HOME > 特集記事 > 【2012年8月号】 “朝グズ”にサヨナラ!夏のシャキッと早起き計画
毎朝、シャキッとお目覚めできていますか? 布団の中でグズグズして、ついつい二度寝ということはないでしょうか。分かっちゃいるけどやめられないのが、この“朝グズ”。「今日こそは早く出ようと思ってたのに!」と毎朝思ってる方も少なくないのでは?
今月の『元気通信』では、早起きの秘訣とその効用を特集します。というのも、日の出時間が早い夏は、朝型生活に切り替えるのに格好のチャンスなのです。
澄んだ空気を吸い込み、おいしい朝ご飯を食べると脳もお目覚めモード。集中力が増す早朝は、勉強や趣味に打ち込むのにピッタリです。また、涼しい朝の時間を有効活用することは、夏の節電対策や熱中症対策にもつながります。
夏の朝は、なにも子供たちだけのものではありません。充実した生活のために、明日からちょっと早起きしてみませんか? キーワードは「脱・朝グズ」!
“朝グズ”の人からみれば、起きてすぐにテキパキと行動できる“朝シャキッ”の人が羨ましく思えるはず。両者の違いは、一体どこにあるのでしょう。さっそく編集部では、睡眠改善インストラクターの鍛治恵さんに話を伺ってきました。
「睡眠不足の方が朝なかなか起きられないのは当然として、ひとつ考えられるのは“体内時計”に狂いが生じているかもしれません。私達は“1日24時間”という時計に基づいて生活していますが、人間の体には“1日24時間数十分”と少し長めな体内時計が備わっています。このズレがそのままになっている状態が、いわゆる“体内時計が狂っている”状態で、朝シャキッと目が覚めなかったり、体調不良の原因になることがあります(鍛治氏)」
ズレをリセットする方法として鍛冶さんが挙げたのは、朝の光を浴びて起きることです。
「目をつぶっていても、体は光を感知して起きる準備を始めます。そのため、朝の光が届くようにベッドの位置を変えたり、遮光カーテンを避けることも、朝グズグズしてしまう生活を正すにはけっこう効果的です(鍛治氏)」
もうひとつ大切となるのは、夜の過ごし方なのだとか。
「体には、副交感神経と交感神経が備わっていて、眠りにつく際には副交感神経が優位(活発)に、起きる時には交感神経が優位になります。このスイッチの切り替えがスムーズにいかないと、睡眠の質が低下して“一定量の睡眠を取っているにも関わらず、まだ眠い”という状況に陥ります。たとえば、寝る直前に熱いお風呂に入ったり、パソコンやテレビをみていると、副交感神経へのスイッチがうまく切り替わりません。また、パソコン画面やお部屋の照明など、明るい光を浴びていると、眠りを安定させるホルモン(メラトニン)の分泌が妨げられてなかなか寝付けず、その結果、朝に悪影響が出てしまうというわけです(鍛治氏)」
“朝の光”と“夜の過ごし方”がカギになる「シャキッと早起き計画」。次章では、具体的にどういった生活を送ればよいか、その秘訣を紹介しましょう。
朝、シャキッとしたいのはやまやまだけど、実際には無理…そんな方に向けて“朝グズ”を脱する秘訣をご紹介しましょう。まず前提として述べておきたいのは「十分な睡眠をとること」です。ただ、いきなり「夜、早く寝るようにしよう」と思っても、長年の習慣ですからなかなかすぐ寝付けないはず。最初はつらいかもしれませんが、まずは朝、シャキッと起きてみようと考えることが大切です。
「明日こそシャキッと起きよう!」と気合を入れたところで、起きて「何をやるか」という目的がないと、なかなか長続きしないもの。まずは前夜に「明日の朝起きたらやること」を書き出して「朝リスト」を作りましょう。資格や仕事のための勉強、あるいは趣味や運動など、人それぞれでOK。新たにガーデニングを始めてみるなど、なるべくワクワクするようなことのほうが、早起きの動機づけになりやすいといえます。また、仕事などのスケジューリングも同時に行っておくと「よし!明日の準備は万全!」という安堵感から、寝つきがよくなります。
なかなか寝付けない蒸し暑い夜でも、なんとか睡眠時間を確保したいところ。そのためには、寝る2〜3時間前にストレッチなど軽めの運動をしたり、入浴して体温をいったん上げることが有効です。その時間帯に故意に体温を上げると、体を冷まそうとして副交感神経が活発になり、ゆっくりと体温が下がっていく過程で眠気を覚えるようになります。ただし、体温低下には一定の時間がかかるため、寝る直前の入浴や運動は逆効果。入浴も、ぬるめの温度に設定して、体温を上げ過ぎないことがポイントです。
睡眠の質も、スッキリ起きるためには重要な要素。夜中に何度も目覚めてしまうようでは、朝に眠気が抜けないのも至極当然です。ここで問題となるのが、枕や布団、ベッドなどの寝具。寝ている時に打つ「寝返り」は、日中の体を歪みを正す大切な行為なのですが、寝具が合わないと寝返りが思うように打てず、中途覚醒したり、体の疲れがとれないまま起床することになってしまいます。自分に合った寝具をきちんと選ぶことが大切です。また今年の夏は、節電を意識した寝具を利用してみるのも良いでしょう。昨今は、熱がこもらない竹製のシーツや、冷却ジェルが入ったマットなど、クーラーや扇風機に頼らないための寝具が多数登場しています。
眠りを誘うメラトニンという睡眠ホルモンは、暗くなると分泌が始まります。そのため、寝る1時間前から、少し照明を落として過ごすことが効果的です。逆に朝は、先に述べたように太陽の光が体内時計をリセットし、体を起こしてくれますので、カーテンは少し開けておき、朝日が差し込むようにしておきましょう。寝室のベッドも窓際に配置することがおすすめです。
目が覚めた瞬間にガバッとふとんから抜け出せない、“朝グズ”の人が陥りがちなのが、いわゆる「二度寝」。夜中に物音などで目が覚めてしまった場合はさておき、朝の二度寝は非常に浅い眠りで、質の高い睡眠がとれることはありません。さらに休日の二度寝は、睡眠過多になって夜眠れなくなるという悪循環に陥りやすくなります。そんな二度寝を回避するためには、まず起きたら、かろうじて動かせる体の部分だけでもよいので、動かし続けることが大切。足の指先を曲げたり伸ばしたり、膝を立てたりすることによって覚醒が促されます。
ベッドから抜け出してもまだボンヤリする…そんな時は、少し熱めの温度に設定したシャワーを浴びるのが効果的。人間は眠っている時、リラックスモードの「副交感神経」が優位になっていますが、シャワーを浴びて体を温め、水しぶきが皮膚を刺激することで、活動的な「交感神経」が優位な状態にスイッチが切り替わります。また、寝ている時にかいた汗を洗い流すことで心身ともにリフレッシュします。
なかなか“朝グズ”が解消できない方に向けて、睡眠を科学的に踏まえたハイテクな目覚まし時計を2つ、ご紹介しましょう。 まずは腕時計タイプの目覚まし時計「スリープトラッカー」。人間は、約90分周期で浅い眠りと深い眠りを繰り返しているのですが、比較的起きやすい、浅い眠りの時間帯を察知して起こしてくれるのがこの時計。浅い眠りの時は、まぶたの下で眼球が動くことに伴い、人間の体の動きも大きくなります。その動きを内蔵センサーが察知する仕組みです。たとえば7時に起きたい場合、7時ちょうどに眠りが浅いとは限りません。そこで、起きたい時刻の前後90分の中で、浅い眠りの時間帯をセンサーが捉えてアラームがなります。 もうひとつは「ブライトアップ・クロック」。朝日に近い照度の特殊蛍光管の光と音で起こしてくれる目覚まし時計です。注目したいのは、プリウェイク機能。設定時刻の90分前に、朝日に近い照度の特殊蛍光管が短時間灯ります。この光によって睡眠リズムが調整されて浅い眠り状態となり、深い眠りを経て再び浅い眠りとなる90分後に起きることができるという仕組みです。 |
“朝グズ”から脱却できたら、今度は“早起き”にトライしてみましょう。夏は日の出時間が早いため、朝型の生活にシフトするには最適の季節です。充実した朝時間を過ごすことは、たくさんの恵みをもたらします。以下に挙げた要素をみてみると、ちょっと早起きしてみたくなりませんか?
寝ている間に、脳は不要な情報を捨て、必要な情報を整理する作業をしています。つまり朝は、整理が行き届いた時間帯。集中力が増し、さまざまなアイデアを練るにも最適です。朝食に脳のエネルギー源となる炭水化物(糖質)をしっかり摂ることを忘れずに。
早起きすると、夜は自然と眠くなります。早く眠る習慣がつくと、夜に煌々とつけていた照明などの電力消費量も減って節電につながると同時に、電気料金の節約にもなります。
一日のうちで一番気温が低い時間帯こそ、洗濯やお掃除などの家事をこなすにはベストの時間帯。もちろん、運動も朝の涼しい時間帯を利用して、熱中症予防につとめましょう。
運動は血の巡りを良くする効果があり、脳にも十分な酸素が供給されて、一日の集中力アップにつながります。他の時間帯よりもエネルギー消費量が多くなるため、ダイエットにも効果的です。ただし、運動前にはバナナや水分などエネルギーを補給をしておきましょう。
朝ご飯は一日の活動を支える貴重なエネルギー源。ゆとりをもって早起きすれば、ゆっくりと時間をかけて朝ご飯を楽しめます。特に運動後だと、いっそう美味しく頂けるはず。
夏休みの朝の風物詩、ラジオ体操が、おとな達の間で再びブームになりつつあるのをご存じでしょうか? ラジオ体操は、加齢や生活の偏りなどによって生じた身体のきしみや歪みを正し、健康な状態を維持する効果があるといわれています。体をまんべんなく動かせて、しかも手軽。忙しいオトナ達にもピッタリの健康法なんですね。2012年4月に出版された「実はスゴイ!大人のラジオ体操」(講談社/中村格子著・秋山エリカ監修)というDVD付きの本は、ラジオ体操のメカニズムと動作のポイントをわかりやすく解説。肩こり解消や痩身を目指す人たちに受け入れられ、ラジオ体操ブームが加速しつつあります。実践してみた編集部員Mによると「しっかりやると、意外と疲れる」とのこと。 有名な女優さんが出産を機にラジオ体操を始めるなど、人一倍カラダのシェイプを大事にする芸能人の間でもファンが増加中なのだとか。ラジオ体操は、NHKラジオ第1放送にて、毎朝6時30分より放送中です。 |
子どもの頃、普段はなかなか起きられないのに、家族旅行や遠足当日はシャキッと目が覚めた経験はありませんか?それは大人になった今でも同じこと。翌朝に「楽しい予定」を入れておけば、“グズグズ”とは無縁です!ここでは魅力的な朝のイベントをいくつかご紹介しましょう。
池にひっそりと涼しげに咲く、薄桃色のハスの花。品種や地域にもよりますが、7月上旬から8月上旬にかけての風物詩です。昼には閉じてしまうため、その姿を拝めるのは、まさに早起きした“ご褒美”といっても過言ではありません。東京では、上野・不忍池が江戸時代からハスの名所として知られています。開花のピークを迎えるのは、例年7月下旬から8月上旬にかけて。池の中央に位置した弁天堂を背景に咲くハスの花をひと目みようと、多くの観光客やカメラ愛好家が足を運んでいます。
上野でハスを眺めるついでに行きたいのは、下町の銭湯!通常の銭湯は午後4時頃から開業しますが、御徒町にある「燕湯(東京都台東区上野3-14-5)」は、なんと朝6時オープン!寝ている時に大量の汗を掻く夏だからこそ、朝から銭湯でサッパリと洗い流せるのは衛生的にもおすすめです。休日に赴いて、朝湯を楽しんでから上野散策をするもよし。平日、早起きして出勤前にリフレッシュするもよし。実際に平日は、スーツ姿のお客さんも目立ちます(※月曜は定休日です)。
日本最大級の水産市場、築地市場。その平日は早朝から活気に満ち溢れています。マグロ卸売場の見学受付は午前5時から。場内の「おさかな普及センター」1階にて、マグロ卸売場の見学受付を行っています(最大120名・先着順)。そこかしこにゴロリと転がる冷凍マグロは、まさに豪快の一言!ちなみに、一般の人でも場内で魚を購入することができますよ。散策する際は、ぜひ鼻を効かせてみてください。削りたてのかつお節や焼き立ての卵焼きなどの匂いを嗅いでいるうちにお腹が空いてきたら、場内の魚がし横丁へ。「朝からおいしい海鮮丼が食べられる!」と思えば、否が応でもシャッキリ目が覚めるはず!?
凛としたお寺の朝の空気。その中で、ただ無心になって座禅を組む…そんな朝の過ごし方はいかがでしょう。昨今では、早朝に一般人でも参加できる座禅会を開いているお寺もあります。東京・広尾の香林院(東京都渋谷区広尾5-1-21)では、月曜日から金曜日まで、誰でも無料で午前7時からの座禅会に参加することが可能。予約も必要ありません。はじめて参加する人のために、座禅のしかたや呼吸法などを記したプリントも用意されています。出勤前に心を鎮めると、その日の仕事の集中力が違うかもしれません。
朝、シャキッと目を覚ますと、一日の暮らしにハリが出ます。さらに早起きが身につくと、一日が長く感じられるはずです。朝型にシフトしやすい夏だからこそ、明日から始めてみませんか?