どのくらい
眠るのがよいかを知る

大切なのは量より質。
睡眠は時間だけで測れない

健康のために、私たちはどのくらい眠ればよいのでしょうか?
最近の調査では、6時間台ないし7時間台の睡眠の人が、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの病気の発症や死亡に至るリスクが最も低いことが明らかになっています。
成人の標準的な睡眠時間は6~8時間ですが、必要な睡眠時間は人それぞれで、年齢によっても変化し、日中の活動量によっても異なります。
一般に加齢と共に睡眠時間は短くなり、朝型化することが知られています。
60歳を超すと20代や30代の時と比べて30分~1時間ほど短くなりますが、加齢による自然な変化ですから、心配する必要はありません。
長く眠れば健康になるわけではなく、必要以上に眠ろうとすると、かえって眠れなくなったり眠りが浅くなったりし、睡眠の質が低下するケースが見られます。
大切なのは長く眠ることよりも、年齢に応じた質のよい睡眠を確保することにあります。
たとえ睡眠時間が短くても、朝さわやかに目覚めることができ、日中も不調を感じずに活動できれば、十分な睡眠がとれているといえます。

年代によって変わる睡眠時間

日の長さにも影響を受けている

睡眠時間は秋から冬にかけて徐々に長くなり、春から夏にかけて短くなる傾向にあります。
これは冬眠する哺乳類と同様の身体機能が、人間にも生まれつき備わっているためと考えられています。
こうした季節による変化は気温ではなく、日の長さが関係しているのです。
体内時計が日の出や日の入りの時間の変化を感じとり、それに合わせて睡眠の長さやタイミングを変える役割を担っています。

季節による睡眠時間の変化

夏に比べて、冬の平均睡眠時間は約30分長くなる。

季節別睡眠時間の変化のグラフ

加齢と共に変わる男女の睡眠の傾向

加齢と共に、男女の睡眠の傾向は異なってきます。
50代以降、早寝早起きの朝型になりやすいのは男性。
女性は50代以降、寝つきが悪くなる傾向にあり、夜型化していくといえます。
こうした男女差が生じる理由として女性ホルモンの影響が指摘されていますが、まだよく分かってはいません。
夫婦の睡眠時間帯が合わなくなったにもかかわらず、夫の就寝時間に合わせて寝ようとすることで、妻が不眠になるケースも見られます。

加齢による睡眠傾向の変化

不眠の傾向の男女別・年代別グラフ