今回の「生薬ものしり事典」は、過去にご紹介した生薬百選より「マタタビ」をピックアップしました。
マタタビ酒は冷えや腰痛に一役 |
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「股旅」は渡世人などが諸国を股にかけて渡り歩くことですが、植物のマタタビ(Actinidia polygama)の語源は、長旅に疲れたときにこの実を食べたら元気が出て「また旅」をしたという説や、アイヌ語に由来するという説など諸説あります。
マタタビの実は本来はドングリのような形ですが、花が咲いたときにマタタビアブラムシやマタタビミタマバエが寄生すると、デコボコの虫こぶとなります。虫こぶの実に開いている穴は、寄生していた虫の脱出口です。
「ネコにマタタビ」といわれるように、マタタビはネコの大好物です。ネコに乾燥させたマタタビの粉末や枝、葉、実を与えると、身もだえして恍惚状態になります。これは「マタタビラクトン」と「アクチニジン」という成分が、ネコ科動物の脳の中枢神経に作用するためといわれています。ただし個体差があり、よだれを垂らしてメロメロになるネコもいれば、興奮して走り回るネコや、マタタビにあまり反応しないネコもいますが、あまりマタタビをあげ過ぎると、アレルギー反応を起こすネコや、呼吸不全になるネコもいるので注意しましょう。トラやヒョウなどのネコ科動物もマタタビに反応するという実験結果があるようですが、ネコ科動物だけに反応する理由はまだ解明されていません。
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