HOME > 生薬百選 > 【2007年12月号】生薬百選45 紫蘇葉(ソヨウ)、紫蘇子(シソヨウ)


生薬百選45 紫蘇葉(ソヨウ)、紫蘇子(シソヨウ)


葉はもとより枝先、種子までが有用な生薬に。
食卓でも身近な「紫蘇」の本質に今回は迫ります。

薬味や刺身のツマなどでお馴染みの「紫蘇」は、 発汗や胃液分泌を促進したり、胃腸の働きを よくするなどその効果は広く知られるところ。 今回はマイクロスコープを使い、ユニークな 紫蘇子(種子)の模様も公開します。

生薬名は蘇葉(ソヨウ)または紫蘇葉(シソヨウ)、Perillae Herbaの学名で日本薬局方にも収載されています。

シソ科( Labiatae )のシソ ( Perilla frutescens Brit. Var. acuta Kudo )、チリメンジソ ( Perilla frutescens Brit. Var. crispa Decaisne ) の葉および枝先が用いられます。また、その種子も紫蘇子(シソシ)として同じような用途に用いられます。



アカジソ


ペリルアルデヒド(Perillaldehyde)という精油成分が紫蘇特有の香気成分ですがその他にもアントシアン類、フラボン類などの成分を含んでいます。

発汗作用、胃液分泌の促進作用、胃腸の働きをよくする作用、気のめぐりをよくして気分を爽快にする作用などがあり、漢方では胃腸症状の伴う感冒、夏カゼなどに香蘇散、参蘇飲として、胸の痞え、腹満・嘔吐などの症状に半夏厚朴湯として用いられています。また、魚介類などの中毒に対する解毒・予防効果もあるとされています。

主に生薬としては紫色のものが使用されますが、おなじみの青紫蘇にも同様の効果が期待され、刺身などに添えられるのも昔からの知恵だと思います。



紫蘇葉(左)      紫蘇子(右)


マイクロスコープで紫蘇子を拡大してみてみると、なかなか面白い模様が見られました。細かいものですが拡大してみることで新たな世界が広がり興味深く感じられます。




■ 江崎 宣久(養命酒中央研究所・主任研究員)
今年は残暑が厳しく、気持ちの良い秋の季節が短かったように感じられました。すっかり肌寒くなり我が家でも既にコタツが活躍しています。