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冬に効く! カラダよろこぶあったか鍋

そろそろお鍋の恋しい季節になってきましたね。今月の元気通信はズバリ、鍋特集です。PART 1では「冷え」「消化不良」「ダイエット」と、冬の気になる症状別におすすめ鍋レシピをご紹介します。寒い時期を乗り切る健康づくりにお役立てください。またPART 2では、当編集部員が「火鍋」や「トマト鍋」の次に流行りそうな鍋をリサーチすべく、東京都内を“鍋歩き”してきました。編集部員が目をつけた、この冬イチオシの鍋とは?



冷え、消化不良、ダイエットを乗り切る!症状別おすすめ鍋

“冷え”や年末年始の“食べ過ぎ”、さらに運動不足が相まって、健康から遠ざかってしまいがちな冬。そんな状況を打破すべく、食生活を見直したいのなら、やはり冬の定番料理「鍋」がおすすめです。

確かに、鍋はヘルシーです。肉を食す際も油を使わず、野菜も量を食べることができます。体も温まり、皆で鍋を囲む楽しさもある。いいことづくめではありますが、そのヘルシーさに甘んじて食べ過ぎたりすることも、実は多いんです。また、昨今は味のバリエーションも増え、濃厚なダシの鍋料理を、濃厚なタレにつけて食べ、さらに”シメ”で濃い味付けの炭水化物を食べる…そうなってしまえば、元も子もありません。

そこで今回は、ヘルシーであることを基本にしつつ、食べる人の症状に合わせた鍋をまずご紹介してみましょう。


消化不良に陥りやすい季節に…胃腸スッキリ『とろろ鍋』


 
【材料】2〜3人分
<鍋の具>
鶏つみれ 300g
まいたけ 1パック
白菜 1/4個
小ねぎ 6本
長ねぎ 1/2本
れんこん 1個
<煮汁>
昆布だし 4カップ
<とろろソース>
大和芋 300g
味噌 大さじ1
1個
だし汁 1/2カップ

作り方


1.野菜を食べやすい大きさに切る。
2.大和芋を皮をむいてすりおろしてボールに移し。味噌、溶き卵、だし汁の順で入れて混ぜる。
3.鍋にだし汁を入れ、沸騰したら鶏つみれを入れてアクを取る。
4.野菜を入れ、火が通ったらとろろをサッかけて出来上がり。

年末年始は食べ過ぎ、飲み過ぎに陥りがちな季節。胃腸に負担がかかり、膨満感や胃もたれなどの症状に悩まされる方も多いと思います。そんな時は、大和芋を使った「とろろ鍋」。
その他、腸の機能を助けるまいたけや、通常のお肉よりも消化しやすい鶏つみれ、大和芋と同様にムチンを多く含み、ビタミンCも豊富なれんこんを入れてみました。ビタミンCは熱に弱い性質がありますが、れんこんの場合は豊富なでんぷんによって、熱してもビタミンCが壊れにくいところが嬉しいかぎりです。

名わき役は「ポン酢」と「ご飯」
とろろ鍋と相性がいいのは、鍋の定番といえるポン酢。ゆずを少々入れると、いっそう香り豊かになりますよ。さらにシメは、やっぱりご飯!お鍋にご飯を入れておじやにするよりも、茶碗によそったご飯の上に鍋のとろろをかけて、醤油を少したらして召し上がりください。歯ごたえのアクセントとして、れんこんを少し残しておくのがコツ!



ダイエットしたい!でも食べたい! キーワードは“満腹感”『烏賊わた鍋』


 
【材料】2〜3人分
<鍋の具>
イカ 1杯
(刺身用のスルメイカ。イカワタも使用)
しめじ 1パック
大根 1/2本
豆腐 1丁
水菜 適量
ごぼう 1本
長ネギ 1/2本
<煮汁>
合わせダシ
(かつお、昆布)
4カップ
<イカワタソース>
みりん 大さじ1
大さじ4
味噌 大さじ4
醤油 大さじ1/2
三温糖 小さじ1
にんにく 1片(すりおろし)
しょうが 1片(すりおろし)

作り方


1.イカを捌き、ハラワタを取り出す。
2.ゲソを洗い、胴とエンペラを外して皮を剥ぎ、食べやすい大きさに切る。
3.ハラワタと<イカワタソース>の材料を和える。
4.イカをボールに移し、3で作ったソース大さじ3と和えて15分程度放置し、下味をつける。
5.鍋に合わせダシを入れて沸騰したら水菜以外の野菜を入れる。
6.野菜が煮えたら、残りのイカワタソースを入れる。
7.もう一度沸騰した頃合いに、イカと水菜を入れてサッと茹でて出来上がり。

基本的に、鍋料理はダイエット向き。しゃぶしゃぶなども、肉の余分な脂を湯で洗い落とすため、とてもヘルシーです。しかし、あまりアッサリした味だと物足りなさを感じ、食べる量が増えたり、すぐにお腹が空いてしまったり、次の食事で高カロリーなものを食べてしまったりすることもよくある話。そこで、イカのワタをスープと合わせた『烏賊わた鍋』をご提案。濃厚でコッテリしていて食べ甲斐がありつつも、低カロリー高タンパクのイカゆえにダイエット向きな料理に仕上がります。ダイエット時の便秘対策としてゴボウも多めにいれましょう。

濃厚なワタが溶け込んだスープで満足感は折り紙つきですが、ひとつ難点を挙げるとすると塩分過多になりがちなこと。食後に無塩トマトジュースを一杯飲むと、トマトのカリウムが中和して、尿とともに排出されやすくなります。「では、トマト鍋仕立てにしたら?」と思われるかもしれませんが、カリウムは熱に弱いため、フレッシュなトマトジュースで摂るほうがおすすめです。

ダイエット中なら、シメはガマンを!
濃厚なスープゆえに“タレいらず”の鍋ですが、お皿によそったら、刻んだ万能ネギを少々乗せてみてください。イカのワタとの相性は絶品です!なお、シメにご飯やうどんを入れて食べるのは鍋料理の醍醐味ですが、やはりダイエットにはおすすめできません。容器に入れて冷蔵庫で一晩寝かして、翌朝のご飯にかけて食べましょう。逆に、鍋を囲む仲間や家族の中に「ダイエットなんかしてないぞ!」という方がいたら…食べる前にマヨネーズを少々合わせてみてください。天にも昇る美味しさです!



冷え対策の決定版!ピリ辛でポカポカ『麻辣鍋』


 
【材料】2〜3人分
<鍋の具>
えび 8尾
牛肉(薄切り) 150g
春菊 1袋
しいたけ 4個
焼き豆腐 1パック
<煮汁>
鶏がらスープ 4カップ
粉とうがらし 小さじ1〜大さじ1
しょうが 1/2片
にんにく 2片
長ねぎ 1/2本
五香粉 大さじ1/2
クコの実 (大さじ1〜2。なくても可)

作り方


1.すりおろしたしょうがとにんにく、みじん切りにした長ねぎを、五香粉とごま油で炒める。
2.粉とうがらしと豆板醤を入れ、香りがついたら鶏ガラスープとクコの実を加える。
3.沸騰したら火を弱めて10分程煮込み、食べやすい大きさに切った肉とエビ、豆腐、野菜を入れる。
4.火が通れば出来上がり。

体を温めてくれる冬の鍋。その中でも特に冷え対策となりそうなのが麻辣(マーラー)鍋です。“麻”は、独特の香りを持ち、中国山椒とも呼ばれる「花椒」を意味し、“辣”はとうがらしを指す言葉です。今回は、花椒や八角などを合わせた五香粉を利用。花椒や五香粉は輸入食材店などで購入できますが、なければ日本の山椒でもかまいません。とうがらしは、血液の循環を高める効果があり、冷え対策にはうってつけ。魚介類には、手足など末端冷えの解消効果が期待できるえびを利用。しょうがやにんにくも使い、徹底して冷え対策になるような鍋に仕上げてみました。とうがらしの辛さと、品のある花椒の香りをお楽しみあれ。

“シメ”は麺と合わせるのがベスト!
なにしろ「麻辣麺」という四川料理があるくらいですから、シメとしてはラーメンがベスト。春雨やマロニーもエスニック風に仕上がるのでおすすめです。粒状の花椒を購入した場合は、すり鉢でこまかくすりおろしてから使ってください。残った花椒や五香粉は、麻婆豆腐をはじめとした中華料理に幅広く利用することができます。



次に流行る鍋はコレ!?東京”鍋歩き”レポート

ひとえに鍋料理といっても、昨今ではスーパーにズラリと“鍋の素”が並び、年を追うごとにバリエーションが増えています。日本人の食に対する意欲と“新しいモノ好き”な性分は、底なしといえるかもしれませんね。

そこで今回は、健康に一役買ってくれて、なおかつ今後ブームが到来する(かもしれない)鍋料理を求めて街に出てみました。食べ歩きならぬ“鍋歩き”で見つかった鍋料理とは…。


火鍋の次は……中国雲南省の伝統料理「汽鍋」!!

いまだ知らぬ鍋を求めて降り立ったのは、東京メトロ銀座線の末広町駅。上野から御徒町、湯島、末広町あたりまでは、味わい深い小さな料理店が点在するエリアです。そこに気になる看板がひとつ。「中国雲南料理の店」とあります。今回訪ねたのは、雲南料理店「過橋米線(かきょうべいせん)」。お目当ては、雲南省の伝統的な鍋料理「汽鍋(チーグォ)」です。

雲南省は中国の最西南部に位置し、ベトナムやラオスと国境を接しています。温暖な気候ゆえに緑が多く、“薬草の故郷”と呼ばれることもあるんだとか。この地方では、いわゆる一般的な中華料理とはちょっと異なる独特の食文化が育まれてきました。

さっそく出てきたのは「汽鍋鶏」なる料理。蓋をとると、真ん中に穴の開いた筒が延びている、ちょっと変わった形状の鍋であることがわかります。スープの中で、ぶつ切りの鶏肉が煮えています。しかし気になる点がひとつ。鍋なのに、湯気がまったく立っていない…もしかして冷製?失敗か?と思いきや、店員さんがオタマでかき混ぜた瞬間にモワッと湯気が。表面に油が敷き詰められていたので、湯気が立たなかったんですね。でもこれだけ油を使っているということは、ヘルシーとはいえないかも…。

「ぜんぶ、鶏肉から出た脂です。水も一滴も使っていません」

なるほど。ん?これだけスープが入っているのに水を使っていないとは如何に!?どういうことなのか尋ねてみたところ、答えがわかりました。調理段階で鍋に入れるのは、鶏肉としょうがの千切り、「当帰」や「三七(田七人参)」などの生薬のみ。この鍋は、底が漏斗を逆さにしたような形になっています。これを火にかけるのではなく、水を入れた鍋の上に乗せると、その水蒸気が汽鍋の中に溜まっていき、鶏肉の水分や旨味もそこに溶けだして、スープになるというわけです。雲南省では、この汽鍋をいくつも重ね合わせて水蒸気を溜めるのだとか。場合によってはネギやキノコ類も入れるそうです。

「水蒸気がジワジワと溜まりますから、作るのに5時間くらいかかります」

確かに気の長い料理です。ウンチクはこのくらいにして、さっそく一口含んでみると…濃厚で滋味深い味。ゆっくりと体に養分が行き渡るような気がします。風邪を引いたときや食欲がない時にも良さそうです。口に含んだとき、一瞬フワリとコショウっぽい香りが鼻孔をくすぐるのは、当帰などの生薬によるもの。鶏肉も、医食同源を謳う東洋医学では体を温める食材といわれています。素材の味がシンプルに生きた、美味しい鍋でした!これは流行るかもしれない!5時間かかるのがちょっとツラいですけど…。調理時間がかかることもあって、同店では一日限定8食で提供しています。

過橋米線



トマト鍋の次は……栄養満点な「アボカド鍋」!!

最近は、洋風の鍋料理も目につくようになりました。「トマト鍋」あたりは、その急先鋒といえるのではないでしょうか。そこでいろいろと探してみたところ、「アボカド鍋」なる料理があるということで、さっそく食べてみようと思い立ちました。

たどり着いたのは東京・渋谷にある木村屋本店109前店。もともと、もつ鍋をメインにしたお店です。さっそく登場したアボカド鍋は、その名のとおり、中央にアボカドがドン!と乗っています。使用されているアボカドは1個半。1個は具として、半分は牛乳と鶏ガラなどを利用した特製スープにのばして使用しているそうです。しかしここで素朴な疑問。通常、アボカドはサラダなど生で食べる機会が多いわけですが、加熱して鍋に使用したキッカケは何だったのでしょうか?

「和食の世界でも、アボカドを天ぷらにするといった調理法が用いられてきました。アボカドの脂質にはリノール酸やオレイン酸といった抗酸化酸が多く含まれていて、コレステロールを抑制する作用も期待できます。ビタミンも豊富で“森のバター”と呼ばれたりもします。そこで、女性はもちろん男性にもおすすめできる鍋を作ろうと思ったのがきっかけです」

こう語ってくれたのは、この鍋を開発した同店の副料理長、佐々木人正さん。健康効果、期待できそうです!そうこうしているうちにグツグツと煮えてきました。アボカド以外の具は白菜、ほうれん草、水菜、しめじ、ごぼう、にんじん、かぶ、プチトマト、さつまいも。さっそく一口、アボカドを食べてみると…これが美味い。ホワイトソース仕立てのスープと程よく絡み、ホッコリと優しい味に仕上がっています。一見するとホワイトシチューのようではありますが、「アボカドを使いつつも、サッパリ感を出したかった」という意図通り、サラリとしていて野菜がどんどん食べられる感覚です。葉モノはスープとよく絡み、根菜はしっかりとした食べ応えを感じさせてくれます。じゃがいもではなく、さつまいもを使っている点も面白いですね。スープにくどさがないため、さつまいものマイルドな甘さが引き立ちます。みずみずしいプチトマトも、アクセントになっている気がしました。

通常の鍋ですと、必ずといっていいほど入っているお肉はありません。これも「この味ですと鶏肉やベーコンとも合いますが、野菜をたくさん食べてもらいたい」という考えからだそう。そして“シメ”に出てきたのは小ぶりのフランスパンです。これもライトにつまめる感覚ですね。野菜が主体でヘルシーな鍋でありつつも、しっかりと満足感が得られる鍋料理に仕上がっていました。それにしても、いろんな鍋があるものです。すっかり食べきった鍋底を目の前に、鍋料理の底力を見た思いですね。

木村屋本店