HOME > 生薬百選 > 【2005年10月号】生薬百選16 七葉胆(シチヨウタン)


生薬百選16 「七葉胆(シチヨウタン)」


七葉胆? 聞きなれない名前の生薬ですが、実はアマチャヅルのことです。ウリ科の多年草で日本各地の山野で見つけることのできる蔓性の植物です。

1977年にアマチャヅルには朝鮮人参と同様の有効成分サポニンが70種類以上も含まれていることが明らかにされ、平成の初め頃に「アマチャヅル茶」が大ブレイクしました。いわば、健康茶ブームの先駆けとなった薬草ともいえます。一頃は、かなりもてはやされたようですが、今ではすっかり影が薄くなってしまいました。

最近はテレビなどで薬効のある植物や食べ物が次から次へと紹介されるため、すぐにブームになるのですが、長続きするものがほとんど無いような気がします。薬草の類は長期間服用して初めて効果が現れるものが少なくないため、気長に付き合って行かなければ、その良さは分からないと思います。



アマチャズル ヤブガラシ


さて、このアマチャヅルの薬効はと言うと、慢性気管支炎や胃・十二指腸潰瘍の治療に用いられる他、関節リュウマチ、低血圧、動脈硬化、肝臓障害、糖尿病、前立腺肥大、花粉アレルギーなど多くの症状に効果があると言われています。また、若くて柔らかいつる先は、山菜料理として炒め物や天ぷらなどにもよく利用されます。

アマチャヅルを採りに行く時に間違える植物としてヤブガラシ(ブドウ科)があります。アマチャヅルは葉の全体に短い毛があり、巻ヒゲは葉と茎の間から出ているのに対して、ヤブガラシには毛がまったく無く、巻ヒゲは葉の反対側から出ていることから見分けがつきます。アマチャヅルを採るときの参考にしてください。




■ 石塚 康弘(養命酒中央研究所・主任研究員)
最近、スローライフとログハウスに憧れています。展示場に行ったりして夢を膨らませています。しかし、現実はそんなに甘くないですね、時間もお金も全然ありません・・・(涙)。