」なども今の季節に味わいたい食材です。総じてこの時期の食材はアクが強いので、調理の際はしっかりアク抜きしてくださいね。


節句祝いに始まり、生命力に満ちた春野菜でしっかり栄養を補給。それが3月を健康に過ごす秘訣です。