HOME > 健康の雑学 > 【2005年11月号】今年は豊漁!サンマでもっと健康に!



今年は豊漁!サンマでもっと健康に!


今年はサンマが豊漁。軒並みスーパーでも大振りのサンマに安値がついて嬉しい限りですよね。

しかし漁業関係の方々にとっては価格の暴落に加え、船の燃料費が昨年の1.5倍以上に跳ね上がっていることなどが響き、諸手を挙げて豊漁を喜べない状況とのこと。「もっとサンマを食べてほしい」とテレビを通じて消費者に訴えかける漁師さんの姿が印象的でした。

そこで!皆さんサンマをもっと食べようではありませんか!
実際、旬のサンマは脂が乗って美味しいだけでなく、栄養価タップリです。今年の秋はサンマ尽くし!そんな思いを込めて、今回はサンマに関する健康雑学をお送りいたします。



豊富なDHAやEPA、そしてはらわたにはビタミンB12!



サンマは漢字で書くと「秋刀魚」。文字通り秋の魚で、刀のようにシャープな体型をしていることからつけられた当て字です。古い書物には「青串魚(さんま)」、「三馬(さんま)」、「狭真魚(さまな)」、「佐伊羅(さいら)」、「祭漁(さいら)」などの表記もあり、また地方によっては「カド」「バンジョ」などとも呼ばれていました。


サンマでまず思いつくのが、古典落語の『目黒のさんま』。目黒へ鷹狩りに出たお殿様が、現地で庶民が焼くサンマを食べて「さんまは目黒に限る」と言ったこの噺、じつに江戸時代の世相をよくあらわしています。


当時のサンマはいわゆる「庶民の魚」。位の高い人は食べませんでした。それこそ殿様となれば、やれ毒見だ健康のためだといって、脂が抜け落ち、パサパサの冷めた食事ばかり。そんな殿様だからこそ、「目黒に限る!」とお門違いの太鼓判を押したことが落語の「オチ」となったのです。


では、目黒でないとしたら本場はどこなのか?現在は、北海道から三陸、鹿島灘、房総沖の太平洋側です。しかし江戸から戦前にかけての本場は、紀州といわれていました。これは、今よりも寒流が南に流れていたことや、沿岸部から離れた海域での漁法が開発されていなかったことが理由のようです。


その紀州で獲れたサンマを食べ、詩にしたためたのが和歌山出身の作家、佐藤春夫。
「あわれ秋風よ 情あらば伝えてよ 男ありて 今日の夕餉に ひとり サンマを食ひて 思いにふける と」で始まる「秋刀魚の歌」は、今もなお名詩として人々の心を捉えています。


その一節、「青き蜜柑の酢をしたたらせて さんまを食うはその男がふる里のならひなり」は、蜜柑の産地らしい一文です。また「さんま苦いか塩っぱいか」という一節、これはいわずもがな、サンマのはらわたを食べたときの苦味と、主人公の抱く切なさが同時に表現されています。しかし実際のところ、サンマが新鮮であればあるほど、はらわたの苦味は少なく、甘味すら感じるそうです。苦くなるのは、鮮度が落ちて苦味の元となる「アミン」が生成されるため。はらわたは貧血に効果があるビタミンB12を多く含んでいますので、なるべく食べるようにしたいところです。


はらわた以外でも、サンマは栄養の宝庫です。高血圧や動脈硬化予防に良いとされるEPA(エイコサペンタエン)や、脳に良いと言われているDHAが多く含まれているほか、風邪予防に効くビタミンAは、牛肉のおよそ15倍も含まれています。目に良いビタミンEも豊富。ここで佐藤春夫が「蜜柑の酢をしたたらせ」たようにレモンやカボスを絞ると、ビタミンCも補給できることになります。


まさにカラダに良いこと尽くしのサンマ。せっかくの豊漁ですから、例年以上に堪能してみてはどうでしょう。