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生薬百選40 マタタビ


股旅は渡世人などが諸国を股にかけて渡り歩くことですが、マタタビ(Actinidia polygama:マタタビ科)は山地に自生する落葉つる性植物です。
名前の由来は、長旅に疲れて、この実を食べたら元気が出て「また旅」をしたという説や、アイヌ語に由来するという説があります。



マタタビの実(虫こぶ:左)  葉が半分白くなったところ(右)


6月〜7月頃に、葉が半分白くなるのが特徴で、山の中でも見つけやすくなります。

「猫にマタタビ」と言われるように、猫にマタタビを与えると、身もだえして恍惚状態になります。これはマタタビラクトンとアクチニジンという成分が猫科の動物の神経に作用するためといわれています。



虫こぶの実の乾燥品(木天蓼:左)  虫こぶでない実の乾燥品(右)


マタタビの実は本来はドングリのような形ですが、花の時にマタタビアブラムシやマタタビミタマバエが寄生すると、デコボコの虫こぶとなります。
弊社薬草園のマタタビは毎年すべて虫こぶとなります。この虫こぶを熱湯殺虫してから乾燥させたものを木天蓼(モクテンリョウ)と呼び、冷え性・神経痛・腰痛に良いとされ、マタタビ酒にして用いたりします。

虫こぶの実に開いている穴は、寄生していた虫の脱出口です。




■ 丸山 徹也(養命酒中央研究所・主任研究員)
生まれも育ちも長野県ですが、県内を転々としてきました。養命酒発祥の地の近くにも3年いましたが、将来この会社に就職するとは思ってもいませんでした。