HOME > 特集記事 > 【2012年2月号】 「東京マラソン」コースを歩く!
もはや東京の冬の風物詩といえるまでの規模となった東京マラソン。東京・新宿の都庁前を出発し、銀座や浅草、築地などの観光名所を駆け抜け、有明の東京ビッグサイトでゴールを迎えるフルマラソンです。当日は沿道に多くの観客が押し寄せ、都内各地でお祭りムードが一様に高まります。
しかしながら、出走希望のランナーすべてが参加できるわけではなく、抽選制となっています。2007年の第一回目には、抽選倍率が約3.2倍でした。それが年々増加して、平成24年2月26日(日)に開催される「東京マラソン2012」の申し込み総数は約28万4千人。フルマラソンの抽選倍率は約9.6倍!10人申込んで1人しか走ることができないほどの人気です。
そんな“狭き門”の東京マラソンコースですが、ぜひ一度その臨場感を味わってみたいということで、今回は東京マラソンのコースから3ヶ所をピックアップ。比較的お手軽なウォーキングコースに見立ててみました。東京名所の“いいとこ取り”コースを、さっそくレポートします!
ウォーキングで東京マラソンのコースを”予習”しておくと、テレビでの観戦もいちだんと楽しくなりますよ。
編集部員のKです!42.195kmを走破することは夢のまた夢ですが、コースの一部をウォーキングするのなら自分の体力でもなんとかなる!ということで、さっそくトライしてみることにしました。ではここで、ウォーキングの効用について簡単にご紹介しましょう。
ウォーキングは、酸素を取り入れつつ体を動かす有酸素運動です。有酸素運動は、内臓脂肪や皮下脂肪を燃やすダイエット効果があります。
ウォーキングによって血流がよくなると、乳酸などの疲労物質が速やかに心臓へ戻って解消されるため、疲労回復につながります。もちろん、血流を促すことは冷え対策や生活習慣病の予防にもつながりますよ!
血の巡りがよくなると、体の中の酸素やエネルギーが効率よく隅々まで行き渡るようになり、心肺機能が高まります。階段などでハァハァと息切れすることが減リ、また動脈硬化などの予防にもつながります。
ウォーキング当日は3時間前に食事を済ませ、念のため「飴玉」をカバンにしのばせることにしました。空腹になって低血糖になるとめまいなどが生じる可能性がありますので、速やかに糖分を補給できて、なおかつ持ち運びやすいのが飴玉なんです。それと、お水も忘れないようにしましょう。今は冬で汗もかかないとタカをくくっていると、歩いているうちにじんわりと汗が出てきて水分不足になってしまいます。冬でもお水やスポーツドリンクを携帯し、こまめに飲むようにしたいところです。
さて某月某日、まず、降り立ったのはJR市ヶ谷駅。東京マラソンに参加しているような気分を味わいたいのなら、ウォーキングも新宿・都庁前からスタートすべきでしょう。しかし、ちょっと街並みがゴチャゴチャしているのもまた事実。そこであえて、スタート地点を市ヶ谷に設定しました。ここですと、市ヶ谷駅を降りてすぐにマラソンコースである外堀通りに入ることができます。
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もうひとつ、市ヶ谷をスタート地点にした理由は、右手に外堀を眺めながら、爽快な気分で歩けるという点です。ちょっと歩道は狭いのが難点ですが、都会の真ん中でありつつも、自然の息吹を感じることができます。土手には延々と桜の木が植わっているので、春になれば爽快さはひとしおでしょう。ただ、今の季節も膨らみかけた桜の新芽が目につき、春の予感が伝わってきます。釣り堀で釣り糸を垂らす人や、手漕ぎボートでデートするカップルなども目につき、なんともノンビリした気分です。 |
15分ほど歩いて飯田橋に到着。飯田橋交差点を右折して、目白通りに入ります。
この通り沿いには、実に多くの記念碑があるのをご存じでしょうか。「日本大学開校の地」「新徴組屯所跡」「台所町跡」をはじめ、飯田橋の歴史を紹介するプレートが点在しています。
中でも気になったのは「甲武鉄道 飯田町駅」の碑。一時は中央線の始発駅でもあった飯田町駅は、昭和8年に貨物専用駅となり、平成11年に廃止されました。
私は知りませんでしたが、けっこう最近まで存在したんですね。
歴史散歩を楽しみながら竹橋を経て、内堀がみえてきました。いよいよ皇居です。皇居外周は自然豊かで、信号で立ち止まることなく走れるとあって年々ランナーの数が増えています。周辺にはランナーのためのシャワーやロッカー設備が整った施設も出現しているほどで、この日もたくさんの老若男女がジョギングを楽しんでいました。私は知らなかったのですが、皇居周辺の場合、ほぼすべてのランナーは皇居を中心にして反時計回りで走っているんですね。逆に東京マラソンの場合は、皇居東側を時計回りに走ります。この日も片側車線が車両通行止めとなっていたため、車はほとんど走っておらず、排気ガスの煩わしさもまったく感じません。お堀側には平川門、大手門、桔梗門など、江戸城をしのばせる門が続き、その逆に目をやると近代的なビル群!“昔”と“今”が混ざり合う、この地特有の風景がとても新鮮です。
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日比谷は、東京マラソンの10kmコースのフィニッシュ地点でもあり、品川の折り返し地点から戻ってくる際はフルマラソンの中間地点となります。次に日比谷から向かうのは、東京マラソンの真骨頂ともいえる浅草・雷門前!日比谷から浅草まで、約7kmのコースを実際に歩いてみました。
まずは晴海通りを銀座方面へ。日比谷からは目と鼻の先です。東京マラソンの当日、銀座の沿道には多くの観客が集まります。ランナーにとっては、声援に励まされて再び元気が沸くスポットというわけですね。銀座四丁目交差点の角にそびえるは、ご存じ銀座三越。このデパートの2階にあるカフェの窓際は、東京マラソンを見物するベストスポットといえるでしょう。また、9階には「銀座テラス」という芝生広場があり、晴れた日にはのんびりと日光浴を楽しむことができますよ。 | ![]() |
四丁目交差点を左折し、「旧東海道」である中央通りを日本橋方面へ。日本橋の前に、京橋を通過します。東海道を始めとする五街道の起点であり、江戸城の堀と隅田川をつなぐ川に架けられた「日本橋」と同様に、京橋にもかつてその名の橋が架かっていましたが、現在は川自体が埋め立てられ、その姿はみられません。
しかし、その名残として3本の親柱(おやばしら)が中央通り沿いに残っています。さらに歩みを進めると、八重洲通りと交差するところにヤン・ヨーステンの像がありました。ヤンさんは1600年、日本に漂着したオランダ船員。家康に見込まれて、東南アジア方面との貿易で活躍した人物です。屋敷があったこの地「八重洲(やえす)」は、彼の名前が由来となっています。
そのまま進むと「日本橋」がありますが、東京マラソンのコースでは、その地点を通らずに、その手前を右折して永代通りを茅場町方面に向かいます。茅場町交差点から新大橋通りに入り、気づくとそこは水天宮前。水天宮は、江戸の頃から安産・子授けの神として庶民の信仰を集めてきた神社です。社殿は権現造りで、なんとも美しい曲線を描いています。境内には、カワイイ親子の犬の像「子宝犬」がありました。その周囲を十二支が取り囲んでいて、自分の干支をなでるとご利益があるそうです。
そうそう、もうひとつ大切なことを忘れていました。それは、水天宮前にある「重盛永信堂」さんの人形焼を買うこと!同店は東京マラソンの当日、ランナーに“給食”として人形焼を例年振る舞っています。2時間以内で走破する人の場合、給水さえあれば問題ないかと思いますが、長時間かかる人ほど、途中での給食は重要になります。ちなみに東京マラソンで振る舞われる人形焼は、アンコの入っていないプレーンタイプ。私もプレーンタイプを買って、もぐもぐしながら残りの行程を歩いていきます。
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3つ目は、東京タワーのお膝元である芝公園から、湾岸の月島まで歩くコースです。距離は約5.7km。さっそく踏破してみましょう!
都営地下鉄三田線の芝公園駅を降りると、都会のオアシスといえる芝公園が広がっています。いざこれからスタートではありますが、いきなり寄り道してぜひ公園内を散策するのも一興ですよ。同公園は日本で最も古い公園のひとつで、徳川将軍家の霊廟である増上寺があります。大本堂の前に立つと、お堂の後ろにそびえるは東京タワー。お寺とタワーのミスマッチ感が見どころですね。さらに公園内を散策すると、鉄棒などの運動器具を使って体を動かしている人々がみえてきました。ここは「体力測定健康緑道」と呼ばれるエリア。ウォーキングの途中でここに立ち寄り、筋肉トレーニングに臨む人がたくさんいましたよ。
芝公園を出て一路、北へ。左手に日比谷公園を眺めながら日比谷交差点を右折し、銀座方面へ抜けます。東京マラソンの場合、銀座四丁目交差点から浅草へ向かい、雷門前で折り返して再び銀座へ戻ってくるルートですが、今回のウォーキングでは晴海通りをまっすぐ進み、築地へ向かいます。築地といえば、なんといっても築地市場ですね。この日は日曜日でしたので、市場はお休み。さらに午後でしたので、築地の場外もひっそりとしていましたが、その雰囲気は垣間見ることができました。もうひとつ見逃せないのが、築地本願寺。お寺ではありますが、日本では珍しい石造りのインド仏教式建築です。石造りの荘厳な建物の中は一転して伝統的な真宗寺院の造りになっていますが、パイプオルガンもあったりとなかなか不思議な感覚が味わえます。ライトアップされた夜の姿も美しいですよ。
佃大橋を渡りきると、いよいよ今回のコースの終点である月島エリアに入ります。月島は、いわずとしれた下町のソウルフード「もんじゃ焼き」のお店が立ち並ぶ名所。およそ80軒ももんじゃ焼き店が密集しています。芝公園から歩いてきて、ちょうど小腹も空いた頃合い。ここでもんじゃに舌鼓を打ち、周辺をぶらりと散策したいところです。近代的なビルが立ち並ぶ一方で、ふと裏路地に入ると下町ならではの素朴な風景が広がっているところが月島の魅力。佃島の渡船碑や月島の渡し跡、住吉神社や月島観音など、歴史的な見どころも豊富です。
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![]() ただ、日ごろの運動不足を差し引いたとしても、今回もっとも強く抱いた感想は「けっこう歩ける!」ということ。普段は主に地下鉄に乗って移動しているため、それぞれの駅間の距離が実感として掴みにくいのですが、 「この駅とこの駅の間って、こんなに近かったの!?」 と至るところで思いました。 東京って、けっこう歩ける!ぜひ皆さんも、東京散策を楽しんでみてください。 |