季節の変わり目にご用心

胃も腸も消化管に属しています。
消化管は口から食道、胃腸を通って
肛門に至るまでの1本の道筋のこと。
消化管の働きで食べ物は消化されて栄養となり、
体に取り込まれます。

胃酸分泌を調整する仕組みと胃腸の役割

食べ物が体に入ると脳、胃、腸ではそれぞれどのようなことが行われるでしょうか。

視覚、嗅覚、味覚などの刺激で胃酸が分泌される。おいしそうなにおいをかぐと食欲がわくのはこの仕組みによるもの。
胃に食べ物が入ってくると、 胃酸の分泌が促される。 【胃の役割】
小腸で食べ物を吸収しやすいよう加工・分解する。
胃で消化された食べ物が小腸に流入することで、胃酸の分泌は抑制される。この仕組みにより、強い胃酸で胃が荒れるのを防いでいる。 【腸の役割】
小腸-食べ物を吸収しやすいよう加工・分解する。
大腸-小腸で栄養分を取り除いた後の残りカスで便を形成。

連係プレーが大切

東洋医学では、胃は消化、腸は吸収と役割を分けて考えるのではなく、口から肛門までを消化器系の1つの臓器として見ています。胃酸分泌を調節する仕組みのように、脳の働きも含め、消化管全体がうまく機能することで初めて、健康な状態をつくります。

胃腸の健康は心と体の健康につながる

小腸で吸収された食べ物の栄養分は肝臓へ送られ、そこから血液に入って全身を巡り、隅々の細胞まで行きわたります。胃腸の働きが悪くなったり、腸内環境が悪化したりすると、栄養分を取り入れられないために血液の質が低下。全身に必要な栄養を巡らせることができなくなります。

全身に栄養が巡らなくなると、疲れやすい、むくみや冷え、頭痛、肩こりなどの不定愁訴を招いてしまいます。また、代謝も悪くなり、肌のトラブルや肥満にもつながります。胃腸の健康が全身の健康に影響するといわれるのは、こういった理由が関係しているのです。

胃腸が健やかに働いていると、全身に栄養が巡り健康な心身を維持できる。

腸の知られざる活躍

腸には体内の免疫細胞の60%以上が存在し、人体最大の免疫器官とされています。腸の健康を保つことは、病気や老化の予防につながります。

東洋医学の観点からも、「脾(胃腸)」は「後天の気(エネルギー)」をつくり出す場所とされています。後天の気とは、生まれ持った「先天の気」に対し、日々補充するエネルギーのこと。病気や老化の予防には、食養生などを通し、後天の気を蓄えることが必要とされています。

腸が健やかに働き、食べ物がおいしく食べられると「後天の気」が充実。元気な心身に!

腸が「第二の脳」といわれる理由

腸には数多くの神経細胞が存在し、その働きは喜怒哀楽に深くかかわっています。 昔から、「断腸の思い」、「腸(はらわた)が煮えくりかえる」など、腸を用いた感情を表す言葉があり、「第二の脳(セカンドブレイン)」ともいわれています。