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あなたの体はコゲている?! 抗糖化ライフで老化予防!

「いつまでも元気で若々しくいたい!」と思いつつ、「最近お肌の調子が…」「健康診断で動脈硬化の危険性を指摘された…」「ちょっとくじいただけで骨折するなんて…!」などという方は、もしかしたら“糖化”が原因かもしれません! 体が酸化することを俗に「体がサビる」といいますが、糖化とは過剰な糖によって「体がコゲる」状態のこと。糖化すると、老化が進み、糖尿病、高血圧、がんなどさまざまな成人病リスクの原因に…! そこで今月の元気通信では、糖化を防ぐ生活習慣について専門ドクターにお話を伺いました。


東京シナジークリニック院長 菅井 元彦 博士

2006年 聖マリアンナ医科大学大学院医学研究科卒。同大糖尿病センターで糖尿病・高血圧・脂質異常症など生活習慣病全般に従事する傍ら、糖尿病とその合併症に関する研究論文で医学博士号を取得。内科認定医として民間の病院や診療所などで1日100人を超える診療をした経験を生かし、抗加齢医学専門医としても活動。2013年 東京シナジークリニック院長就任。日本内科学会認定医。日本抗加齢医学会専門医。アメリカ心臓協会(AHA)認定ACLSプロバイダー。



「体がコゲる」ってどういうこと?

「コゲる」というと、こんがり焼けた料理やお菓子を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
砂糖と卵やミルクのタンパク質を混ぜて香ばしく焼くと風味が増しますが、「体がコゲる」となると、百害あって一利なしです。「体がコゲる」とは、ひとことでいうと、体内で不要な糖とタンパク質が結びついて「AGEs(糖化最終生成物)」という老化物質を生成してしまう作用です。これを「糖化」といいます。老化物質AGEsは体内で分解されにくく、これが血管に溜まれば動脈硬化の原因に、肌に蓄積されればしわやたるみに、骨に溜まれば写真のように変色し、骨粗しょう症の原因になってしまいます。


健常な骨のモデル / 糖化した骨のモデル



糖はこうして悪玉になる!

糖化を引き起こす代表的な糖は「ブドウ糖」と「果糖」です。ブドウ糖の元は砂糖と炭水化物です。それが消化酵素の力でブドウ糖になり、血中に入るとすい臓から分泌されるインスリンによって体内の細胞に送られ、脳や筋肉を動かすなどさまざまな生命活動のエネルギー源になります。消費されなかったブドウ糖も、いざという時の備えとして肝臓や脂肪細胞に貯蔵されます。しかし、それ以上に摂り過ぎて余ってしまったブドウ糖は、タンパク質や脂肪と結びついて悪玉の老化物質に化けてしまいます。
一方、「果糖」は、食事や清涼飲料水から摂ると、そのまま腸から吸収され、血液中に入ると速やかに細胞内に入っていきます。果糖はブドウ糖のようにインスリンが関わることはありませんが、ブドウ糖の10倍以上の速さでタンパク質や脂肪を糖化させて老化物質を量産してしまいます。「えっ、じゃあ果糖が含まれた果物を食べても老化するの?!」と思われるかもしれませんが、果物の果糖含有量はそれほど多くなく、食物繊維なども豊富に含まれているので、適量をゆっくり食べる分には問題ありません。


糖はこうして悪玉になる



あなたの体はどのくらいコゲている?糖化度チェックテスト

以下の10項目の中で、自分にあてはまる項目の数を合計してください。
合計数からあなたの糖化度リスクを判定します。


  • 朝食はほとんど摂らない
  • 麺類やパンをよく食べる
  • 食事の際はまず白米から箸をつける
  • 野菜はあまり摂らない
  • 食べるスピードが人より速い
  • つい食べ過ぎてしまう傾向がある
  • 甘いお菓子や清涼飲料水をよく摂る
  • 食べたらすぐに眠くなる
  • 普段はあまり運動をしない
  • 睡眠時間は6時間未満

糖化リスク判定

この判定結果は、あなたの生活習慣から導き出された糖化リスクの目安です。

チェックが2個以下
糖化リスクは青信号。現在の生活習慣をキープするよう心がけましょう。
チェックが3〜5
糖化リスクは黄信号!過度の心配をする必要はありませんが、生活習慣を今一度見直してみましょう。
チェックが6個以上
糖化リスクは赤信号!! 糖化による老化が確実に進んでいます。今すぐ生活習慣を改善しましょう。

今すぐ始められる抗糖化ライフ 糖化を防ぐ8つの習慣

生きている以上、糖化をゼロにすることはできませんが、食事をはじめとする生活習慣を変えることで、糖化を賢く予防できます。ぜひ今日から実践しましょう!


抗糖化ライフ1 朝食は抜かず、間食はしない!

朝食を抜くと、血糖値が低い状態が長時間続くので、血糖を上げるインスリン拮抗ホルモンが大量分泌されます。そんな状態で昼食を摂ると、食後の血糖値が急上昇するため、今度は血糖値を下げるインスリンがすい臓から大量分泌され、一気に血糖値が下がります。まるでジェットコースターのように血糖値やインスリン拮抗ホルモンが激しく上下することで、糖化を過度に促進してしまうのです。さらに、膵臓にも大きな負担をかけるため、糖尿病などさまざまな疾患リスクも上がってしまいます。朝食はもちろん、3食抜かず、間食をしないことが抗糖化の鉄則です。


抗糖化ライフ2 ゆっくり食べる!

食後に急に眠くなることがあるのは、早食いによってインスリンが一気に分泌されるからです。ゆっくりよく噛んで食べることで、血糖値の上昇も緩やかになり、糖化予防につながります。通常、食事を始めて20分ほど経つと、脂肪細胞からレプチンというホルモンが分泌され、脳の満腹中枢を刺激します。これによって、「あ〜お腹が満たされた!」と感じるわけです。しかし、20分にも満たない早食いをすると、満腹感を覚える前に食べ過ぎてしまい、必要以上に糖を摂ることになるので要注意です。


抗糖化ライフ3 「GI値」の低い食品を摂る!

食べてから1時間位で血糖値がぐっと上がりますが、その時に糖の吸収をできるだけ緩やかに抑えることが糖化予防につながります。その際に目安となるのが、血糖値の上昇スピードを数値化したGI値(グリセミックインデックス)です。GI値はブドウ糖=100としており、100に近づくほど血糖値が上がりやすく、GI値60未満が望ましいとされています。たとえば白米より玄米、精製された小麦粉の食パンよりライ麦や全粒粉のパンのほうが血糖値が上がりにくく糖化もしにくいといえます。

GI値のおおよその目安(*TN健康科学研究所所長永田孝行氏の算出法による)

  • 白米:84
  • 玄米:56
  • うどん:80
  • そば:59
  • 食パン:91
  • 全粒粉パン:50
  • じゃがいも:90
  • さつまいも:55
  • にんじん:80
  • かぼちゃ:54
  • 肉類:50未満
  • 魚介類:50未満
  • 乳製品:40未満
  • 海藻類:30未満

抗糖化ライフ4 「ベジタブル・ファースト」を心得る!

サラダ

「ベジタブル・ファースト」といわれるように、食事の最初に野菜から食べると、野菜の食物繊維が糖質の吸収スピードを抑えるので、血糖値の急上昇を防いでくれます。懐石料理では、まず季節の野菜料理が出て、吸い物、刺身、煮物、揚げ物、蒸し物、最後にご飯と味噌汁、しめにデザートが出ます。食物繊維が豊富でGI値の低いものから順に、1品ずつゆっくり食べる懐石スタイルは、糖化予防の観点からは理想的な食べ方といえます。定食を食べる際も、まずご飯やメインディッシュに箸を伸ばす前に、野菜を食べる習慣を身に付けましょう。


抗糖化ライフ5 お茶を飲む!

お茶

カモミール茶、ドクダミ茶、西洋サンザシ茶、ブドウの葉茶、ハマ茶、甜茶などには老化物質の生成を防いだり、糖化を遅らせる成分が含まれているので、食前や食事中に飲むのがおすすめです。甘い清涼飲料水をよく飲む人は、こうしたお茶に切り替えるようにしましょう。


抗糖化ライフ6 クエン酸を摂る!

グレープフルーツ

クエン酸が多く含まれるお酢や柑橘類も、抗糖化に役立ちます。体の細胞にはブドウ糖を燃焼するクレブス回路(TCA回路)というシステムがありますが、クエン酸にはこのクレブス回路の働きを高める作用があるのです。サラダを食べる時は、ドレッシングの代わりに軽く塩こしょうしてお酢やレモンの果汁をかけたり、朝食前にグレープフルーツなどの果物を摂るのがおすすめです。ただし、甘い果物を過剰に摂取するのは控えましょう。


抗糖化ライフ7 食後1時間以内にウォーキング!

ウォーキング

食後1時間以内は血糖値が最も上がって糖化しやすいゴールデンタイムなので、食後すぐに横になったりするのは言語道断です。毎食後30分ほど(1日1万歩程度)ウォーキングをする習慣をつけましょう。糖化は骨にも影響しますから、骨密度を上げるためには骨に刺激を与える薄いソールのシューズで歩きましょう。外出できない時には、食後にスクワットなどの加圧トレーニングをするのもおすすめです。


抗糖化ライフ8 睡眠時間は6時間以上!

新陳代謝が最も活発なのは眠っている時です。睡眠不足が続くと新陳代謝を司るメラトニンや成長ホルモンの分泌が悪くなってしまい、老化物質がうまく代謝・排泄されません。抗糖化のためには、良質の睡眠を6〜7時間とることが大切です。



まとめ

菅井先生ご自身も、「電車は2駅以上前で降りて歩く」「夕食には炭水化物を摂らない」といった抗糖化ライフを実践されているそうです。毎日の食事や運動のちょっとした心がけで糖化による老化を防ぎましょう。

うるる酢



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