養命酒ライフスタイルマガジン

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不思議な液体

ストレスを発散させるだけでなく、古来より人々の元気を育み、健康を支えてきた「お酒」。その恵みについて今月はご紹介。お酒を知ると、暮らしがもっと健やかになります!

血行促進や安眠効果、食欲増進に「お酒」のチカラ

お酒を飲まれない方でも、「お酒の席」に着いたことのある方がほとんどだと思います。まだよく知らない相手であっても、お酒を酌み交わすとコミュニケーションが円滑になりますよね。また、冠婚葬祭などでもお酒は振舞われ、「神聖なもの」としても位置づけられています。

お酒の効能は、それだけではありません。もちろん、飲みすぎは身体によくありませんが、適量のお酒は心と身体の緊張状態を解きほぐし、ストレスを発散させる効果があるといわれています。現代人にとってストレスは大敵。さまざまな疾患に繋がるストレスは「病の元」であり、「病」そのものとはみなされません。そのため、日々の暮らしの中で積極的に「(ストレス緩和に)良いもの」を取り入れていきたいところ。そこで手軽なお酒は重宝されることになります。

お酒は血行促進や安眠効果、食欲増進などに繋がります。さらに「Jカーブ効果」という言葉をご存知ですか?これは1993年、アメリカ合衆国保健科学協議会で発表されたデータのことを指します。そのデータとは「お酒をまったく飲まない人」「適量のお酒を飲む人」「大量にお酒を飲む人」の死亡率を現したグラフ。その際「適量のお酒を飲む人」が最も低く、ちょうど真ん中がくぼんだ「J」の字状になったことから名前がつきました。これは世界の地域を問わず、同じような傾向になるといわれています。適度にお酒を嗜むことが寿命をも延ばしうる、といえるでしょう。

生薬の相乗効果によって育まれる「薬酒」のチカラ

古来、「薬」といえば薬草や生薬でした。傷口に塗布したり、食べたり、水で煮出して飲んだりして摂取されてきましたが、どうにも摂りづらい。病人にとってはなおさらのことでした。そこで、さらに以前から薬としてみなされてきた「お酒」とともに摂り入れる方法を編み出し、やがて生薬をお酒に漬け込んで「薬酒」にする発想が生まれました。

その後は、長い歴史の中で「更に良いもの」を目指す思考錯誤が行なわれます。つまり、「どの生薬を、何種類、どう組み合わせれば更に品質の高いものになるのか」ということです。

現在では、それぞれの生薬に含まれている成分や薬効について、さまざまな研究が行われています。成分の分析には様々な手法が用いられますが、その中でも「位置」と「色」によって視覚的に分析できる「薄層クロマトグラフィー」という分析法があります。この分析法は、成分が薄層板の上を展開溶媒とともに移動する速さが異なる性質、さらにそこに硫酸や紫外線を当てることによって、さまざまな色を発するという2つの性質をうまく組み合わせた手法です。

下の画像は、養命酒の中央研究所にて、1種類の生薬を漬け込んだ薬酒を分析した結果です。この画像から、人間にはそれぞれ個性があるように、生薬も同様であることがわかるかと思います。成分だけでなく薬効の面でも同じことが言え、それらの特徴を活かせられるように配合することにより、相乗効果も生まれてきます。


生薬を漬け込んださまざまな薬酒


薬酒の原液を薄層板の上に垂らす

果実の恵みが凝縮された果実酒

生薬を漬け込めば「薬酒」。そして果物を漬け込めば「果実酒」です。たとえばワイン。ワインは人類最古のお酒のひとつといわれています。昨今では赤ワインに多く含まれるポリフェノールの健康作用が注目されていますよね。ブドウという単体の植物ながら、種や皮、果肉、茎、そして貯蔵する樽などが持つさまざまな成分が互いに反応し合い、結果としてポリフェノールの量の増加につながっています。薬酒同様、素材同士の相乗効果がなされているわけです。

果実に含まれる成分は、果実の種類にもよりますが、漬け始めから次第にお酒に溶け出して、およそ1ヶ月くらいから飲み頃となります。ワインの例があるからでしょうか、長く漬ければ漬けるほど良いと思いがちですが、果皮などの雑味が溶け出して苦くなってしまいますので、程よい時期になったら果物をお酒から取り出すようにしましょう。なるべく早めに飲むことも心がけてください。

それではここで、いくつか果実酒をご紹介。ご家庭で作ることもできますが、ここでひとつご注意!お酒を製造する行為は酒税法により、酒類製造免許が必要です。ただし、家族で楽しむ分には例外的に製造とみなされません。販売したり、知人に振舞うことは原則的に酒税法違反となります。また、家族で飲む場合であってもぶどうや米、麦などを漬けることは違反となるので注意しましょう。

いちご酒

いちご 500g
レモン 2個
ホワイトリカー 900ml
氷砂糖 100g
取り出し時期 いちごは約2ヵ月後
レモンは約1ヵ月後

食欲増進、健胃整腸などの効果が期待でき、ビタミンCが豊富なことから美容にも良いとされているいちご酒。いちごはヘタを取り水洗いした後に水気を切ります。レモンは皮を剥いて1個を3つくらいに輪切りにし、いちごとレモンをホワイトリカーに漬け込んで密封、冷暗所に置いておきましょう。

リンゴ酒

リンゴ 500g
レモン 2個
ホワイトリカー 900ml
氷砂糖 100g
取り出し時期 リンゴは約4ヵ月後
レモンは約1ヵ月後

疲労回復や冷え性などに良いとされているリンゴ酒。「むつ」などの酸味の強いリンゴが適しています。リンゴをよく洗った後、皮はそのまま残し、8等分して濁りの原因となる芯の部分を取り除き、ホワイトリカーに漬けます。レモンの入れ方はいちご酒と同様です。

バナナ酒

バナナ 500g
レモン 2個
ホワイトリカー 900ml
氷砂糖 100g
取り出し時期 バナナは約3ヵ月後
レモンは約1ヵ月後

高血圧や動脈硬化の予防に繋がるといわれているバナナも、お酒にすることができます。バナナは皮を剥き、3センチくらいにカットしてホワイトリカーに漬け込みます。レモンの入れ方はいちご酒と同様です。

キウイ酒

キウイ 400g
レモン 2個
ホワイトリカー 900ml
氷砂糖 100g
取り出し時期 約3ヵ月後

ビタミンCが豊富で、フルーティーな口当たりが爽やかなキウイのお酒。キウイは皮を剥いて半分に切り、ホワイトリカーに漬け込みます。2ヵ月を過ぎた頃から飲み頃となり、3ヶ月目でキウイを取り出すようにしましょう。お好みでレモンを同時に漬けてもよいでしょう。

自然の恵みを凝縮し、心と身体を健やかにするお酒。飲みすぎにはくれぐれも注意しつつ、「たしなむ」感覚で日々の暮らしに取り入れてみてくださいね。
[ご注意] 未成年者の飲酒は法律で禁じられています。
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禁断の酒『アブサン』とニガヨモギ

アブサンは薄く緑色を帯びた薬草系リキュールです。アルコール度数は70%程度と高いものが多く、低くても40%です。かつてフランスでゴッホ、ゴーギャン、モネ、ロートレック、ピカソなどの芸術家を魅了し、彼らの感性を引き出したとされ、人によっては破滅に導いていったお酒でもあります。その主原料がニガヨモギです。
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