生薬ものしり事典99
クリスマスツリーに使われる神聖なモミの木
ドイツでは樹皮の芳香油が薬に |
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12月になると、花屋さんやスーパーなどの店頭でよくモミの木を見かけます。クリスマスとモミの木の関係性には諸説あり、そのひとつは、8世紀ごろのドイツを起源とするものです。「モミの木がまっすぐ天を指し、すくすくと伸びる姿は、天にまします父なる神につながるもので、礼拝の対象として最上のものである。この木を家に入れて変わらぬ常緑の愛と天に伸びる喜びをともに賛美しよう」という宣教師の勧めがクリスマスツリーの始まりだとか。ドイツにはモミの木が多く生育しており、人々にとって身近な木であることから有名なドイツ民謡の『モミの木』が生まれました。なお、クリスマスツリーにはモミの木以外にもさまざまな植物が使われており、地域によって「ドイツトウヒ」などが使われています。
モミの木はマツ科のモミ属で常緑、高さ30~50m、直径1~1.5mの高木に成長します。樹皮は粗雑で黒っぽい灰色。葉は密に互生しています。6月に開花し、雄花は円柱形で黄色。雌花は長卵状長楕円形で上を向いています。 み湯の上の 木群(こむら)を見れば 臣の木も 生き継ぎにけり 鳴く鳥の 声も変わらず
モミの木の名前の由来は、古名の「臣木」が変化してモミの木になったという説があります。また、『倭名類聚抄』(931~938年)にはモミ、『新選字鏡』(898~901年)にはモムノキとあり、樹皮が「揉みたるが如く」という意味から転じたという説もあります。 出典:牧幸男『植物楽趣』 |