HOME > 健康の雑学 > 【2005年8月号】「土用の丑の日」に鰻が「効く」のはナゼ?



「土用の丑の日」に鰻が「効く」のはナゼ?


この季節になると無性に食べたくなるものといえば、「鰻」。

今年の「土用の丑の日」は7月28日です。香ばしい匂いと適度にのった脂・・・鰻の蒲焼きは、食欲不振になりがちな時期のスタミナ食として、古くから日本人に親しまれてきました。

蒸してから焼く関東、蒸さずに焼く関西。さらに割き方も、関西では腹から、武家社会が中心の関東では「武士の切腹」を連想させるとして背中からといったぐあいに、土地により食す作法も違いますが、その栄養価の高さは変わりありません。今回は「鰻」と「土用の丑の日」の健康雑学をお送りいたしましょう。



発明王、平賀源内が生んだ「土用の鰻ブーム」



「土用の丑の日」に鰻を食べる習慣が始まったのは江戸時代。医者であり発明家の平賀源内が、知り合いの鰻屋に「この時期暑くて、どうも売れない。何かいい案はないか?」と相談を持ちかけられたところ、源内は筆をとり、「本日、土用の丑の日 鰻の日」と書いて貼り出しました。


平賀先生がああ言うのだから間違いない、ということで民衆が押しかけ、店は大繁盛。他の鰻屋もこぞって真似をしたことから、あっという間に広まったといいます。つまりもともとは、源内が考えた「キャッチコピー」だったんですね(源内ではなく、狂歌師の大田蜀山人によるものだという説もあります)。


ただ、単に商売繁盛をもくろんで口からでまかせを言ったわけではありません。「万葉集」の中に「石麻呂(いしまろ)に 我もの申す夏痩せに よしといふものぞ 鰻(むなぎ)とりめせ」という大伴家持の短歌があります。家持が痩せた吉田石麻呂に鰻を勧めるこの歌を源内は知っていて、この時期には鰻が良い、ならば・・・ということでキャッチコピーを考えたのでしょう。


現在は、土用の丑の日に鰻を食べることの効能が栄養学的にも解明されています。鰻には、さっぱりしたそうめんなどが欲しくなる今の季節に不足しがちなビタミン、ミネラル類が多く含まれています。


もっとも顕著なのはビタミンAの多さ。肌荒れや視力低下を防ぐとともに、粘膜を正常化させて風邪などを防ぐ効果もあります。免疫機能が高まることから、ガン予防にも作用するとのことです。ビタミンAは脂と一緒に摂取することで吸収率が高まりますので、脂がのった鰻との相性も抜群といえます。さらに鰻のなかでもっともビタミンAが豊富なのは、肝の部分。肝の串焼きや肝すいなどは栄養満点です。


皆さんもぜひ、夏バテ予防に鰻の蒲焼、そして付け合せに野菜を食べて、よりよいバランスで栄養補給してはいかがでしょう。