生薬百選
全100回完結記念!年度別人気No.1生薬は?
~ 9年間を彩った生薬たち~
2012年7月号をもって終了した『生薬百選』。長野県にある養命酒中央研究所の研究員が毎月一つ生薬をテーマにとりあげ、その解説をするという連載です。百選の名の通り、第100回をもって、ご好評のうちに完結しました。一口に生薬と言っても、100も揃うとメジャーなものからマイナーなものまで、美味しそうなものから苦そうなものまで、かわいらしいものから不思議なものまで、実にさまざまな種類が揃っています(これまでのラインナップは、ぜひこちらからご確認ください)。
さて、今月は連載終了特別企画として、これまでの読者の皆様のアクセス数を集計し、2004年から2012年までの各年ごとにアクセス数がもっとも多かった生薬を発表いたします。はたして、いちばん多く読まれた人気の生薬は果たして何だったのでしょうか?それでは『生薬百選』の9年間を振り返ってみましょう。
2004年 生薬百選2 サフラン
『生薬百選』が始まったこの年、アクセス数第一位は、「サフラン」でした。とはいえ連載開始が2004年の終わりなので、この年の生薬百選はわずか二回のみ。サフランとクロモジの一騎打ちとなります。高級素材としてお店のスパイスコーナーでもおなじみのサフランに軍配が上がりました。
2005年 生薬百選10 インヨウカク
2005年、アクセス数第一位は養命酒やドリンク剤に配合されているインヨウカクです。世界に50種ほどあるエピメディウム属の植物で、種類によって咲く様々な花の写真も掲載されています。その他この年には綺麗な花が咲く連翹、百合などがランクインし、色とりどりに目を楽しませてくれました。
2006年 生薬百選30 ドクダミ
「ライブドアショック」一連の事件が起こり、その関係で東証の取引が設立以来初めて全面停止となった2006年、生薬百選は30回を迎え、ドクダミの回が第一位となりました。やはり十薬・万能薬として有名なこともあり、多くの方の目を引いたのではないでしょうか。その他大棗(タイソウ)、海馬(カイバ)などの生薬が登場しました。
2007年 生薬百選39 何首烏(カシュウ)
食品偽装や猛暑などのニュースがメディアを賑わせた2007年。生薬百選のランキング一位はツルドクダミの根から採ることができるカシュウとなりました。同年には補血薬として活用される当帰(トウキ)や猫の大好物としておなじみ、マタタビなどが人気の記事でした。
2008年 生薬百選53 紅花(コウカ)
「百年に一度の不況」などという言葉が流行った、リーマンショックの年。第一位の生薬は染色や口紅などに使われる紅花(コウカ)となりました。養命酒の原材料でもあります。他にも夏枯草(カゴソウ)や木通(モクツウ)など、花のきれいな生薬が2008年を飾りました。
2009年 生薬百選61 ハシリドコロ
衆院選で民主党が勝利。急展開する流れに日本が浮き足立ち、“今年の漢字”に「新」が選ばれた2009年。この年第一位の生薬はハシリドコロ。食べると狂ったように走り回るほどの猛毒を持つのがその名の由来です。この年の『生薬百選』には、紅茶などでおなじみのカモミールや、民間薬から食用や園芸用など幅広い役割をこなすツワブキなどの名前も見られます。
2010年 生薬百選77 山査子(サンザシ)
iPad、ツイッター、AKB48などヒット商品が記憶に新しい2010年は、甘酸っぱい実をつけお酒などにもよくあうサンザシが第一位となりました。ちょうどこれから実がなる、夏のシーズンにぴったりの生薬です。他にこの年は、ミントとも呼ばれる薄荷(ハッカ)、オオアザミに加え「石膏」も登場。鉱物由来のめずらしい生薬です。
2011年 生薬百選85 胡椒(コショウ)
震災が大きなニュースとなりました。この年の第一位はとても馴染みのある香辛料、コショウです。食卓ではよく目にしますが日本では栽培されてないコショウを色々な側面から説明しています。また同年には甘草(カンゾウ)や山椒(サンショウ)などの生薬も。こちらも調味料としておなじみですね。
2012年 生薬百選96 杏仁(キョウニン)
2012年の生薬百選は全部で6回。一般にアンズと呼ばれる杏仁(キョウニン)が第一位となりました。また他にも真珠としてお馴染みの珍珠(チンジュ)と桑(クワ)が登場するなど、様々な生薬をご紹介してきた生薬百選にふさわしい顔揃えでした。
9年間にわたりお届けした『生薬百選』。冒頭で申し上げました通り、連載は2012年7月号で終了しましたが、編集部には終了を惜しむ声が多数寄せられました。ただいま、『生薬百選』の後継となるコンテンツを準備中です。皆様に、生薬の世界に興味を持っていただけるような連載にするべく、少々お時間を頂戴しますが、ひきつづきご愛読いただけますよう今後もよろしくお願いします。