養命酒ライフスタイルマガジン

生薬百選

生薬百選12
連翹(レンギョウ)

レンギョウの果実は生薬レンギョウとして抗菌、消炎、利尿などに用いられます。レンギョウの花は春告花、迎春花とも呼ばれ、早春の庭園や生垣に黄色い花をびっしりと付けて咲き、目立ちます。中央自動車道の談合坂SA、長野自動車道の姨捨SA、伊勢湾岸自動車道の湾岸長島インターには多数のレンギョウが植えられています。新潟県新発田市の紫雲寺地区には「レンギョウの里」があり、温泉とレンギョウが楽しめます。

レンギョウはやや黄緑色の花で枝が垂れ易いレンギョウ、空を目指して伸びた枝に濃い黄色の花と緑の葉が同時に出るシナレンギョウ、花びらが細長いチョウセンレンギョウの他に、日本原産のヤマトレンギョウやショウドシマレンギョウがあります。ヨーロッパにはヨーロッパレンギョウの他、数種のレンギョウがあります。また、レンギョウとシナレンギョウの交配種として、ヨーロッパで育種されたインターメデイアは園芸種として広く普及しています。


レンギョウの花

筆者が西部教授(北海道医療大)、田中教授(岐阜薬大)、アドラークロイッツ教授(ヘルシンキ大)等と研究した結果では、レンギョウとシナレンギョウでは含まれているポリフェノール(リグナンおよびフェニルエタノイド配糖体)の成分・構造が異なることが判りました。一方、チョウセンレンギョウとインターメデイアはポリフェノール成分はほぼ同じで、レンギョウとシナレンギョウの両方の成分を含んでいます。
最近、筆者らはレンギョウの葉に、果実と同じポリフェノールが数倍も多く含まれていることを学会で報告しました。トカー教授(ロッツ大学、ポーランド)は花にも葉と同じポリフェノールが含まれていることを知らせてきました。

レンギョウの生垣 レンギョウ(生薬)

筆者は花を塩漬後、桜茶の要領で飲んでみましたが、カップに黄色い花が広がり優雅でした。もちろん、食用菊と同様、三杯酢でも楽しめます。レンギョウの葉や花は医薬品ではありませんが、含まれているポリフェノールには血圧降下、血糖値抑制作用の他、 強い抗酸化作用があります。また、植物エストロジェンと呼ばれるリグナン成分を含んでいます。これは腸内細菌により、女性ホルモン様作用を示すエンテロラクトンという化合物に変わります。エンテロラクトンには、乳癌や前立腺がんの予防作用が報告されています。
レンギョウの葉を熱湯にくぐらせた後、水分をふき取り、電子レンジで乾燥させれば自作のレンギョウ茶が出来ます。

出山 武(養命酒中央研究所・研究部長)

信州の温泉に入りながら、アルプスの山々の四季の表情を楽しんでいます。