HOME > 健康の雑学 > 【2005年8月号】長寿大国ニッポンが誇る、もっとも長寿な島



長寿大国ニッポンが誇る、もっとも長寿な島


皆さんご存知の通り、日本は長寿の国です。ここで素朴な疑問がひとつ。いつから「長寿の国」という認識が広まったんでしょう?

じつは、1978年の今日(7月1日)がひとつの区切りになっています。当時の厚生省が平均寿命(男性が72.69歳、女性が77.95歳)を発表。日本が世界一の長寿国になったことを公言したのです。

江戸時代、日本人の平均寿命は40歳以下だったといわれています。それがいまや80歳を超え、世界一の長寿国になりました。その国の中でも、とりわけ「長寿」といわれているのが鹿児島県の徳之島。皆さんご存知の本郷かまとさん、泉重千代さんが生まれた島です。

そこで今回は、長寿国ニッポンをリードする長寿の島「徳之島」に関する雑学をお送りいたしましょう。



長寿世界一は仕事も世界一だった!!



徳之島を含む奄美群島の人口10万人当たり100歳以上長寿者(平成15年9月1日現在)の比率は66.06人。これは県別全国1位である沖縄県の42.49人を大きく上回っています。その群島のなかでもさらに「長寿」として名高い徳之島、その長寿の秘密を泉重千代翁から探ってみましょう。


史上最高齢の男性(120歳237日)としてギネスブックにも載った泉重千代さんが生まれたのは1865年、時は江戸時代です。38歳の時にライト兄弟が世界で初めて飛行機を飛ばしてから、スペースシャトルが打ち上げられるまで(当時115歳)を見届けていることになります。
120年という月日の重さを感じずにはいられません。


じつは泉さん、長寿男性世界一という記録だけでなく、もうひとつギネス記録を持っているんです。何だと思いますか?それは「もっとも長い職歴」の記録。1872年(当時7歳)砂糖工場で、動物の背に荷物を乗せて運ぶ仕事に就き、そののちサトウキビ畑の農場主になり、なんと105歳まで、じつに98年間働いていたんです。こうした「いきいきと働く環境」が徳之島にあったことも、長寿の要因のひとつといえるかもしれません。


泉さんが100歳を超えてもかかさずしていたことといえば、晩酌。島の名産、黒糖焼酎をお湯割りにして1合、たしなんでいたそうです。黒糖は最近になって、豊富に含まれるミネラルが脚光を浴びていますね。徳之島ではサトウキビから生まれる黒糖が、基本的な調味料としてさまざまな料理に用いられていますので、これも長寿の要因のひとつといえるでしょう。他にも、動物性たんぱく質が含まれる豚やヤギをはじめ、海藻類やフルーツ、黒糖汁に松の葉をつけ込んで醸造する「キビ酢」など、カラダに良い食材がふんだんにあります。そもそも「お水」自体、珊瑚礁の堆積で出来た琉球石灰岩層を通って湧き出るため、ミネラルがたくさん含まれているんです。


また島唄や闘牛など、遊びも昔からふんだんにあり、それに加えて気候も温暖。ストレスをためない、陽気な人柄が生まれる風土が備わっているようです。


このように徳之島の長寿の要因は1つではなく、様々な要因が合わさって生まれています。徳之島に住んでいる方をうらやましいなぁと思いますが、徳之島在住でなくともカラダによいものを食し、日々ストレスをうまく解消して、笑顔で暮らすことを心がけたいものです。


ちなみに泉重千代さんは120歳になったとき、還暦の2倍ということで「大還暦」のお祝いをしています。