HOME > 研究員のウンチク > 【2007年1月号】お菜洗い


「お菜洗い」


雪の降る前、ここ信州ではあちらこちらで晩秋の風物詩「お菜洗い」が始まります。信州では冬を迎える準備として欠かせない行事です。「お菜」とは野沢菜のことで、野沢菜を洗って漬けるまでを「お菜洗い」と呼んでいます。



野沢菜(左) お菜洗い(右)


通常は収穫した野沢菜を身を切るような冷たい水で洗いますが、温泉の多い信州では、温泉の湯で洗うことも多く、温泉地ではこの時期になると専用のお菜洗い場が登場します。職場の近くにある「みのわ温泉ながたの湯」にも11月中頃から「お菜洗い場」が開設され、連日、多くの人で賑わっています。時には1時間以上も順番を待つ人がいるという超人気ぶりです。人とおしゃべりしながらお菜を洗えば、冬の寒さもいつしか忘れ、いつの間にかお肌もつるつる。一方、温泉で洗ったお菜は温泉の成分が染み込んでやわらかく仕上がり、健康にもいいとのこと。



お菜洗い場(左) 切り漬け(右)


さて、洗ったお菜はすぐに食べたくなるものですが、そんな時は「切り漬け」にします。バリバリとした食感でお菜のみずみずしさが残り、とても美味しくいただけます。あとは本漬けのお菜が「どのように漬かっているかな?」と思いながらじっと待つ。これも冬の楽しみの一つとなっています。




■松見 繁 (養命酒中央研究所・主任研究員)
信州の冬は厳しい。どこにも出かけず、お茶と漬物をいただきながらこたつの中でゆっくり過ごすのが一番です。