HOME > 健康の雑学 > 【2005年10月号】スポーツの秋



スポーツの秋


食欲の秋、読書の秋、芸術の秋など、とかく室内で過ごしがちな昨今ですが、忘れちゃいけません、「スポーツの秋」を!

暑ければ熱中症や脱水症状の恐れがありますし、寒ければ体が温まりにくいので肉離れや捻挫などをしやすい・・・そう考えると今は、運動するにはもってこいの季節です。今回は、全国各地でスポーツ大会や体力測定が開かれる10月を前に、あらためて「カラダを動かす」ことに関連した健康雑学をお送りいたします。



脆くなった「骨」、消えゆく名物競技



スポーツの秋を象徴する日といえば、やはり「体育の日」でしょう。「スポーツに親しみ、健康な心身を培う」という意義で制定された体育の日。現在は10月の第二月曜日となっていますが、以前は皆さんご存知のとおり10月10日でした。


1964年、東京オリンピック開催。その開催日はやはり快晴が望ましい。そこで「晴れの特異日」をあたってみたところ10月10日が候補となり、実際に開催日となったそうです。それを記念して生まれたのが体育の日なんですね。その昔、運動会は大抵10月10日前後に開催され、さながら秋の季語といってもよいほどでしたが、最近では5月頃に行うケースも増えているようです。


その運動会ですが、日本で初めて行われたのが明治7年のこと。東京・築地の海軍兵学寮で行われた「競闘遊戯会」に端を発します。このときは「ボラの網越え(走り高跳び)」「古ダヌキのぶて打ち(遠投)」など、昔話のような名前の競技が多々ありました。その後、全国各地に広まり、現在のように学校単位だけではなく、寺社の境内などで町ぐるみの運動会も開かれるようになっていきます。運動会は、老若男女みんなの交流の場でもあったんです。


ちなみに以前、運動会の花形競技だった「騎馬戦」や「棒倒し」は政治運動から生まれました。明治時代は政府の力が強く、演説やデモも厳しく取り締まられていたため、自由民権運動のメンバーが「政権争奪騎馬戦」と、当時の政府を棒に見立てた「圧政棒倒し」を始めたのがきっかけです。


現在では「争う」競技に対する考えが改まるとともに、なにより子供たちの骨の脆さが指摘されて、こうした競技は廃れつつあります。平成6年、日本整形外科学会が体育の日の直前、骨と関節の怪我に注意するように10月8日を「骨の日」と決めたほどです(骨の「ホ」の字が「十」と「八」で作られているため10月8日になった)。


では、骨を丈夫にするためにはどうすればよいか。まずは運動することですが、散歩やプールでの歩行など、軽めの運動から始めましょう。ただ「運動」というと妙に構えてしまって、結果長続きしなくなる場合もあります。その場合は別にスポーツではなく、普段の買い物のときに少し早足で歩いてみたり、足を意識しながら階段の昇り降りをする、というだけでも良いのです。また、単なる日光浴もビタミンDの生成につながり、骨を強くする作用があります。


さらに食生活面では、なんといっても乳製品がカルシウムの源です。しかし、牛乳を飲むと下痢をしてしまう乳糖不耐症の方や、カロリーが気になる方もいることでしょう。その場合は、大豆製品や小魚、桜エビ、ひじき、ゴマなど、カルシウムが多く含まれる食材を摂取して賄いましょう。


スポーツの秋ではありますが、あまり肩に力を入れすぎず、秋のそよ風を楽しみながらカラダを動かすことが大切です。